表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第一章:『地球激闘』篇
19/59

激突

『飛鳥君、おかえり……。これが、再生されてるなら

きっと、困難や試練を乗り越えて、紅蓮丸に乗ってるんだよね。

だから、私たちも飛鳥君を信じて、この星の運命を再び託すわね!』


『が、頑張れ! 紅蓮の飛鳥。いや、飛鳥少尉。飛鳥君なら、

ロボアニメの主人公の挫折をいともたやすく、乗り越えられる』


『飛鳥君。いままで、すまなかったね。私も決心したよ。

この一連が終わった暁には、娘の命や世間に今回の真相を

公表して、地球の存続をみんなで考える。

だから、頼んだよ。紅蓮の飛鳥……』


録音された、声が紅蓮丸の起動と同時に動き出したらしい。


蘭大尉、林。風間司令。

飛鳥の反逆を見舞って、信じて託してくれた想い。

重圧の責任がのしかかり孤独だった。


いまの彼なら問題はない。


『我が息子よ! お母さんの渚です。とっとと、勝って有終の美を飾り

昔みたく、アニメを一緒に見ましょう! お母さんからは、以上です❤』


『おいおい、渚……。まぁ、固苦しいのは抜きだな。

また、家族で夕飯でも食べよう飛鳥。では、最愛の息子よ!』


蘭大尉たちの『サプライズ』で涙ぐんでいた表情は

両親のせいで笑みがこぼれて、喜怒哀楽が誤作動していた。


「みんなさん、いい人ばかりね。こりゃ、是が非でも勝たなくちゃ。

命ちゃんも地上で王子様を待ってるし?」


みんなのおかげで、緊張感が解かれ、リラックスでき

飛鳥は地上に飛び出した――。


「赤い奴は出てこないか……。しかし、これ以上――。

姫様に顔向けできなくなる。総員! かかれッ!」


黄金騎士率いる、青銅色と銀色のロボット軍団が数十機

飛鳥の視界に入ってきた。


「待って! 僕はここにいる。

今度こそ決着をつけるっ!」


その場の視線が一気に紅蓮丸へ注がれているのを感じた。


「遅れて出てきて、ずいぶんと都合がいいな。貴様は……!

