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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第二章:『宇宙の彼方へ☆』篇
35/59

辿り着いた地で

「すまない、紅蓮機甲隊のみんな。ノアは早急にワープ航法へと入る。

彼らの攻撃圏内から離脱するため早急にワープを行う!」


周囲がざわめくなか、風間艦長と剣持副長は決心をした。

命は座標計算を無視して、カウントダウンをとりノアは宇宙の彼方に消えた――。


次元の波と虚空のゾーンを抜けて、機動戦艦ノアはワープアウトした。


「……現在地の座標ポイントを算出してくれ……」


命を筆頭にオペレーター陣は、早急に計算に当たった。

しばらくして、今後の運命を決める数字が叩き出された。


「算出終了しました。本艦の座標地点は、銀河帝国メルディアスから

百万宇宙キロ離れた地点にいます。わかりやすく言いますと。

奇跡的に本艦は、進路は銀河帝国メルディアスに合致しました。

しかし、大きく超えてワープアウトしてしまいました。

距離で言えば、ワープ航法一発で修正が利きますが、

先の強行突破によりそれが難しくなり、

通常航海で約一か月の距離にいます……」


命は目にも留まらぬ、タイピング速度で計算式を埋め込み

巨大モニターに今後の航海計画を映し出した。


「あの状況でこの程度の誤差なら、博打としては勝ね。ただ……」

「確かに我らは、黄金騎士連合の進撃は阻止できた。しかし、いまの我々には、

心と体の休息が必要不可欠だ……」


剣持副長は、巨大モニターを操作してノアが一時着陸できる惑星を指定して

風間艦長そこを目指して、指揮しノアは安らぎの場所に向かった。


しかし、この惑星についても飛鳥たち……。


ノアの一行に癒しのときは訪れなかった。

戦いの火種は、静かに燃え始め、煙を立てている。


とにもかく、機動戦艦ノアは『ある惑星』に着陸した。

この惑星は、一面岩や砂ぼこりに覆われていて無機質な風景。


ただ、計測したところ、地球とそう変わらない環境の星。


一先ず地球人は安心できた。


「どうやら、我々も活動できる星だと判明できた。となると、この惑星には、

一週間ほど滞在することになる。とにかく、先の戦闘での引き継ぎと

戦士たちに休息を与えなくてはいけないので、主要幹部以外は、

各々休息してくれ」


そのあと、飛鳥をはじめ林や神代大文字などが、第一艦橋に集合した。

そして各部署から、報告が告げられノアのこれからの航海予定が決定した。


「紅蓮機甲隊の心のケア。鳳凰紅蓮丸の修復作業……。

それとノアのエンジン故障。問題は山積だが、我々は前に

進まなくてはいけない」

「超えなくてはいけない壁にぶち当たった。それは、仕方がないこと。

それでもこの星に滞在するからには、危険に備えなくてはならない。

本日はこれにて、終了だが明日はこの星の調査に行ってもらいたい」


疲弊しきてズーンと重い雰囲気が漂うなか、藍色の女性が名乗り出た。


「なら、その役目私、藤崎がお受けします。

それと、水城戦術・戦略補佐官も

私と同行をお願いね?」


三十路前の女性は、強い。この空間を砕く蘭大尉は片目を閉じて

ぶりっ子ポーズを決めながら、蘭大尉は直属の部下である翼を指名した。


翼は翼で隣にいる、赤毛の美少年を誘ってみた。


「飛鳥も一緒に行かないか……?」

翼の問いかけに少し間を置いて、飛鳥は翼に答えた。


「うん……。僕も行くよ」

「蘭大尉。わ、私も同行させて下さいっ!!」


命の申し出に蘭大尉は、目線で風間艦長に許可を取り風間艦長は頷いた。

「ええ。命さんも私たちと一緒にこの星を調査しましょう!」


