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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第一章:『地球激闘』篇
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雌雄決する

その眼差しはとても、心配そうで困惑はしていた。

しかし、その間にも息きつく間も与えられない攻防は続けられた。

左手の小太刀を使って牽制しつつも、右手の刀で小手、胴をえぐり抜いた。


「くっ。互いに満身創痍だな。私も限界間近だ。しかしここにきて

貴様の剣には重みが出たな。

それは、親しい人や愛しい人を前にしてかな?」


マリアは冷静な口ぶりで分析して、目線を横目にして寂しげに飛鳥に聞いてきた。


「えぇ、そうです。ここにいる人は、親友とツンデレで大好きな幼馴染です。

僕があなた方、銀河帝国メルディアスの脅威から守ると決めた人たちです!」


マリアは一瞬優しい目となり、またしても自嘲した――。


「私もそんな奴を知っている。だがそいつは、生まれながらに

騎士になるには、色々な障害があった。だが、ゆるぎない想いで

黄金騎士になり、『聖騎士』の称号を手にした。

聖騎士マリアとして、敗北はない!」


少なからず、彼らは共感し合っていた。

たとえ、言葉を交わさずとも刃を交えて理解していた。


並みならぬ決意――誓いを立て、この地球に侵略してきたんだと……。


「もう、飛鳥君ったら! いや、パパもパパよ。

みんなで私を過保護にして、二人は私に秘密で訳のわからない敵と戦って。

私は大切な人が苦しんで、もがいているとき飛鳥君に嫉妬やいやな気持を抱いて……」


数メートル先で風間司令は完全に、風間パパになっていた。

それはまさしく、年頃の娘に手を焼いてこまねく、父の表情だった。


「本当に命さんは、飛鳥君が好きなのね? フフ、罪な男ね!」


こんなときも蘭大尉は変わらずいる。

むしろ、自然体だった。


「ふ、藤崎さん。からかわないでください! 

飛鳥君も飛鳥君で悪いんだから。ぷい……!」


飛鳥と目線が合っても、命はソッポ向いてしまった。

しかしその瞳は潤んでいて、顔色は紅く染まっていた。


「まぁまぁ、風間マネージャー。飛鳥の気持ちも汲み取ってやろうぜ。

飛鳥は俺たちや世界のために、その身を危険にさらしていた。

俺たちの前では、多少心配な場面もあったがいつも毅然とした態度だった。

本当は許すもなにも、俺や自分が飛鳥の力になれなかったことが、許せないだろ?」


翼の言葉にみんな、納得して命は制服の袖で顔を拭った。

目を閉じて、胸に手を当てて綺麗な瞳を見開いた――。


「あ、飛鳥君……ごめんね。いままで、気づいてあげられなくて。

でも、これからは私も飛鳥君やみんなの力になるから!

