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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第一章:『地球激闘』篇
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勇気と愛

「最大にして、最悪の窮地だね。僕らにあんなものはないよね?」

「よ、予想外ね。まだ、戦力を隠していたなんて。

紅蓮丸はこれで精一杯なのよ、飛鳥。

で、でもね。なんとかなるわ! 残り時間も一分……」


敵機の巨大な剣から、一撃が放たれた。


「ヴァーチカル・ミーティア――。さらば、『紅蓮の飛鳥』」


飛鳥は咄嗟に月詠刀を構えて、防御態勢をとるしかなかった。

だけど、光芒を放つ流星群は止まっている。


「よっしゃ! 火事場のクソ力発動ね?

月詠刀にもビッグバンエンジンのエネルギーを回して

盾のようにシールドを成功したわ。

っても、徐々に削られじり貧になるけどね……!」


この期に及んでも、渚は楽天的で楽しんでいた。

でも、母の機転で一瞬ながら、耐え凌ぎ飛鳥は決断できた。


「母さん! 月詠刀は母さんに任せる。

あと、数秒だけ耐えて左を犠牲にしてもこの状況を打破するよ。

だから、『エンジンが焼き切れてもいい』

太陽刀にエネルギーを回して、それで決める!!」


――その頃、避難地帯では……。


「みなさん、ここは安全です! 体調の悪い方や怪我をなされてる方はいますかね?」


NETEROと地球防衛軍の粘り、紅蓮丸の出現により士気が上がり

銀河帝国メルディアスのロボットたちは、足止めされ命たちは避難できていた。


「……すみません。友達……飛鳥君がいないです……」


だが、命は心配でならなかった。


先ほど彼が地下シェルターを抜け出してから

一度も姿を見られずにいた。


そして、『ある疑惑』が彼女の頭のなかを巡っていた。


「地下シェルターを飛び出して、それ以来確認できていないです。

ただ、あの赤いロボットから飛鳥君の声が聞こえた気がして……」


命の発言に蘭大尉。命の父でNETEROの最高司令官風間丈は、

動揺して狼狽していた。


「その少年の詳細はわかりません。

でも、NETEROの全員にあたってみます。

ね? 風間司令……」


このぎこちない、やりとりに命の疑惑はさらに確信へと迫る勢いをつけさせた。

そして、命は『切り札』を切った。


「お父さん……。私だいぶ前から、お父さんの仕事を知ってました。

それは、地球や人類を守る絵空事の仕事だと思ってた。

だけど、いまお父さんの仕事はこんなにも誇れるものだなんて思えてる。

でも、まだ私にも知らないことはある……!」


少し汚れて、やつれた制服に包まれた命だが、

父に語りかける姿は聞く者を魅了し、この場の人は聞き入っていた。


「だから、私もう一度あの場所に行って確かめなくちゃ……!」


すぐさま父親の風間司令は止めに入り、蘭大尉も説得を試みた。

しかし、命はこうなると思いはゆるがない。


間違えなく、母親ゆずりで頑固で意思を曲げない。


「俺も答えがあると思う……。風間マネージャー俺も付き合うぜ!」


翼も加わり、命の行動は拡散され他の人たちにも以心伝心した。


「俺も行くぜ! あの赤いロボット一機だけじゃ。男として、情けない」

「わ……私も行くわ。あのロボットには二回も命を救われた。

何もできないかも知れないけど、応援したい! それに、パイロットさんの姿も……」


さっきまで、疲れ果てて、虚しい倉庫にただ居座っていた人たちの瞳に光が宿った。

名前も顔を知らないで戦う紅蓮丸のパイロット飛鳥を助けたいと思う心境の変化だった。


「ですから、お父さん。私は戻ります……!」

呆れかえった風間司令は眉をひそめて、口を開いた。


「なんだか、お母さんに似てきたね命。そうとなれば、私も行こう……。