こうして、『藤崎小隊』は着陸した星の探索と調査に出かけることになった。


一行は朝日で目を覚ました。


壁の向こう側を調査に行かないが、調査兵団《藤崎小隊》は

早々に出撃した。


先頭は蘭大尉と命が先導する形で翼が続いて、飛鳥が最後尾。

蘭大尉と命は、仲つつまじく遠足に出かけた生徒と引率の先生のようだった。


一方、翼&飛鳥は気怠そうに足踏みが重い。

翼が飛鳥を先導させ言葉と力で引っ張っている。


「なんだか、ワクワクしますね? 蘭大尉☆」

「そうね。この感じいいわね。適度な緊張感と高揚感!」


蘭大尉と命は、後方を気にせず、真逆でスタスタと前進して行った。

それを見かねた翼は、飛鳥を少しだけ急かせた。


「おいおい、紅蓮の飛鳥さん。このままじゃ、風間マネージャーとアラサ―に

置いてけぼりにされちゃうぜ?」

「わかってるよ、翼……。なら、僕を置いて翼だけで先に行ってよ……」


飛鳥の瞳には煌めきはなく、目線も横に向いて明らかに

覇気が伴っていなかった。


仕方なく翼は、飛鳥を置いて行こうとしたが蘭大尉から命令が下された。


「水城戦略・戦術補佐官。上官の陰口や悪口は大いに結構! だけど、飛鳥少尉は

是が非でも連れて、私たちと歩幅を揃えなさいっ!!」

「は、はい! 蘭大尉。ただいま……」


翼はすぐさま、九十度振り返り飛鳥の腕を強引に掴んで連れ出した。


「はぁはぁ……。蘭大尉は、強引ですよ……!」

「ときには、力づく作戦無視の剛のパワー作戦も有効よ☆」


息を切らしつつ頬を赤めた飛鳥は気持ち口を開いて、微笑していた。

命や翼はその笑顔を見て心で、胸を撫で下ろしている。


「へへ。飛鳥君、やっと笑ったね!」

「僕もいま、実感したよ。現実に戻って昔みたく命ちゃんと翼と顔を合わせて」


飛鳥の真紅の瞳に光が戻り、紅蓮の飛鳥は復活を遂げた。


そして、『藤崎小隊』はいつの間にか歩き進んでいて目の前に

集落や村に近い建造物が並ぶ光景を一同目にしていた。


「明らかに知的生命体はいるわね……。まぁ、行ってみないとわからないし。

とりあえず、みんな。気を引き締めてね」

「はい、蘭大尉。それじゃ、みんな行こう……!」


飛鳥たちは、簡略な門をくぐり抜け集落のなかに突入した。


なかに入ると、【世紀末な村】の光景だったが質素で飛鳥たちと

同じ姿形をした人と思わしき生命体が、複数存在している。


「よ、よかった。どうやら、私たちと同じ人みたいです」

「そうみたいね。これで、不安はなくなった。

なら、もう少し奥へと進みましょう?」


飛鳥たちは、安心しきっていた。

いや、正確には蘭大尉と命だけだった。


残りの飛鳥と翼は、違和感と特異なモノを見る、視線を感じていた。

それでも、奥の居住区に進むと一行は声をかけられた。


「おや、アンタら見かけない顔だね?」

「こ、こんにちは。その……わ、私たちは……」


いかにも、RPGなどに出てきそうな老婆が蘭大尉に話しかけてきた。

蘭大尉は返答に困って、あたふたしていると今度は若い声が聞こえた。


「お祖母ちゃん。コイツら、もしかしたらメルディアスの

新しい差し金も知れない。少なくても、

私は一度たりとも、見たことがないよ!」


いまにも、喰ってかかって来そうな勢いで、

老婆の横から若い娘がしゃしゃり出てきた。


「コラコラ、テトラ。滅多なことを言うもんじゃないよ」

「お祖母ちゃんは、呑気なんだよ。でも……」


テトラと呼ばれる少女の口から、聞き覚えのあるワードが飛び交った。

『銀河帝国メルディアス』なにやら、この星との関係性が読み取れる。


「ぎ、銀河帝国メルディアス?!」

「その反応だと、アンタらはやっぱしメルディアスの兵隊なのか?」


瞬間的に命がメルディアスの単語に反応を示すと、

