飛鳥復活! 飛鳥復活……!
「して、シン。そちらの首尾はどうだ?」
「こっちは、俺のゲイボルグ・ラーハルトも修理完了してる。
副官のミュウも万全の状態だ」
機動戦艦ノアとの激戦のあと、黄金騎士連合は自身の
騎士団の回復に努めていた。
その間にも、『聖騎士長、バーン』と【聖槍のシン】は細目に連絡を取り合っていた。
だが“聖拳のナックルズ”が音信不通だった。
それについて、バーンは苛立ちを覚えている。
「あいつは黄金十二騎士のなかでも、異質だからなぁ~。
バーン俺が通信入れてみるよ!」
シンはバーンにそう言うと、早速ナックルズに通信した。
「……ん?」
すると、ものの数秒で音声が入ってきた。
「ナックルズ。元気にしているか? こちらシンだ!」
「おぉ! シン君、こんばんは。俺は元気だぜよ。
それにしてもいきなりどうした?」
快調なナックルズの口ぶりシンは、安堵した。
さらにバーンもナックルズの生存を確認できたので話を割って介入してきた。
「貴様、こっちは柄にもなくお前の生存を気にかけていたのに。
相変わらず、よくわからん奴よ」
「バーンのおっさんも元気そうだな! わりぃ、アンタの通信は拒絶してた。
ってのは、冗談で俺はあの激戦のあと一人黙々と修行してた。
それで……マリ……。お前たちはどうしてた?」
機動戦艦ノアとの激戦のあと、黄金騎士連合は紅蓮機甲隊と
戦闘を繰り広げた空域を少し外れた宇宙空域で停滞していた。
実際のところ、シンは実の姉マリアの所在について
疑惑と憶測が頭のなかでいっぱいだった。
突発的な再会で言葉を交わせず、あのような形で再び離ればなれになった。
シンはあの激戦のあと考え抜き、一つの答えが出ていた。
バーンもバーンで黄金騎士長として、マリアの処遇について検討していた。
実際に姿を見たわけではないが、マリア本人ならば銀河帝国メルディアスに
対する反逆に相当する行いではあった。
しかし、バーンもバーンで銀河帝国メルディアスに忍び寄る暗躍と
未来について思うと、マリアの所在己の目で確かめなくていけない。
故に黄金騎士連合の航路は、決定していた。
「バーンにナックルズ! 本来ならば、このまま蒼き星に
行くべきかも知れない。だけど、俺は……メルディアス本星に
帰還しようと思う」
「シンよ。異論はないぞ!」
「俺もそれがいいと思う。きっと答えはそこに集結するぜ!!」
修復作業が完了した黄金騎士連合は、銀河帝国メルディアスへと
航路を変え異次元に姿を消した――。
様々な憶測が宇宙を駆けるなか、機動戦艦ノアに動きがあった。
「ここは……!?」
「あ、飛鳥くん!」
昏睡状態だった、飛鳥がついに目覚めた。
命は目を潤いながら、両手で飛鳥の手を握りしめ笑顔で飛鳥を迎えた。
そして、飛鳥にここまでの本末を説明してあげた。
「まさか、黄金騎士同士の戦闘になるとは……。
それにマリアさん……。
でも、みんな無事でなによりだ」
「ふ、《紅蓮の飛鳥》よ。これで貸しが二つだな!
にしても、ドクター。
この状態は、まだ続けなくてはいけないのか?」
飛鳥の隣で眠っていたマリアも歓喜の騒ぎで目を覚まして、
早速飛鳥にニヒルな笑顔で飛鳥を煽りたてた。
「じぇじぇ! それは、その内倍返しします。
確かに僕ももう大丈夫な気がします。どうですかね?」
飛鳥とマリアの問いかけに名医は、首を横に振った。
いくら、意識が回復したと言えど。
いま飛鳥がこのように意識があるのが奇跡的なことと。
名医は顔を顰めて告げた。
「それならば、致し方なかろう……。しばし、我慢する」
「感謝します、マリアさん。それにしてもテトラさんも元気そうで☆」
まんざらでもなく、マリアはこのまま輸血の状態を受け入れた。
話は打って変わって、神妙な顔向きでテトラは口を開いた。
「飛鳥……すまなかった。許してもらうなんて、おこがましいけど……。
それでも、ありがとう!」
「それは、もう大丈夫です。とにかく、これで一件落着ですね!