だから、その金ピカを倒してまた、学校で一緒の時間を過ごそうね☆」

「ハハ。世話が焼ける、夫婦だぜ! でも、これが俺たちの答えだ、飛鳥。

とっとと、そいつを倒して元の生活に戻ろう!」


命と翼の言葉一つ一つが飛鳥の苦労や切なさを解き放った。

彼はあらためて、みんなから『愛されてる』と実感できた。


「ありがとう、命ちゃんに翼。僕は紅蓮丸に乗ってよかった。

父さんや母さんとも、絆を再確認できて自分の運命も受け入れられた。

だから、勝つんだ! みんな、待っててね」


風間司令も呆れた表情で命に肩を置いて、不思議と笑みがこぼれていた。


蘭大尉と翼は妙にウマが合って、あとあと飛鳥の脅威になると戦々恐々としていた。

その光景にハンカチを噛みしめて、林と634は傍観していた。


「多分ですが、これが最後の打ち合いになります。

ですから、僕の全てをあなたにぶつけます!」

「奇遇だな。私もそう思っていたところだ。

そういうのは、勝者が言うのだ『紅蓮の飛鳥』」


互いの想いと持てる力の全てを”剣”に乗せた……。


「はぁぁあ! 『紅蓮双刃剣』いっけぇ――」

「唸れ! 黄金の剣よ。姫様のためにも、いまこそ煌めけ――」


脳内変換もさることながら、渾身の十二連撃の炎がマリアの黄金の剣と衝突した。

最後の連撃により、小太刀は吹き飛び飛鳥の手には一本だけ刀が残っていた。


しかし、マリアは連撃の余波で体制がよろめいていた。


「飛鳥君、いくんだ!」

「さぁ、紅蓮の飛鳥。飛鳥君、いっけ!!」


みんなの声援が飛鳥の背中に当たっていた。

いまの彼にならこの思いは耐えられるし、なによりは嬉しかった。


「飛鳥。お前の『二刀流』は無敵だ。

だけど、俺たち――人類の想いを乗せた一本の刀だからこそ」

「飛鳥君、頑張って! 私は飛鳥君が勝つと信じてる!」


『いっけ! 紅蓮の飛鳥!!』


声援が一つになり、飛鳥の力になった。

彼は瞬時に両手に持ち替え、紅蓮刀で黄金の剣を叩き落とした。


飛鳥はマリアの胴部に刃を走らした――。


「か、覚悟……! マリア」


しかし、飛鳥は刀を反転させ、刃のない峰打ちにした。


「な、なぜ?! 私を切らなかった……。またしても、

貴様は『騎士』の誇りを……。わ、私は聖騎士として……」


峰打ちとはいえ、その威力は黄金の鎧を粉砕して、

確実に生身の肉体に打ち込まれていた。


確かに『騎士道精神』を侮辱した勝利かもしれない。

だが、飛鳥なりの『武士道』だった。


それにさっきの騎士たちの瞳を見てこの結果にしたと思う。

たとえ殺さなくても、こうして終れればいい。


黄金騎士は気絶して、飛鳥の腕に抱かれた。

そして、黄金でできた鎧の頭部が脱げ落ちた。


銀色で甘い香りが飛鳥の鼻先に触れた。

黄金とは正反対だけど、銀色で艶やかで綺麗な長い髪の毛だった。


飛鳥は咄嗟に悟ってしまった。

再三、マリアという名前から連想はできたが……。


この人は……この子は……『女の子』だった。

だけど、いまの飛鳥に色んな憶測を考えている余裕はなかった。


いまにも、倒れそうでマリアと共倒れしてもおかししくなかった。


「あ、飛鳥! 大丈夫か?!」

「飛鳥君、ありがとう。飛鳥君のおかげでみんな救われたわ」


意識が朦朧とするなか、命や翼が飛鳥を懸命に呼んで称賛を讃えてくれた。


蘭大尉や風間司令たち、みんなの歓声が飛び交うなか、

彼の意識は遥か彼方へ遠のいていった……。


飛鳥が数日間眠っている間に世間で今回の事件と

『NETERO』や『銀河帝国メルディアス』が公表され

人類は知り地球は平和を勝ち取ったことを知り得た。


命や翼にも飛鳥の口から、直接いままでのいきさつを打ち明けられ。

飛鳥も両親と笑顔で再会できた。


――そして、一月のときが経ち。


夏の暑さはどこかいき、秋の息吹とともに

飛鳥たちが通う高校では二学期を迎えていた。


「あ、飛鳥君! いや、『紅蓮の飛鳥』メルディアスの残党が

街で暴れてるわ。至急、現場に急行してください!」


マリア率いる地球侵略部隊を撃破しても彼らは