だが、私も悠長に待てん。力ずくで部下を倒して

私の元に来るがいい……!」


黄金の騎士はともかく、他の騎士型ロボットは品性に欠ける豪傑。

彼らを片付けて、命たちの安全を確保しなくては。


『おい! あの赤いロボット、いつぞの高速道路に現れた奴だよ?!』

『俺たちを助けにきてくれたんだ!!』


全天モニターで蘭大尉を見つけ、紅蓮丸越しにアイコンタクトを交わした。


いち早く、蘭大尉は彼の視線に答えて

さっき、コッソリ返してもらった腕輪で通信した。


「……蘭大尉。ここは僕に任せて、避難してください。

かなりの激戦になると思うので早く!」


林や風間司令と打ち合わせして、答えが返ってきた。


「わかったわ、飛鳥君。私たちは一旦離れて街離れの

空き倉庫に避難します。また、私たちNETEROのみんなは戻ってきます」


最後に「了解しました」と通信して、飛鳥は後ろに振り返り

敵の軍団の前に立ち構えた。


「さぁ。いくよ、母さん! これがラストミッション」


烈火の如く赤き閃光が鉄くずの塊に飛翔して、飛鳥たちは一瞬にして

二機を太陽刀で切り裂き大破してみせた。


「く、くそが! こうとなれば、『赤ツノ』を六機がかりで囲んで

民間人を人質に俺らだけで打ち取って

本国で姫様から褒美をもらうぞ!」


残りの数十機が二手に分かれて、散開した。

一団は飛鳥らに向かってきて、もう一段は素通りで避難民の

元へ直行していった。


紅蓮丸の方は陽動で狙いは民間人だった。


「この際、誰でもかまわねぇ~。手当たり次第……」


一機、二機、三機と『二刀流』で切り裂き、目にも留まらぬ斬撃でも

敵の数の前では飛鳥の紅蓮丸も時間をとられてしまった。


――と、そのときだった。


「キャー。や、やめなさいよ! は、放して!」


命の悲鳴が紅蓮丸のコックピットに響いた。

飛鳥の怒りのボルテージが上昇され、紅蓮丸にリンクさせていく。


「母さん、命ちゃんが危ない! キャノン砲の制御とミサイルポッドを

任したよ。牽制して、命ちゃんを救出にいくよ!」

「わかってるわ、飛鳥。迅速に的確に敵機を打ち抜くわ。

命ちゃんを救って、あの『金ピカさん』と再戦ね!」


太陽刀で残りの三機の連結部のみを切り裂き、飛鳥は高速ホイール走行の

バック走でキャノン砲とミサイルを砲撃して、敵機を足止めして

反転して命をさらおうしている、一団に上空から強襲した。


「はぁぁあ! やらせはしない!」


凄まじい剣幕の勢いで、次々と敵機を切り裂いて粉砕した。

命を握っていた、銀色の合金の手から解放した。


「みこ……とちゃんは……。大丈夫ですか? 早くこの場から、

退避してください。NETEROの方々が誘導してくれますので」


い、いけない! いくら、緊急時とは言え、飛鳥は命の名前を言いかけていた。


「風間マネージャー、大丈夫か? とりあえず、逃げるぞ!