これからは、テトラさんがみんなを引っ張ってこの星を復興させると
約束して下さい!」
飛鳥はテトラの謝罪を快諾したが、その変わりテトラには
これからのこの星の未来を守ることを約束させた。
「あぁ、もちろんだとも。父ちゃんや母ちゃん。
みんなとともに、緑豊かな星にして平和を守っていく!」
テトラは飛鳥に誓いを立て、今後のビジョンを楽しそうに話した。
「それじゃ、テトラさん。僕は大丈夫ですので。
みんなのところに行って上げて下さい。
僕たちもこの戦いが終わりましたら
今度は、観光しに訪れます!」
「それは、大歓迎だ! とにかく、飛鳥。
私たちはあなた方の恩義に感謝してる。
私たちはいま一度“誇り”を取り戻した。
困ったときは飛鳥。いつでも、助けに駆けつけるからな!
それじゃ。命、マリアさようなら……」
テトラは、満面の笑みを浮かべてノアから飛び出した。
飛鳥たちもその様子から、テトラの新しい門出を祝福して上げた。
満足そうな飛鳥が、またしても睡魔が襲った。
「へへ。なんだか安心しちゃったら、眠くなってきた……。
みなさん。少しだけ【精神と時の部○】に意識を飛ばしてきます。
ZZZ……」
「うん。飛鳥君、おやすみなさい! きっと目覚めたら君は大いなる力を得て、
さらなる高みへと、真化するだろう……」
戦い続け、疲弊しきった飛鳥は一時の安らぎを感じ取りまた眠りについた。
ちなみに飛鳥の活躍はここまででここからは、飛鳥の台詞はなく
命、マリア中心のシーンで進行していく。
「こやつみたいな口ぶりですな! さては命殿も“紅蓮の飛鳥”が推し進める
娯楽大衆を見ていますな?」
「てへへ。バレちゃいましたか♪ 私もクールジャパンの産物を
少しは理解しようと最近、忙しい合間を縫ってコッソリ読んでます」
命もマリアと飛鳥の楽しげなやりとりを見て聞いて、本能がそうさせた。
だが、変な義務感や使命感はなく純粋にサブカルチャーを楽しんでいる。
「こやつはともかく、地球の娯楽物には驚愕しました命殿!
銀河帝国メルディアスにはない文明を知り得ました」
「私もね、マリアさん。地球人だけど、まだまだ知らないことがたくさんある!
あとはね、銀河帝国メルディアスやマリアさんこともまだ知らないことがある☆」
二人ははじめて自身のおい立ちを語り合い。
マリアは、黄金十二騎士までの道のりと弟である、『シン』について触れた。
「女である私では、黄金騎士になるには葛藤や試練はありました。
それでも、エリス姫様や黄金騎士長、バーンたちに認められ誇りを手にしました。
弟のシンは、年齢も一つ違いで私と違って才能がありメルディアスでは
武威を誇っていました。
私も弟に負けじと鍛練を積み、聖騎士マリアの
肩書き異名を頂けるまでになりました」
「地球もまだまだ、女性だと男性比べて不住する場面はあるよ。
ましては、剣術やロボット乗りなんて……。
やっぱり、マリアさんは凄いや~」
あの一戦以来、命はマリアのことが気がかりだった。
後日、ノアにとどめの一撃を放とうとした敵機がマリアの弟であったこと。
言い方は乱暴だが、囚われの身としてあるマリアだがノアはでは、
一定の行動権は持っていた。
それでも、マリアの行動は銀河帝国メルディアス本星に対して、反逆行為。
「私はまだまだです、命殿。確かに私は黄金騎士として、姫様に仕える者。
ゆえに己から、地球攻略作戦に志願しました……」
マリアは時折シリアス路線の話は飛鳥としていたが命とは
初めて自身の胸の内に抱える思いを吐き出した。
マリアに迷いが生じている。
黄金騎士の誇りや大義を持って、蒼き星に侵略戦争をしかけた。
しかし、飛鳥や地球の人々をその目で見て自身の誇りに違和感を覚えた。
でも、銀河帝国メルディアスに捧げた思いと散って逝った者を思うと
マリアはやり切れずいる。
それでも、飛鳥や命のために幾度も危機を救いこの戦いの果てを
見据える責任を背負うのにマリアの覚悟は十分。
「『紅蓮の飛鳥』。私は……剣持飛鳥や命殿の純粋な思いや
行動を見てきて価値観や使命を見つめ直す機会を得ました」
「私も飛鳥君の勇気のある行動で世界観が、ガラリと変化した。
地球も長い間ずっと、戦争をして殺し合いをしてきた。
それでも、やっといまでは平和を掴んで互いに愛し合って世界は繋がった。
きっと、銀河帝国メルディアスともわかり合える気がするんだ!」
地球も第二次世界大戦が最後の戦争という位置づけだが、
亜細亜諸国、ヨーロッパでも、争いはあった。
人は争ってしまうが、復讐や憎悪を乗り超えて
相互理解できると命は悟っている。
「さすが命殿です。私もそのために命殿の父上に無理を承知で極秘に
愛機、エクスカリバー・クィーンナイトの修復を懇願していました。
私は黄金騎士マリアでもあるが、一人の人間としてこの戦いに身を投じます!」
「あの登場シーンは、蟻の王、メル○ム様でもビックリだよ!
