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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第二章:『宇宙の彼方へ☆』篇
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迫りくる脅威

とある、蒼き星……『地球』。

銀河帝国メルディアスの侵略で、未曾有の危機にさらされたが、

紅蓮の天才剣士、【剣持飛鳥】により地球の平和は守られた。


――しかし、地球と一直線上に存在する、星はざわついていた。


「聖騎士マリアのエクスカリバー・クィーンナイトの反応が

完全に途絶えました! 姫様」

早々と、若い通信兵の一人がエリス姫様の玉座に現れた。


「……そんなはずは、なかろう。もう一度、やりなおせ!」

「お、お言葉ですが姫様。すでに何百回とやっております。

現状、やれることのことをやって、八方塞がりです……」


荒げる声が静まり、玉間は沈黙が支配した。

すると、扉の向こう側から複数の足音が聞こえ、扉が勢いよく開かれた――。


「ね、姐さん。マリア姉さんの生体反応が、消えたとは本当なのですか?」

「シン! なんと無礼な。ここは、姫様の御前であられるぞ!」


黄金の鎧に身を包まれ、二本の槍を構えた銀髪の若い

黄金騎士ゴールドナイトと大木のような巨体とそれに見合った、


斧を背負った豪傑の大男が若い黄金騎士を追う形で、

エリス姫様の玉座に乱入してきた。


「シンにバーンよ。そなたらも、この情報を耳にしていたか」


『地球攻略作戦』に出た、マリア率いる、黄金騎士団の行方を巡って、

銀河帝国メルディアスで物議をかもしていた。


だが、すでに答えは出ていた。

マリアは、通信さえもできない事態に陥ったと。


「まだ憶測に過ぎない。だが、このままでは地球帰還作戦が。

我が一族……この星に『住む者』たちの悲願が……」


エリス姫や黄金騎士たちもこの事態は、予想していなかった。

本来なら、移民船を蒼き星、『地球』に出航させていた段階。


「エリス姫様。こうなっては、自分の騎士団も出陣させて下さい!

この【聖槍のシン】が、マリア姉さんを探し出し、蒼き星を討ってまいります」

「姫様。シンだけではなく、この聖騎士長、バーンにも出撃の許可をくださいませ!」


二人はしゃがみ込み、立膝を立てエリス姫に願い出た。


「そなたらの申し出は、嬉しく思うぞ! 特にシンは唯一の肉親のマリアを思う気持ち。

そして、バーン。貴殿の忠誠心にも感謝する」


エリス姫は黄金騎士たちの申し出を承諾した。

すぐさま、黄金騎士たちは立ち上がり、マントをひる返して

玉間から立ち去っていった。


「おいおい、君たち面白いことするじゃん?! なぁ、エリスちゃん。

俺もこの作戦に混ぜてくれよ?!」


突如、もう一人。大理石の柱の陰から、煙の如く出現した黄金騎士ゴールドナイト

その言動から、いままでの黄金騎士とは逸脱している。


そもそも、彼には騎士を名乗るに武器を持ち合わせていなかった。


「ナックルズ。貴様のような、不届き者に今回の作戦にはいらん!」

「そう、熱くなるなよ! バーンのおっさん。俺も暇でね……。

暇つぶしで、マリアちゃんを助けられる口実に……」


ナックルズが放つ言葉でバーンと一触触発の雰囲気が漂っている。

しかし、エリス姫から意外な返答が出た。


「聖拳のボア==ナックルズ。そなたも今回の作戦の参加を許可する。

そして、いまは『奴らも』大人しいからな」

「流石、エリスちゃん。バーンのおっさんとは違うぜ!