これは、NETEROの司令官ではなく

人の親としてここを離れるよ、藤崎君!」


蘭大尉やみんなから、『おいおい』の待ったと、声が入った。


「いまそんなことは、いいんです司令。

早くみんなで『あの子』を迎えにいって、

そのあと、ドンちゃん騒ぎのみんなでお酒でも飲みましょう?!」


命によって、『心の炎』を焚きつけられた人々は蘭大尉に先導され

紅蓮丸に乗る少年、飛鳥が死闘を繰り広げている場所へとUターンした。


そして、飛鳥は――。


マリアこと、エクカリバー・クィーンナイトが放った

『ヴァーチカル・ミーティア』の光芒の流星群を小太刀の月詠刀で

ビッグバンエンジンの解放エネルギーを必用最低限回し、

右手の太陽刀へ紅蓮丸の全てのエネルギーを回している最中だった。


「ば、馬鹿な?! 疑似的に私のヴァーチカル・ミーティアを真似て

シールドを展開して、耐え抜いるのか……。

だが、しょせん付け焼刃だな。みるみる、その小太刀は削れ

黄金の流星によって、消滅するのだ!」


時間にして、稼働可能時間はあと三十秒弱。

そして、待ちに待った、その瞬間は訪れた――。


コンマ一一秒ないタイミング。


シャイニング・ブレードの出力が一瞬落ちたのを、飛鳥と渚は見逃さなかった。


「太陽刀にエネルギーが回り切ったわ、飛鳥。月詠刀はもう限界だけどこのスキをついて!」

「はい、いっけ! 燃えろ、太陽刀――!」


電光石火で一糸乱れない、連携。まるで二人が操縦したかのように最後の攻撃に転じた。


「あ、ありえん。私の最上の一太刀を跳ね除けて、

あまつさえ攻撃に転じるとは。まるで、二人いるかのような動きだ。

まさ……か……!!」


月詠刀と同じく赤く発光した太陽刀にも、ビッグバンエンジンの解放エネルギーが加わり、

激しく燃えた炎の斬撃が黄金の左腕切り落とし、 胸部をえぐり切り裂いた。


「見事だよ。だが、私も負けられない。

黄金十二騎士の誇りと意地で!」


出力が低下したシャイニング・ブレードが紅蓮丸を襲った。

瞬間的に左腕を盾にして、胴体への直撃を回避したが左腕は宙に舞った。


それでも、飛鳥は動きを止めず互いに右拳を握りしめている

紅蓮に燃えた、太陽刀とマリアの至高のシャイニング・ブレードが

ぶつかり両方とも解放された、エネルギーともに砕け散った……。


「母さん、最後のパワーでいくよ! サポートよろしく」

「えぇ。渾身の右ストレートをお見舞いよ!」


ボロボロで傷ついた剣持親子は、最後には拳を頼った。

力を込めて、右腕を放ち敵機の顔面を打ち抜いた。


その光景は、飛鳥の方に少しだけパワーが乗った

『ライトクロスカウンター』であった。


これを、最後に両機とも完全に機能を停止した。

しかし、飛鳥はハッチを開きコックピットの横に置いてあった

二本の紅蓮刀を持ち外に出た。


「あす……か……。あなたの勝……利……を祈ってるわ!」


紅蓮丸――渚のメッセージを残して、紅蓮丸は沈黙した。

母は無事のはず。いまは、黄金騎士との決着……。


敵機のからも全身黄金の鎧に包まれた、騎士が地上に降り立っていた。


「はじめてだよ。ここまで、私を苦しめたのは。ゆえに、勝利をしたら

成長を実感できたと思える。最後は己の剣技で貴様を討つ!」


ロボットを通じて、この人物の技量は飛鳥と五分かそれ以上。

だけど、結局最後は己の肉体と『想い』で決まる。


腰から二本の紅蓮刀を抜刀して、剣道同様に『二刀流』で構えた。


「その目だと、人を切ったことはあるようだな。

だが、優しさや甘さも感じられる。

しかし、私は貴様を切って、本当の勝利を手にする」


対して黄金騎士の装備はいたって普通だった。

機体同様に剣と盾を装備して、兜を装着している。

顔は見えず、マントは風でなびいていた。


「重々承知してます。僕たちは戦争をしてるんですから。

