~奇跡の合体~
「でも……。やるしかない! そうとなれば、残りのパワーを推進力に回して
銀騎士と相打ちで……」
飛鳥はそう静かに呟き、二刀流を構えて突進した――。
「いくよ、紅蓮丸!!」
機体中の全エネルギーをブースターに回して、一切被弾に臆せず
目標に猛突した。
「しょ、正気か。俺らの攻撃を一切無視して、隊長を狙いに。
し、しまった隊長!!」
青銅騎士たちの警告も虚しく、
紅蓮の炎と化した紅蓮丸の突撃は隊長機、銀騎士の
機体を貫いた。
「さすが、あの【聖騎士マリア】を討った奴だ……。
だがな、致命傷は逃れた……。俺の勝だ!」
渾身の一撃も敵機を大破させるだけで、虚しく沈黙した紅蓮丸は、
宇宙に漂流する形になってしまった。
「これで、蒼き星『地球』を奪える」
このあとは、無残だった。
赤い機体に群がる、機械軍団の光景が待ち受けている。
このとき飛鳥は、ある思いが脳内を巡っていた。
とある、鉄の城の魔神。
あるいは、赤い汎用人型決兵器【エ○ァ二号機】。
彼は覚醒して、善戦するもエネルギー切れや限界を起こして
敵機に逆襲され、屍同然となり絶望の淵に堕ちた。
しかし、飛鳥は彼らと違い絶望はしていなかった。
「あぁぁあ! このままでは飛鳥君が……」
シャトルからは、勝利の象徴だった紅蓮丸の無残な姿が晒されていた。
まさに、絶体絶命……。
九回裏ツーアウト満塁。
――と、そのときだった。
NETEROが存在する場所から、謎の物体が高速接近してきていた。
『ははっ! これで貴様の最後だ!』
飛鳥は、目を見開き三位一体で止めを刺しにきた迫撃の影から、
赤い残像を見て、意識が急速に加速された。
すなわち、《加速装置発動!》
「ぬ、な?! ど、どこに消えた……」
彼らは、目の前の紅蓮丸を見失い悶絶していた。
しかし、銀騎士の隊長機が気配に気づく。
小隊の背面には、紅蓮丸が立ち空くしている。
「なぜ?! 先ほどまで、躯同然の機体が我らを置き去りにする速度で――」
その答えは、出ていた。
隊長が紅蓮丸を分析・解析していくと。そのフォルムから、
紅の翼が背中から生えていた。
「お待たせ、紅蓮の飛鳥さん。いや、愛する息子よ?」
「その声は、母さん……? そ、それにこの翼は……」
飛鳥は、久しぶりに母、渚との再会で動揺が隠せなかった。
「ごめんね、飛鳥。いつも大事な場面でいなくて
今回もこんな危ない場面で……」
飛鳥は絶対的危機を免れた、安心感と母との再会で、
感情のスイッチが切り変っていた。
「ありがとう、母さん。僕は母さんのおかげで『破滅の運命』を免れた。
赤い人型決戦兵器の女の子とは違ったんだね」
「えっへん! 息子のピンチには、親は駆けつけるもんよ。
それにエヴ○の女の子は新劇ヱ○ァで、トゲトゲしさが抜けてフラグも立ってるわ☆」
いままで躯同然だった紅蓮丸は、反撃の翼と頼もしい支援者を手にした。
「蘭大尉、蘭大尉! 鳳凰丸は、無事宇宙に上がりましたか?!」
シャトルが奇跡のできごとで歓声が響くなか、聞きなれた声が蘭大尉の耳に入った。
「その声、林ね? よく知らないけど、紅蓮丸に翼が生えてるわ」
「それは安心しました。衛星カメラがやられたいま、剣持博士や風間司令が
飛鳥君、【紅蓮の飛鳥】の詳細を気にされてます」
NETEROの極秘裏の射出口から、鳳凰丸を打ち上げたのが
裏方の林技術長だった。
「とにかく、母さん。短期決戦だ! 前みたくサポートよろしくねっ!」
「えぇ、飛鳥。お母さん、合点承知だわっ」
