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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第一章:『地球激闘』篇
16/59

再会、そして――

「……頑張れ、飛鳥。私はダメな父親だ。

お前には、なにかと迷惑をかけてしまった。そう渚のように……」


十三博士は頭を抱えて、モニターから目を逸らしてしまっていた。


「十三博士。まさか、『あれ』が……?!」


ただならぬ、十三博士の雰囲気に風間司令は

特定機密z1に準ずることを

隠語を使ってみんなの前で口にしていた。


「風間司令……。丈さんそれは私にもわからない。

だが、飛鳥は初陣で『あの』声を聞いている。

もしかしたら、あの二人の対面は近いかもしれない」


――そんな、ときだった。


超合金でできた、綺麗な藍色の刀が勢いよく地面に突き刺さった。


「あ、飛鳥君!」


蘭大尉の悲鳴とNETERO全員の視線がモニターに移動した。

紅蓮丸は二刀流ではなくなっていた。


左手の小太刀、月詠刀は敵に吹き飛ばされその手には、

太陽刀だけが残っていた。


「大丈夫です! みなさん。僕はただではやられません!

なんたって、天才剣士ですから!」


飛鳥はまだまだ、元気で冗談を言う余裕があった。

現に敵の黄金騎士の盾を先ほど必殺の『十二連撃』で粉砕して

その代償で月詠刀を失っていた。


「でかした! 紅蓮の飛鳥。十三博士、このままいけば、飛鳥君の勝利は目前」

彼の冷静な判断と見事な一撃に勝利を確信していた。


だが、十三博士一人は、このあとの展開を予感していた――。

この一騎打ちもそろそろ、終焉を迎えていたが、状況は大きく動き出した。


「ハハ! 君は凄いよ。その偽物で私をここまで追いやるとは。

『シン』でもここまでやるか。ここからが私の本気だ! 紅蓮の飛鳥」


敵機の黄金騎士の口調が明らかに豹変した。

飛鳥のこれまでの戦果を労っていた。彼ももうじき終わると確信している。


そして、不気味な雰囲気のなか、最後の構えをとった矢先だった。


「エクスカリバー・クィーンナイト……。

超新星機関ビッグバンエンジン解放リノベーション!」


なにかの魔法詠唱を唱えるように、綺麗で高らかな声が聞こえた。

ただ、これを機に黄金の機体は全身、赤身を帯びて、

マグマのように燃えはじめた。


「これは『諸刃の剣』さ。いわば、星々が命尽きる前の輝き。

この現象こそ、無限に近いエネルギーを全解放したのさ!」


飛鳥はいまになって、超新星機関ビッグバンエンジン

名前の由来をこの人に教えられた。


「こうすることで、機体性能は『三分間だけ五倍』に脹れ上がる。

しかし、その時間が終わると完全に機体は沈黙する」


秘密を飛鳥にバラすと言うことは、絶対的な自信の表れ。

でも、いまの紅蓮丸ではビッグバンエンジンの解放は不可能のはず。


しかし、『三分間』耐えれば……。


初対面のときに感じた、速度が遅く思える速度で

黄金に燃えた機体は残像を残して、紅蓮丸を襲撃してきた。


OOだって、トラン○ム発動でピンチになったんだ。

飛鳥が敵の攻撃を耐え抜けば、本当に勝利だ。


しかし、飛鳥と紅蓮丸は未曾有の危機に陥った。


敵が解放してから、一分経たぬ内に紅蓮丸の損傷は、

六十パーセントに跳ね上がった。


「本当にやばいようだね。このままだと……やられちゃう」


飛鳥の弱音がNETEROに響いた。

「十三博士。このままでは紅蓮丸と飛鳥君が」


……。


セントラル・アースは沈黙に包まれている。


飛鳥の動体視力を超えた、黄金騎士の剣撃は紅蓮丸の両腕と頭部を大破させ、

脚部のホイールもボロボロで見るも無残な姿で横たわった。

飛鳥はとどめを刺される手前まで陥った……。


な、なにか策はないか。

負けたくない……負けられない。


『……あなた。まだ、あきらめてはいけないわ。

飛鳥も私も希望を持っているわ……』


一人の『女性』の声が十三博士に優しく語りかけた。


「……な、渚なのか?!」

十三博士は錯乱しつつも、誰かの名前を呼んでいた。


「この場は、私たちも『ビッグバンエンジン』を解放して

切り抜けます。だから、あなたは逃走経路を確保して下さい!」


十三博士は声を荒げた――。


「みんな、いますぐ富士からNETEROに繋がる

極秘ルートを開いてくれ! 紅蓮丸と飛鳥をそこに案内する

構わんな、丈さん?」


どうやら、父さんたちは飛鳥のために大きな賭けに出てくれた

敵を前にして、NETEROに通じる極秘ルートを解禁するようだ。


飛鳥は振り下ろされた黄金騎士の剣を見極め、両腕を盾にして防ぎ犠牲にして、

凌ぎ機体をどうにか起こした。


『飛鳥、よくやったわね。これで、どうにかなるわ!』


飛鳥と紅蓮丸を繋ぐ――エンゲージリンクシステムを超えて、

彼の耳には懐かしくも、優しい声が聞こえていた。


「君は『あのとき』、僕に語りかけてきた、声だよね?