そんじゃ、シン君。よろしくな!」


「あぁ、ナックルズ。となると、俺ら黄金騎士は連合騎士団を結成って訳だな」

「そうだ。我が、『黄金騎士』たちよ。ならば、あらためてマリア救出と

蒼き星『地球』の制圧を早急に頼んだぞ!」


『はっ! エリス姫様』


エリス姫様の計らいによって、史上初の【黄金騎士連合】が結成された。


黄金騎士の長であるバーンだけは、この聖騎士連合の行方が心配ではあった。


それでも、三人の黄金騎士たちは、各々抱える騎士団に帰り

出撃に備えるべく、チリチリと散開した。


「はぁ……。これで、目先の問題は解決できそうか……。

残る問題は、『あれ』の始末だけか……」


嵐が過ぎ去った玉座でエリス姫は、一人どこか寂しげな表情で

マリアの行方と他のことについて頭を悩ませていた。


普段厳格な姫様でいるが幼くして、父と母を亡くして

姫という仮面を被り演じている。

それでも、両親から受け継いだ『地球帰還』の使命を、全うするために必死だった。


そして、【黄金騎士連合】が太陽系に到着するまで残り、三か月……。


――その頃、地球では、夏の灼熱が陽炎の如く去り、

巷では秋風が吹いていた。


食欲の秋。運動、スポーツの秋……。なにかと、秋は過ごしやすい季節。

しかし、地下に住む《彼ら》には、関係がなかった。


「やはり、あなたが予想していた事態になりましたか」

「エリスも必死です。それに裏であの子を操っている

黄金騎士の動きにも目が離せません」


ここは地下に存在する、【地球防衛軍所属・特殊機密組織・NETERO】

その中でも、数人しか入れない『セントラル・サタン』


なにやら、風間司令と剣持博士は、大型画面に映し出された人物と話し込んでいる。


「いよいよ、“あの計画”が発動するときがきました……。

これから地球と銀河帝国メルディアスとの」

「それは、仕方ありません。一度はじまってしまった戦争ですから。

それに私たちが先に一方的に攻撃した訳ですし」


どうやら、声からして女性のようだ。

それも、綺麗で優しい音色。


だが、残念なことに映し出された画面に顔は映りこまれていなかった。


「わかってはいます。私たちは、侵略戦争をしたい訳ではないです。

それに勝つとは限りません。それでも、紅蓮丸や渚のような

奇跡を起こせたので、メルディアスとは対話したいのです」


「ふふ。私はとんだ勘違い者でした! そうです。

だから、私は“紅蓮丸”や【ノア】をあなた方に託しました。

この未曾有の困難に立ち向かう『意思』と力を!」


『我々はもうじき、あなたの恩に報いえるときがくるでしょう。

そして、そのときが近いはず……』


いつもの流れだと、画面の向こう側にいる女性が「はい、ごきげんよう」と

告げて大型画面がブラックアウトするのだがこの日は、違った。


『緊急事態発生! 現在、大気圏付近にて、未確認物体を確認。繰り返す……』


「もうし訳ありません。どうやら、隠密に出撃した先遣小隊が、

銀河系を抜けて太陽系、地球に迫ってしまったようです」

「残党が大人しいと思えば、これに賭けた奇襲を用意してましか。

それに宇宙とは……。いまの我々に」


「それでも、『紅蓮の飛鳥』に託すしかない。

だが現実は、厳しい宇宙戦にも対応していないし。

残党との戦いでエンゲージ・リンクシステム、渚もまた眠りについて、

いまはどうにかオートマチックに改良した紅蓮丸だが、

本来の力の『10%』も出せないだろう……」


この間にも、緊急アラートがNETEROに響き渡る。

風間司令と剣持博士は、決断した。


「また、地球を戦火に包ませたくなかったが、地上で迎撃させるしかない」

「場合によっては、『封印』を解いてでも……」


『現在、大気圏に現れた未確認物体数機は、大気圏付近で待機中。

藤崎大尉曰く、我々を誘い出し。『人類の力』を試しているとのこと』


意外にも彼ら、銀河帝国メルディアスは、慎重だった。

技術もさることながら、彼は地球のあらゆる可能性に。