テトラは間髪入れず命に詰め寄った。


「兵隊なら、もうこの村……この星には、まともな労力はいないさ。

父さんや母さん。若い男の人たちは、基地を作るために根こそぎ、

持って行かれちまった……!」

「そうでしたか……。この星にも、メルディアスの脅威が……。

私たちと同じなのですね」


親身な表情で蘭大尉は、テトラの話を聞き入りこの星の事情とこれまでの経緯を

地球人代表として、語った。


「アンタらの事情は理解した。だが、この星にいられてはさらに災いを招く。

いますぐにとは、言わない! だけど二、三日以内には出て行ってくれっ!」


テトラは胸に手を当て、声を荒げて叫んだ。

そして、村の奥へと姿を消した。


この星、ミルーン星は銀河帝国メルディアスが来る前までは緑豊かで

平和に平凡に人々は暮らしていた。


だが、メルディアスが来てからは、

労力の糧として、支配されている。


難しい表現だけど言えば、『植民地星』だった。

飛鳥たちは呆然とテトラの言葉を聞いていた。


むしろ、そうするしかなかった。

しばらくして、テトラの祖母に諭された藤崎小隊は、出入り口まで

向かった矢先に彼らとエンカウントしてしまった。


「今日も疲れたぜ。さ~て、ここらで一息つきますか!」

「だな。俺たちも辺鄙な星に派遣されて、毎日退屈だしな」


青銅の鎧に包まれた、二人組の騎士が現れ藤崎小隊は即座に木の陰に身を潜めた。


「おい、婆さん。また、労力と食い物を徴収しにきたぜ!」

「いつもごねるアンタに俺たちが折れてたが今日は違う。

ついに、黄金十二騎士の『聖断のガンマ』様がお怒りだ。

よって、今日こそ力づくでも奪うっ!」


腕組みしていた青銅騎士ブロンズナイトがテトラ祖母に近づいて見下ろした。

あきらかにテトラの祖母は、怯えている。


そんなとき、村の奥側から怒声が響いた。


「アンタら、私のお祖母ちゃんになにするのさ! そこをどきな」

「またお前か。出しゃばり小娘が……。今日という今日は」


祖母と青銅騎士の間を割って入ってテトラは、祖母をかまった。

いままでも、テトラはメルディアスの騎士たちに抵抗をしては撃退させていた。

人一倍強い正義感と勇敢さでテトラは、孤軍奮闘している。


しかし、青銅騎士たちは黙ってはいなかった。

むしろ、強気でがつ乱暴だった。


「お転婆なのもいい加減にしな。まぁいい。テトラには、基地にきてもらう。

そうすりゃ、寂しい思いをしなくて両親にも会えるぜ?」

「やめろ、放せ! これ以上、この星や村で好きにさせない。

だから、私はアンタらに屈しない。

それに私は両親には、お祖母ちゃんを守ると約束したんだ」


テトラは、掴まれた腕を振り払い優しく祖母に寄り付いた。


「大丈夫だよ、お祖母ちゃん。その内みんなは誇りを取り戻す。

それまで……」


「ちっ。なに感傷に浸ってやがる。おい、もうやるぜ?」

「あぁ。時間も時間だからな」


意を決した青銅騎士たちは、一人がテトラを羽交い絞めにして

もう一人は、祖母を突き飛ばし無残にもテトラを連行した。


その光景を見ている、村の住民たちはみんな見て見ぬふりだった。


「だ、誰かテトラを助けておくれ……」


誰も耳を傾けず、介護もしないで悲痛の声はいまにも消えそうでいた。

だがしかし、赤い閃光が出入り口の門に立ちふさがった――。


「ま、待って下さい! その子を放して下さいっ」

赤い閃光の正体は、紅蓮の飛鳥こと、飛鳥だった。


『あ、飛鳥君?!』


命と蘭大尉の声が重なり合って飛鳥の名を呼んでいた。

しかし、飛鳥はすでに彼らの行方を塞ぐ形で立っている。

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