なんだ、こんな流暢に会話できるのか?!」


飛鳥は小さい子供みたく、この期におよんではしゃいでいた。

でも、それは……。


『飛鳥ったら、お母さんに君だなんて。まぁ、あとでゆっくりお話ししましょう。

では、こちらも超新星機関ビッグバンエンジン解放リノベーション――!』


……。


飛鳥が大好きだった、優しい母。

でも、どこか飛鳥は……薄々わかっていたかも知れない。


彼がはじめて紅蓮丸に乗ったとき、懐かしく愛しいにおいと思いに包まれた。

いまになって理解できたかも知れない。


しかし、飛鳥はあの瞬間から放心状態になっていた――。


それでも、紅蓮丸は一人でに動きより一層、燃え上がり、

彼の意思とは裏腹に灼熱を帯びている。


『ごめんね、飛鳥。でも、父さんを怨まないであげて。

これは、私が決めたことで、こうするしかなったから』


この言葉を最後に、飛鳥の意識は途絶えた………。


「ただちに、紅蓮丸と飛鳥君を収容して林! 風間司令と

剣持博士は、飛鳥君のもとへ」


命かながら紅蓮丸と飛鳥は逃げ切れた。

しかし、その代償はあまりにも大きかった。


一つは敵にNETEROの居場所を露営してしまったこと。

さらに紅蓮の飛鳥こと、剣持飛鳥の『親子関係』にヒビが生じてしまった。


そして、目の前で紅蓮丸を取り逃がして、富士の樹海で完全に沈黙した、

黄金騎士は怒り震えあがっていた。


「許さぬ、紅蓮の飛鳥。誇りある決闘を逃げ出し、敵に背を向けるとは。

それにあの『異様』なまでの出力とパワーを誇る、生命の鼓動……。

なぜ? あのタイミングまで温存しておいたのだ……」


聖騎士は疑問に思って納得できずにいた。

最初から使用されていたら『自分自身』がやられていたかもしれない事実。


これを機に飛鳥に対して、異常なまでの敵対心と興味を向けるようになった。


この戦い以降――NETEROや飛鳥が住む町。

彼の大切な存在である、命や翼たちは最大の危機に見舞われる。


飛鳥はベットで二日ぶりに目を覚ますと、蘭大尉に介護されていた。


「飛鳥君……。よかった、目を覚まして」


どうやら、飛鳥はあの激闘から……。

でも、いまはそんなことはどうでもいい。


飛鳥は父と風間司令に会って確かめなくては。


彼は蘭大尉を強引に振り払って、セントラル・アースに向かい

父たちに怒号を飛ばした。


「父さん! あれは、一体なんだよ、答えて」


生まれて、はじめて飛鳥は父に怒りとどうしようもない、憤りをぶつけている。


「……無事だったか、飛鳥。そ、それは……」


剣持親子の醜態を見かねて、風間司令が声をかけてみんなの視界から、フェードアウトさせた。

そして、ごく一部の人間を除いて入出許可が得られる、セントラル・サタンへと

三人は場所を移したのだった。


そこは、なにもなく縦長の水槽のようなものが立っていた。


「渚入るよ。飛鳥を……連れてきた」

暗転した水槽に光灯され、人影が見えてきた。


『飛鳥、久しぶり。お母さんです……!』


紅蓮丸のなかで聞いた声と懐かしい姿が飛鳥の瞳に映し出された。

