未知との遭遇
「もはや、あれは世間が知っている代物だよ。
例えて言うなら、あれはゲームの発売日やシステムの告知。
でこれからは、裏告知だよ、飛鳥君。
多分君にとっては、スペシャルサプライズだよ! 期待してくれたまえ」
「うぬ、飛鳥。心して、ついて来てくれ。きっと……」
飛鳥を煽り、期待させる言葉をチラつかせて、
最深部で風間司令と剣持博士は、秘密の生体認証を起動させ、
三人はさらに深く潜り込んだ。
セントラル・サタンより深く、人類でもっとも深い場所。
そしてそこには、立体映像で映し出された母、渚も待ち受けていた。
「ふふ。ついにラスボスの間。
いや、はじまりの場所に来たわね。飛鳥?」
緊張感が抜ける、のほほん口調と飛鳥に似たモードで渚は飛鳥を迎えた。
ここに『NETERO』の主要人物が一同に勢揃いした。
「さて、飛鳥。君への贈り物を見せてあげようか!
渚、準備を頼んだよ!」
「ええ。あなた、了解よ!」
剣持博士の一声で渚は立体映像から転送され、虚空に消えていった
――そして、焦らし奥へと進み。
「それにしても、まだこんな場所があったとは……」
「むしろ、ここをベースに構築していったのさ。
それはさかのぼること十数年前さ。
まだ、飛鳥君が幼いときの頃さ」
ふと、懐かしみ安らいだ表情を見せる中年の二人。
飛鳥も幼い頃、母と遊んだことや父との回想に浸っていた。
――すると、飛鳥の目の前に例の【機動戦艦ノア】が待ち構えていた。
戦艦の名から、主砲、副砲、機関銃など
旧日本海軍の戦艦を彷彿させるディティール。
また、近未来を感じさせ、いまにも飛翔しそうな崇高なデザインだった。
決して、【擬人化された艦○】のようなものではない。
もちろん、飛鳥は即座に己のビッグバンエンジン)を
解放させ驚異的な速度でノアに被りついた。
「これを作ったのは、父さんたちだよね? やっぱり通だよ。
宇宙戦艦ヤ○トのような男のロマン」
「はは。やはり血は争えんな。渚と反応が瓜二つだよ」
剣持博士は嬉しそうに飛鳥にそう伝えた。
「んでんで、ナデ○アのノーチラス号のように神秘の姿。
そして、ト○プをねらえ! のヱ○トリウムの科学の結晶体。
これを目の前に出されて、興奮しないのは男の子じゃないっ!」
飛鳥の興奮は、全ての男子にとっての感動と感激を代弁していた。
無論、すべての男子ではないが、この手の道を『行く者』には、
富士のご来光に匹敵する。
「期待とおり。いや、期待以上の反応だ。
しかし、興奮と感激の連鎖は【某パズルゲーム】以上に続くのだ!」
「剣持博士までもが、飛鳥君と渚君の症状が発症してしまったか……。
だがあえて、私も宣言しよう。準備はいいね、紅蓮の飛鳥?」
飛鳥は両手を握りしめ、フンフンしながら風間司令に頷いてみせた。
風間司令も剣持博士に最終確認をとり、最深部に隠された
紅のカーテンを開け、飛鳥に開放させた――。
「いでよ、神○! 紅蓮の飛鳥に真の『紅蓮丸』をっ!!」
風間司令のキャラ崩壊宣言を飛鳥は気にせず、
掛け声とともに紅のカーテンがパージされ、
見慣れたシルエットが出現した。
「こ、これは……紅蓮丸?! だけど……」
なんと、飛鳥の【運命】を大きく変えた、紅蓮丸が現れた。
何度も死線を乗り越え、その都度と成長してきた飛鳥の愛機、紅蓮丸。
姿形はほとんど変わらず、神々しさと和を重んじたデザインは健在だった。
「まさか、紅蓮丸がもう『一機』いたとは――。
それにしても、いままで秘密にしていたとは!」
「すまなかった、飛鳥。これは、地球に与えられた試練を乗り切るには、
この《オリジナル・紅蓮丸》の封印が不可欠だった」
こないだの戦闘で、新機体・鳳凰丸に新造艦・機動戦艦ノア。
そして、興味深い“オリジナルの紅蓮丸”。
飛鳥の頭の中の“アカシックレコード”の情報量がパンク寸前だ。
だけど、持ち前の頭脳でこのサプライズに喰いかかった。
「二人とも詳しくお願いします! それに、オリジナルの紅蓮丸とは?!」
「うん。わかったよ、飛鳥君。結論から言うと、いままで飛鳥君が
乗っていた紅蓮丸は試作機。つまり、(プロトタイプ)だったのさ。
これは、いつぞや説明はしていたよね? それゆえ、こっちの紅蓮丸は
完成機の紅蓮丸なんだよ」
ロボットを題材にしたら、お決まりの【試作機】。
エ○ァやスパ○ボといった『ロボモノ』では、王道の主人公機。
「なにを隠そう、いままでの紅蓮丸はこの紅蓮丸を元に製造されたんだ。
だから、オリジナルの紅蓮丸から、
超新星機関とフルダイレクト型・エンゲージリンクシステムをコピーして、実験的に試作機にとり入れていたのだ。
飛鳥に秘密にしていて、すまなかった」
銀河帝国メルディアスから、技術をとり入れた紅蓮丸。
そして、“ある協力者”によって、完成された紅蓮丸。
オリジナルには、銀河帝国メルディアスと地球の文明の推移と血と
汗の結晶が融合された、機動機甲兵器タイプサムライ紅蓮丸なのだ。
久しぶりの『正式名称』。
「飛鳥君は見事に『紅蓮の飛鳥』として、試作機を乗りこなせ鳳凰丸さえも
機動するのに成功させた。我々人類は切り札、真の紅蓮丸……。
《鳳凰丸紅蓮丸》を飛鳥君に託せたっ!」
「渚を失って絶望感に浸っていたが、私は奇跡を発現させた。
どうにか、私たちはオリジナルの紅蓮丸を完成させた」
飛鳥は先ほどのテンションではなくなり、神妙な顔立ちで
二人の会話を訊いていた。
いや、三人の会話だった。
「そう。私もこの体で“宇宙”を感じて現世に再誕できたわ!