大破していた紅蓮丸だが、渚のサポートにより
エンゲージ・リンクシステムを再起動さえ、
エネルギーは底をついていたが、鳳凰丸の出現でエネルギーが半分まで回復して
迅速高速戦闘で右腕に残された“太陽刀”を駆使して
青銅騎士二機を一気に撃破した。
「大将! どうヤ羅、紅蓮の飛鳥ハ、ダイジょウぶのよう堕な!」
「おう、634。これで、人類は宇宙での戦闘を奴らに思い知らせたぜ!」
このいかにも、ロボットらしい口調なのが、林を補佐するロボット634。
634曰はく、ガ○ダムのハロやど○えもんがライバルであり、目標らしい。
打って変わって、銀騎士の精神は、
天国から地獄付近まで、テンションゲージが暴落していた。
「このタイミングで隠していたか……。それにあの機動力にパワーは、
あの鳥型の機械にも……。超新星機関を感じる」
「一気に形勢逆転♪ この『鳳凰丸』にスキはないわ。
これぞまさしく、ロボアニメの王道。
『機体がパワーアップする回』ですから!」
察しのとおり、鳳凰丸にも超新星機関が積まれている。
星々が生まれて死ぬエネルギーを無限に生成して、
超次元のパワーを生む、99999999999……。
『∞』の可能性。
そして、いま史上初ビッグバンエンジンを『二基搭載』した、
紅蓮丸はさらなる、高みへと昇ることになる。
「鳳凰丸……。これにも、ビッグバンエンジンが積まれてる。
それは、凄い。いまは、ボロボロの紅蓮丸だけど。本来の姿なら」
「もちろん、父さんと林君とあの子……。いや、『協力者』によって
紅蓮丸は一時的に【鳳凰紅蓮丸】に進化したわ。
それにサプライズは、まだあるしね☆」
ロボットには、欠かせない《合体形態》。
飛鳥は、目を瑠璃色の星々のように煌めかせている。
「――鳳凰紅蓮丸。ぼくらの新しい力。
とにかく、いまは目の前の敵を倒して地球に帰ろう!」
「そうね、飛鳥。そうと決まれば……。『必殺~』」
飛鳥は、渚のかけ声とともにフルスロットルで残像を放った。
そして、銀騎士機の背面をとらえた――。
その凄みときたら、『チェンジ・真ゲッター○ボ 世界最後の日』の
真ゲ○ターワンが移動する、作画に匹敵する移動だった。
「一時はどうなるかと思ったけど、これで終わりだっ――!!」
『必殺、灼熱紅斬波!!』
飛鳥のかけ声と渚の声が重なり合って、宇宙に轟いた。
紅蓮鳳凰丸から、一刀両断の一太刀が繰り出され敵機を撃破させた。
この瞬間、人類初の宇宙での戦闘が終了した。
「……どうやら、報告以上の戦力だったな。
しかし、貴様らは俺らを本気にさせた。
もうじき……。やって……くるぞ……」
「ど、どういうことだ?!」
最期の最後に意味深な台詞を残して、銀騎士は、
静かに誇り高く、息をひきとった。
幸いこの戦闘で飛鳥自身は軽傷だった。
だが、紅蓮丸は大破で帰還するのがやっと。
今後、戦闘することは、不可能に近い状態だった。
鳳凰丸の参入でギリギリ、勝利を治めたが損害はその分大きかった。
とにもかく、紅蓮の機械を乗せたシャトルは帰還した。
――そして、黄金騎士連合が地球に到着するまで残り二か月……。
一方、地上では――。
剣持博士と風間司令は、次の段階に移行する『計画』を練っていた。
「渚の目覚めは、嬉しいがこれで残る切り札はあと二つですな。風間司令?」
「ええ、博士……。だがそれも、もうじき世間に公表して我々は、
彼ら『銀河帝国メルディアス』の黄金騎士連合と戦わねばならん!