さらに彼らは、地球人類が宇宙に出て、侵略できるかをこのとき、試していた。


「これは罠でもありますし。現状のあなた方の戦力をもう一度探っています。

ですが、これを見逃してはまたしても地球は……」


すると、司令室から強制的に通信がセントラル・サタンに入り込んだ。


「風間司令……いや、お父さん。飛鳥少尉が宇宙センターに

紅蓮丸で出撃してしまいました。と、止めましたが……」

「飛鳥はすでに決心していましたか。なら、私たちも」


「剣持博士、我々もいまできることを飛鳥君に!」

すると、優しく心地のいい音色が再び聞こえた。

「流石、地球の英雄で博士のご子息、『紅蓮の飛鳥』殿。

私は健闘を祈っております……」


悠久の時間を勝ち取ったが、またしても地球は危機にみまわれている。

人類は『世界最後の日』を迎えてしまうのか。


そして、その裏では三人の黄金騎士による、黄金騎士連合が

地球を目指して進行していた。


黄金騎士連合が太陽系に到着するまで残り、『二か月と二十日……』。


「はぁはぁ……。紅蓮丸、がんばってくれ! やっと掴んだ平和のためにも」


エンゲージ・リンクシステムの垣根を越えて、

飛鳥は以前よりも紅蓮丸の手動による、操作技術は上達していた。


だが皮肉にも、この状況ではマシンパワーが飛鳥に追いつけずいた。


「ママ! あの赤いロボット見たことあるよ?」


いま、紅蓮丸は都内の高速道路に乗用車並みの速度で紅蓮丸がホイール走行していた。


いままでなら、華麗に俊敏に、そして鮮やかに乗用車をくぐり抜けていたが

最近では、行きかう乗用車たちに、道を譲ってもらい紅蓮丸は肩身狭く走行している。


「おいおい。あの『赤ツノ』が現れたってことは、またなんかあるのか?!」

なかには、気怠そうに道を譲るトラックの運ちゃんたちも見受けられた。


「あの赤いロボットさん、ボロボロだけどカッコイイね。ママ?」

「そうね。あの赤いサムライのロボットが世界……日本を救ってくれたのよ。

いや、正確には赤毛の男の子が救ってくれたの。

お母さんは、以前謎の騎士団の襲撃のときに

その男の子に目の前で救われ、いまがあるのよ!」


美少年で剣道の天才剣士として、剣持飛鳥は少し名が世間に知れ渡っていた。


しかし、つい先日の黄金騎士マリア率いる、NETERO襲撃まで

素性は世間に極秘扱いされていた。


飛鳥がいまにいたるまで、親子の葛藤。親しい人への想い。


それらの苦悩を乗り越えて、剣持飛鳥は、自身に課せられた


『運命』に立ち向かい、両親と和解して友達にも正体を明かせ

【紅蓮の飛鳥】として、駆け抜けてきた。


ふと、飛鳥はこの親子が乗る車を横切るとき、自然と目線を向けていた。


「赤毛のお兄ちゃん。頑張って! 私も応援してるから!」


飛鳥は車の窓越しに手を振る女の子の想い汲み取って、

紅蓮丸で敬礼してみせた。


「ありがとう! 僕は負けないよ。だから、安心してね」


――その瞬間、紅蓮丸は赤い稲妻のように走り去っていった……。


「あ! それと、忘れてたけど『あの子』かなりのイケメンだったわ……」


また人知れず、飛鳥のファンが増えていくのであった。

少しばかり時が流れ、ここは都内から少し外れた“宇宙ステーション”。


飛鳥は、着くやいな紅蓮丸から飛び降りて司令室に駆け込んだ。

「いますぐ! 僕を宇宙にあげてください!」


端整な顔立ちから想像できないほど、

飛鳥は鬼気迫る勢いで司令室の扉を開いていた。


「君、困るよ。なんだって突然現れて?!」

「いや、彼は正しい。お待ちしておりました、剣持飛鳥少尉殿!」


宇宙関係者は、大気圏付近を停滞している謎の物体集団でパニックのなか、

そして、突如目の前に現れた紅蓮の少年に宇宙ステーションの人々は、

呆気にとられていた。


しかし、一人だけ冷静な漢がいた。

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