残党騎士団を結成して、いまなお抵抗していた。


「はい、蘭大尉。いますぐ、現場に向かいます!」


授業中にもかかわらず、飛鳥は堂々と腕輪に語りかけ

風間命や水城翼と目線を合せている。


「おやおや。『英雄』の出撃かな! うむ、気を付けて」

「はい、先生。それじゃ、二人ともいくよ!」


彼らは勢いよく教室を飛び出して、

学校からNETEOに繋がっている、秘密ルートを経て飛び出した。


その際、みんなからの声援を体で受けていた。

飛鳥のことに関しては、NETEROも紅蓮丸の秘密を

公開して彼は寂しい想いから解放されていた。


いまみたく爽快に、紅蓮丸に乗る『紅蓮の飛鳥』として

美少年でオタク気質な、天才剣士と人類を守る活動を続けていた。


「剣持少尉、風間オペレーター、水城戦略補佐官到着しました」


セントラル・アースでは風間司令や蘭大尉が待ち受けていた。

飛鳥たちは様になっている、敬礼を行っている。


「はい。それでは、どうこう言う間に飛鳥少尉は紅蓮丸に

搭乗してもらいます。二人は早急に持ち場に着いて!」


『はい! 了解しました!』


三人は各々の持ち場に散っていった――。


ご察しのように、風間命と水城翼は『NETERO』に加入された。

命の執拗なまでの攻撃に父であり、司令官の風間丈は愛娘、

のNETERO入隊を渋々容認していた。


その流れで翼も同時期に入隊して、蘭大尉と馬が合い

戦略・戦術補佐官となった経緯だ。


「紅蓮の飛鳥、出撃準備は整いましか?」


白を基調としたスカートの制服に包まれた、命が少し恥ずかしげに

それでも慣れた口調で飛鳥に尋ねていた。


「はい、完了しました。あとは水城補佐官による、作戦をお聞きすれば」

SONUDONRYで飛鳥の美声が命に返された。


巨大モニター前では頭をポリポリかいて、ベレー帽に銀河○雄伝説に

出てきそうなカッコの翼が蘭大尉を見て助言を求めていた。


「う~ん……。とりあえず、ポイント座標十九と八十で

敵の青銅騎士ブロンズナイト級を二機撃破してくださいな!

細かいことは、その都度入れていきます!」


大ざっぱかつ、ただ場所と敵を教えるだけで

具体的な作戦は提案されなかった。


蘭大尉は焦り、少し汗ばんでいた。

翼に対して、鋭い視線を飛ばし、後で『覚えてないさい』と

言わんばかりのメッセージ性。


「で、飛鳥。くれぐれも、損傷しないでくれ。

紅蓮丸の機体スペックは黄金騎士マリアとの戦いでいまは三割くらいの性能らしい。

だから、ビッグバンエンジンの解放は無理だからな!」


あの激戦により、紅蓮丸は修復不能までなった。


それでも、父や林。634の懸命な働きによりどうにか『超新星機関《 ビッグバンエンジン》』と

『フルダイレクト型・エンゲージリンクシステム』は修理された。

修復リペア紅蓮丸で出撃していた。


それと『銀河帝国メルディアス』の黄金騎士、聖騎士マリアは

NETEROで極秘参考人として収容されていた。


しかし、彼女自身から有力な情報は聞き出せずにいた。


「うん、了解。翼に命ちゃん。蘭大尉もありがとうございます!

では、いってきます」


黄金騎士やメルディアスの実態は今後もNETEROは総力を上げて調査していくだろう。


そして、飛鳥の残響がセントラル・アースに響き通信は切れた。

コックピットのなかで飛鳥は楽しげに誰かと話し込んでいた。


「成り行きとはいえ、まさか命ちゃんや翼君までNETEROに来ちゃうなんて。

本当に飛鳥は人気者ね。ふふ?」


「母さん茶化さないでよ。元は僕のせいでもあるだから。

でも、嬉しいって、変な表現かも知れないけど最近……楽しいだ!」


少し前では、ありきたりな生活に飛鳥は退屈を覚えていた。

しかし、『紅蓮丸』との出会いにより、革命的に人生は激変した。

それは、失われた家族と絆の確認。


友達の大切さ。人生の『儚さ』を知り得た。

この地球で生きていく、誇りをいまの飛鳥にはあった。

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