何度見ても、気品に溢れててカッコイイよね。
はい。私も全力でみんなを支えて、この目に焼き付けます。
きっと、紅蓮の飛鳥が二つの星の運命を切り開いてくれますッ!」
マリアと命は互いに胸の内に秘めていた思いを話し合った。
さらに話の流れは、年の子特有のガールズトークに発展した。
「やっぱし、飛鳥君とマリアさんがこうして生まれや育ちも違う者同士で
共鳴していることが素晴らしいんだよね」
「私も生まれて初めて己の血を他人に分け与えました。
不思議といやな感情にはなりません! むしろ……」
マリアは自分でも、意図しない『特別な』感情だった。
そのため、想いも寄らぬことを口にしてマリアは、はっと我に返った。
「ゴホっ。私は柄にもなく……。なんだか、すみません、命殿」
「ううん。マリアさん気にしてないよ! 飛鳥君はね、昔から
不思議と身の回りに人を引き付けるだよ。
私や水城副部長。紅蓮機甲隊のみんな」
命は飛鳥のことを自分のことのように褒め称え、
マリアに飛鳥とのエピソードやマル秘話をしてあげた。
マリアは真剣に聞き入れ、時には笑みを浮かべ声を荒げて一緒に笑った。
ふと、したときマリアは、飛鳥と命の関係性に憧れや
羨ましさを一瞬だけ抱いてしまっていた。
命も命で不謹慎ながら実は、マリアと飛鳥『間接的』に繋がっている状況に
切なさと嬉しさが渦巻いていた。
命も刹那我に返り、飛鳥とマリアも大切な存在だと理解している。
この先も飛鳥と命、マリアとの関係には、目が離せないだろう……。
「確かに『紅蓮の飛鳥』は、人を引き付ける。
私もその一人かも知れません。
だが、こやつはまだまだ甘い部分が目立ちます
そういったところは、みんなで支えていくしかないでしょう!」
「さすが、《紅蓮の飛鳥》だね☆ 飛鳥君は、地球とメルディアス繋ぐ
架け橋になってくれた。私はこれからも支えて、私も強くならなきゃ」
命とマリアは、互いの意気込みを認め合った。
しばらく、二人は余韻に浸り夜も更けってきたので命は病室を後にした。
マリアは飛鳥の呼吸音が聞こえるぐらい静かな空間で色々なことを
考えつつ、両目を閉じ眠りについた。
こうして、機動戦艦ノアは再び銀河帝国メルディアスへと進路を取った。
地球を離れ、初の宇宙戦を経て三人の黄金騎士と激戦の傷が癒えぬまま
飛鳥は戦い続け眠る最中、深い深層ゾーンにいた。
やはり、紅蓮の飛鳥は再登場。
「紅蓮の飛鳥……。あなたは……」
飛鳥はうっすらと、自分が最後病室でマリアに輸血されていたことは
把握していた。
しかし、いまは自分の真名を呼ぶ声が聞こえて
飛鳥は全裸で横たわり宇宙空間にいた。