愛息子の飛鳥には、過酷で厳しい運命を背負わせてしまったけどね」
神々しさと渋いフォルムからは想像できない声が
紅蓮丸から発声されている。
もちろん、声の主は『生体コア』の渚。
「それは、もういいんだ。僕が選んで僕、自身の答えだから。
しいて言えば、剣持飛鳥の『デスティニー』だから☆」
飛鳥は優しく微笑み、紅蓮丸に手をかざした。
「まさに我が生涯に一片の悔いなし……。
飛鳥も決断はできているわね!」
飛鳥は新しい力で地球と銀河帝国メルディアスの戦いを
最後までやり抜くと心に刻み込んだ。
それにしても、飛鳥の頭の中は真の紅蓮丸の性能が知りたく一杯だった。
「それで、この真の紅蓮丸の性能とは、いかほどなの父さんたち?」
『いい質問だね、飛鳥。ではではと……』
息の合ったハモリでこの夫婦は、楽しいそうに解説をはじめた。
機動機甲兵器サムライタイプ紅蓮丸。
純粋にオリジナルは、試作の能力を凌駕する。
その性能は、三倍以上の推力とパワー。
超新星機関も百%使用可能になる。
いままでは、夢の無限エネルギーだったが、欠陥があった。
しかし、オリジナルの紅蓮丸は超新星機関を
自由に使え、無限のエネルギーで戦うことができる。
ロボットモノでは、反則の性能を誇る。
また、その無限エネルギーを一時的に開放すれば星々の力を借りて、
超新星エネルギーを解放することで『五倍』の戦闘力を得る。
まさに紅蓮丸の奥義である。
しかし、超新星機関の解放は
オリジナルと言えど、一度発動してしまうと
発動後は、著しく性能が低下してしまう。
それでも、試作機に比べてみれば発動時間は、大幅アップの十分間。
それにまだ『隠された能力』も存在するらしい。
とにもかく、オリジナル紅蓮丸は史上最強のロボットである。
そしてサポート機、鳳凰丸。
紅蓮丸に紅の翼を授け飛行戦と宇宙戦を可能にさせた。
それだけではなく、機体にはビッグバンエンジンが積まれている。
理論上の無限エネルギー機関を二基搭載。
超新星機関の解放を禁断の二連鎖が可能となっている。
それが、機動機甲兵器サムライ・『鳳凰紅蓮丸』の性能である。
『真の紅蓮丸……それに合体形態。それが、《鳳凰紅蓮丸》』
「これこそ、ロボットアニメの王道かつ醍醐味だね。
二人とも! 僕は……僕は……」
「うんうん。チョッチ、ガン○ムOOと被ってるけど、
飛鳥には、人類を守る最後の剣と盾を託すわね☆」
風間司令と剣持博士は、いつかこんな日々がくると信じて
切磋琢磨と研究と準備をしてきて、
やっとその苦労が報われた瞬間だった。
「まぎれもなく、紅蓮丸は紅蓮の飛鳥の専用機体だよ。
それと機動戦艦ノアだが……」
風間司令も機動戦艦ノアの説明をしたくて、疼いていた。
キン肉○ンでいう、テ○ーマン。
刃○の愚地独○のように解説をはじめた。
こちらは、未知のエンジン【コスモブラックホールエンジン】を
搭載した亜光速戦艦。
特異点やワープなど、SFものには欠かせない設定が
ふんだんに詰め込まれている。
いきさつは、『例の協力者』によって支援され、来るべき日に備え
今日まで風間司令と剣持博士で作り上げた。
機動戦艦ノアによって、黄金騎士連合を中間地点で迎撃が可能となり
少なからず、地球は悠久の時を過ごせる。
「まぁ。こんなもんだよ、飛鳥君。一応、秘密兵器もあるけどね!」
腕を組み得意げに風間司令は飛鳥に語ってみせた。
「機動戦艦ノア。僕らはこれに乗って、宇宙に出て無限に広がる
星々を突き進むのか! いや~、たまらんですわ」
たまらず、唸る飛鳥。
絶品の料理を食べたときのように、顔を歪める。
だが、このあとミスター味○子のように過度な演出による
表現とリアクションに母と父は頭を抱えて、風間司令は苦笑した。
「飛鳥はすぐ、真似したがんるだから。今後は少し自嘲なさい!」
「き、君が言うかね……」
とにかく、息の合った飛鳥と渚のシンクロコンビネーション。
これだけ、波長が合っていれば真の紅蓮丸に搭乗して安心。
一同はやりとりを終え、各々残された猶予である一週間を迎えた。
そして、ある者は、普通に高校生活を過ごし青春時代を謳歌して。
ある者は、紅蓮の機械に乗り。
ある者は、唯一の肉親を思って漫画を読んでいた。
人類は各々、自分の時間を過ごして『約束の日』を迎えた。
「おはよう、命ちゃんに翼! それに蘭大尉も」
『おはよう!』