サンキュウーな正義のロボットさんよ!」


翼のおかげで、命にバレずに済んだ。

それにしても、ふぅ。危なかった……。


「うん。水城副部長、逃げましょう。

……それにしても、『この声』……飛鳥君に……」


前にもこの光景はみた覚えがあった。

紅蓮丸から見た、命ちゃんの黄色いツインテールが妙に

懐かしく、愛おしく思えた。


「フっ……。どうやら、邪魔者は消え、結局私らだけか……。

今宵は逃がさんぞ、『紅蓮の飛鳥』」


命たちは完全に避難して倒れ込んでいた。十数機の敵機のパイロットも

跡形もなく退散していた。


この空間は、紅蓮丸とエクスカリバー・クィーンナイトのみとなった。

先ほどまでの騒音が嘘みたく静寂だった。


「『僕らも』あとがありません。ですから、今回で最後です。

この紅蓮丸で勝利を掴み、人類と地球を守り抜きます!」


自嘲じみて鼻で笑い黄金騎士は一掃して

飛鳥との会話を終わらせ、武器を構えた。


「何も知らないようだな、紅蓮の飛鳥……。

だが、もはや知る必要もない。蒼き星は我らの手に!」


飛鳥は一斉に脚部ホイールをフルスロットルにした。

互いの中間地点で激しくぶつかり、火花を散らした――。


きめ細かい、紅蓮丸の小太刀により牽制もさらりと受け流され、

敵の黄金騎士から、盾により突撃でよろめきつつも

同時に太陽刀で敵機に擦り傷をつけた。


「どうやら、私を研究したみたいだな。私の癖や動きをある程度

読まれて、攻撃されてる。しかし、私も貴様の対策を練った。

――そう、あのような破廉恥極まりないことをされては。

実際、君には失望したし、騎士としての誇りを犯され

一時は殺したいほど、怨んだ。しかし、心の底では『再戦』を望んでいた」


この人は、ただ単に地球の侵略よりも飛鳥との再戦を望んでいた。


飛鳥も両親との確執を抱えていたことを、いつしか忘れ

人生ではじめて、勝ち切れなかった相手の存在……。


「あらら、飛鳥は人気者ね。あの人飛鳥のことを気に入ったのよ。

それでも、私たちはいま死力を尽くして、殺し合いをしている。

……飛鳥、私はあなたを失いたくない。これは、母親としての願いだわ」


どこか『この人』とは、通じるモノを感じている。

案外、近い存在だと彼自身も思っていた。


それでも、決着……。

その果てに……。


「とりあえず、母さん。切り合いにより、距離が生じたから、

肩の後ろに積んであった、弓矢で牽制して様子をみるよ!」


飛鳥の提案に母は賛同して、エンゲージリンクシステムで彼の脳波を

感じとり、ダイレクトに紅蓮丸へ連動した。


普段右利きだが、弓やパチンコに置いて飛鳥は右手を支点にして、

紅蓮丸ではレフティースタイルで、弓矢を黄金騎士に連射した。


渚に補助され、正確で精密な星の【白銀のスタンド】のようだった。

ただ、放った弓はことごく、敵機の剣で切り落とされてしまっていた。


この結果は予想とおりであった。

むしろ、次の戦術への繋ぎだった。


「……母さん。やっぱり、あの人は強いよ。

だけど、今回は全く恐怖心を感じないだけど、ラチが空かない

互いに決め手を打てずいるね……」


「確かに敵さんも見上げた腕の持ち主ね。

飛鳥は飛鳥らしく、紅蓮丸を操縦できてるわ。

まぁ! 『紅蓮の飛鳥』が泣き言かしら?!」


そうこうしていると、聖騎士が停止した。


「見事だ! それゆえ、惜しい……。だが、勝敗を決しなくはならない。

だから、私は決めにゆくぞ。『ビッグバンエンジン・リノベーション』」


黄金の機体が赤いオーラを帯びて、輝きはじめた。

これは、諸刃の剣である超新星機関ビッグバンエンジン解放リノベーション


一時の無限エネルギーを解放することにより、『五倍の機体性能』を

得る切り札。


しかし、発動から『三分』を超えると機体は完全に機能を停止する。


「母さん、飛鳥らも発動しよう! きっと、これで決まると思う。

未知の可能性だけど、紅蓮丸と母さんの力を信じて飛鳥は

ビッグバンエンジンの解放に賭けるよ」


エンゲージリンクを通じて、二人は声を合わせて発動した――。


『ビッグバンエンジン、最大出力の解放!』


紅蓮丸はより一層赤く煌めき、紅蓮の炎に包まれた。


燃えさかる、紅蓮の炎を機体に纏わせ、

飛鳥たちは星のように輝きを放っていた。


この戦いの大一番を迎え、飛鳥と敵は互いに睨み合っている。


数秒後――。飛鳥ら親子が乗る、赤く燃えた鎧の紅蓮丸と

聖騎士がかける、黄金に煌めくエクスカリバー・クィーンナイトが再び激しく衝突した。


太陽の光を帯びたかのような、太陽刀もさらに燃え上がり紅蓮の太刀筋になっている。

確実に敵機の装甲を削りとり、攻撃のイメージを最大限渚に伝えた。


「見上げたものだ、紅蓮の飛鳥。だが、我々に時間はない。

もはや、これを使って……!」


鋭利な突きに飛鳥たちは見舞われた。

だけど、月詠刀の防御力と渚のアシストでどうにか、 回避することができた。


「ありがとう、母さん。しかし、ビッグバンエンジンを解放しても

この形勢はかわらない。時間は刻一刻と過ぎていく……」


紅蓮丸の活動時間は、残り『一分と三十秒』程度。


「これで、終わりだと思うな、紅蓮の飛鳥! 

ビッグバンエンジンの解放には、もう一つ奥の手がある。

それはこれだ!」


敵機はマントと盾を脱ぎ捨て、両手で剣を握りしめ

しなやかな剣になにやら、光のような光源体が集まりはじめていた。


「いまこそ、光り輝け! 聖なる剣の『シャイニング・ブレード!』」

掛け声とともに、光り輝く大剣が突如目の前に出現した――。


「エクスカリバー・クィーンナイトの『真の姿』

爆発的なエネルギーを圧縮して、攻撃のみに特化した形態だ。

そして、いまより放つ一撃は私の最上だ」


ま、まさか。ラスボスの前哨戦のあとに、もう一戦あったとは。

飛鳥はこの日、一番に冷たい汗を背中でかいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