それにもう時間がない……」
この二人には、勝利を祝う余裕もなく、明日を見据えていた。
少しずつ影の『協力者』の姿が見え隠れしているが。
メルディアスも奥の手を使い、両陣営とも焦りが見えていた。
無論、協力者もその一人でこの戦いの結末は誰も予測ができなくなっている。
――そして、二日後……地球を揺るがす出来事が起こった。
いまから、歴史的声明を発表しようとしているのが、
NETEROのセントラル・サタン。
いまから、風間司令と剣持博士の二人は、全世界に向けて語り掛けた。
「全世界のみなさん、私たちは地球防衛軍所属・特殊機密組織・NETEROの
風間司令と剣持博士です。これから、お話しすることは
全て地球で起こっていることで現実のお話なので心してお聞き下さい!」
シリアスかつ、厳かに風間司令と剣持博士は神妙な面立ちで口を開いた。
その光景を一般の人たちと同じように、飛鳥をはじめNETEROの面々は、
セントラル・アースで見守っていた。
「い、一体なにがはじまるのかしら?!」
「蘭大尉でも知らされてないとなると、僕らでは……」
当事者という立場ではあるが、飛鳥たちは動揺が隠せずいる。
それもそのはず、【特定機密z1】を超える、機密をいまから
二人は告げるので飛鳥たちに知る術がない。
「では、改めて。いま、地球は【銀河帝国メルディアス】に侵略されています……」
富士山に巨大戦艦が降りたった日をさかのぼり。
銀河帝国メルディアスのこと。
さわりの部分を風間司令が担当して、バトンは剣持博士に渡った。
紅蓮丸と黄金騎士マリアとの激闘を緻密に報告していった。
画面の向こう側から、悲壮にも似た歓声が響いていた。
飛鳥たちもいきなりの真相を世間に聞かせ、動揺する世間に対しては無力。
ただただ、固唾を飲んで親身に聞くしかなかった。
「と、父さんたちはどうして突然、世界のみんなにいままでのことを。
地球ではもう彼らの残党しかいないはずだのに……」
飛鳥の疑問は、正論そのものだ。
新型の鳳凰丸が参入して、宇宙からの敵も倒していまさら
世間に自分らの功績と真実を明かす意味をわからずいる。
このときばっかし、母を巡って父と衝突した、飛鳥の心境。
「風間司令に剣持博士も大きくでたわね! だけど、このあともっと
大きな展開を予感させる。ちなみにこれは、『女の勘』ってやつね?」
「はいはい、蘭大尉殿。しかし、ただごとではない予感!
これは、飛鳥でいうニュータ○プの予感ですね!」
シリアスな雰囲気を壊す翼の一言に黄色い閃光と言わんばかりで、
ギロっと翼を睨む視線が命から放たれた。
その眼力に翼は委縮して、即座に黙り込んだ。
命も父である風間司令の動向が気になり、落ち着きがなかった。
「命ちゃん、落ち着こう! 僕も父さんの考えはわからないけど
きっと大丈夫な気がするんだ。だから、命ちゃん。信じて聞いていよう!」
救世主、紅蓮の飛鳥言葉により、NETERO面々は落ち着きを取り戻した。
「……以上がいま我々『地球』をとりまく実態です。ですが、ここからが本題です」
「先ほどお話に出た、黄金の鎧に包まれた騎士団によって世界は甚大な
被害を受け、悲しみと誇りを同時に失いました。
それでも、紅蓮のロボットと一人の少年の活躍でどうにか、
彼らを撃退できました」
一方的に侵略戦争を仕掛けられ、地球は儚い命が散っていた。
だが、【騎士精神】に純真な彼らもまた、少なからず命が失われてはいた。
双方ともに、憎しみや恨み。
亡くなった者は、もう『還らない』