でも、僕なりに答えをみつけました。守るためには、犠牲はいると。

僕もあなたに勝って、この戦いに終止符を打つ!」


二人は互いに距離を詰め、己の想いを乗せた斬撃を交えた――。

幾度なく紅蓮丸を通じて、刃を交えていたので、重みや癖を感じつつ

急所を狙いすませた、斬撃を放っている。


「つ、強い……! やっぱり、一筋縄ではいかないか」

「つくづく、その『二刀流』は厄介だ。

その手の武器使いは、はじめてではないが。

やりづらい。貴様はトコトン目障りだな!」


飛鳥の二刀流は、いつしか古の剣豪『宮本武蔵』に

匹敵するものになっていたかもしれない。


まぁ。それは言い過ぎとして。


自分でも二刀流は一段階上の強さを手にしたと感じていた。


いつしか、飛鳥たちの身を包んでいた、パイロットスーツと

マリアの黄金の鎧は傷つき肌がはだけていた。


黄金の鎧の隙間からは、白色がかった肌色が見えている。


「どうやら、飛鳥と同じ人間みたいですね。

それにしても、色白い」


飛鳥はこのとき訳もわからず、そう口ずさんでいた。

のちのちだが、飛鳥の本能的な言葉だと理解できた。


それはとても、綺麗で雪のような白く艶がある肌だった。


「フっ。敵にしかも、殺し合いをしてるのに変な奴だな。

貴様は変わってる。ならば――!」


シュッ! と黄金の一閃が飛鳥の腕を軽く貫いた。


「貴様も赤い血液を流すな。私らと同じ人間だな。

だが、立場や生まれは違う。

だから、こうして再三戦い、決着をつけようとしている」


不意を突かれ、敵の剣には飛鳥の血液が若干垂れていた。

極度の疲れと久しぶりの紅蓮丸の操縦で意識が朦朧とする最中……。


あさっての方向から、ドガドガと足音と声が聞こえてきた。


「おい! 二機のロボットが殴り合ったまま完全に沈黙してるぞ!」

「その近くには、金ぴかの騎士と赤毛でピチピチの服を着た、

少年が戦っているわ。それにイケメン……」


見覚えのある、集団が飛鳥の目の前に現れ嫌な予感がした。


「あ……あすか……くん!?」

「な、なんで飛鳥が日本刀持って、あのロボットのそばにいるんだ?」


飛鳥の予感は的中してしまった。

なぜだか命と翼がこの場に還ってきた。


「つ、翼。それに命ちゃんまで……。どうしてここに……!?」


刀を持ったまま、飛鳥は数秒間思考が停止している。

けれど、この者の前では命取りになりかねない。


「なにをよそ見してる! 『紅蓮の飛鳥』

貴様はまたしても、誇りある決闘を愚弄するのか?

貴様に事情があるにしろ、私情は捨てるのだな!」


一切遠慮がない黄金の剣が振り下ろされ、

飛鳥の前髪を切り払った。


ギリギリ躱しても、胴体部を狙った見事な水平線を

描いた斬撃に飛鳥は二刀流を防御に回すことしかできなかった。


「命さん。これが、あなたの『大切な人』の真実です。

ごめんなさい。これは、私たち大人のエゴで飛鳥君は、あの紅蓮のロボットのパイロットとなり、

自分の正体を隠さなければいけない、カセと葛藤を背負う運命を……」


「すなまい。二人ともいままで特定機……。もはや不要だな。

藤崎君の言うとおりだ」


数百人いるなかから、蘭大尉と風間司令たちが出て来た。

二人が戦っている、十メートルぐらい前まで接近してきた。


「飛鳥君は自分にしかできない、『運命』を受け入れた。

また、人類の希望となって、一人で……大切な人とあの紅蓮丸を操縦して戦ってきた。

だが、それは一筋縄ではなかった」


神妙な表情で蘭大尉が命と翼に話し込んでいる。


「命さんや水城君に秘密を隠しとおす儚く辛い現実。

飛鳥君自身の生まれや家族の問題もあった。

でも、こうして飛鳥君は再び戦って、私たちを守ってくれてる!」


そう、飛鳥が『あの日』紅蓮丸に乗ると心に決めた

大切な人に今度は飛鳥が見守られている。

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