それは、幼き日に大好きだった母の姿だった。


「もう、飛鳥もわかっているが、彼女は剣持渚。飛鳥の母親。

そして、飛鳥と紅蓮丸を繋ぐ、エンゲージリンクシステムの『正体』だ!」


父の口から飛鳥と紅蓮丸を繋ぎとめる、システムの真相が明かされた。


「飛鳥。いままで、黙っていてすまない。

だが、わかってくれ、お前をだますつもりはなかったと」


父が息子の飛鳥にはじめてみせた、謝罪の表情。

だけど、はい。そうですかと飛鳥は納得がいかない。


「僕は父さんや風間司令に騙されて、紅蓮丸に乗せられてたんだね。

しかも、母さんがシステムの一部だとわかっていて、秘密にして……!」


やっと、飛鳥にしか『紅蓮丸』に乗れない理由がわかった。

それは常識を逸している、狂喜の元凶が彼らだった。


『飛鳥それは、誤解よ。父さんには、私からそうしてとお願いしていたの。

だけど、私は数十年間、沈黙していた。

最初は私一人――システムの一部として紅蓮丸を動かす予定だったの」


飛鳥の母、渚は飛鳥が五・六歳のときに亡くなっている。

それは、なにかの『事故』によるものだった。


「私ら三人は研究者として、飛鳥君が生まれる前は没頭していた。

ある日、渚君が論じた機械生命論の『実験』がおこなわれた

しかし、実験は失敗により、渚は戸籍上では亡くなった。

だが、この絶望と破滅のなか嘘と思うが『協力者』が現れた」


母が無類のロボット好きなのは、影響された飛鳥が知っていた。

だけど、母自身が研究者で自ら考えた論理を実験体にして

亡くなっていたなんて。


十三博士や風間司令はそのとき……。


「その人こそ、紅蓮丸の基礎理論を提供して、皮肉にも渚の理論を実現と可能させた。

我々は悩み葛藤するなか渚の『心』を紅蓮丸に捧げた。

その姿こそ、渚の心の姿。肉体が滅びても、思念体として現代に蘇った」


飛鳥は話を信じない訳じゃない。

むしろ、疑う余地はなかった……。


現にこうして母が立体的な映像だが、目の前にいる事実。

ただ、それでも飛鳥は……。


「でも父さんたち。だったら、秘密にしないで教えてよ。

僕には知る”権利”があったはずだよ。母さんだって……」


飛鳥はわからずにいた。

もはや、最初に心に決めた人類を守ることなんて。


「ビッグバンエンジンはともかく、エンゲージリンクシステムは、

未知数で渚がこのような状態になれたのは、数十年前といまなんだ。

だから、飛鳥には言えなかった。仮に……」


もはや、飛鳥はだだをこねている子供同然だった。

飛鳥を紅蓮丸に『導いた声』。幾度の危機を母は息子をそばで見舞って救っていた。


「飛鳥君、すまない。君には娘のことや渚君のことを……。

私らの勝手なエゴを押し付けてしまって申し訳なかった。

しかし、私たちの思いもわかってくれ。人類を守る使命を。

それと藤崎君。盗み聞きはよくない。入りたまえ!」


とっても、辛そうで悲しい表情をして蘭大尉は

セントラル・サタンに入室してきた。

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