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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第一章:『地球激闘』篇
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行け! 紅蓮の機動兵器

昨日、言われたスケジュールとおり身支度を済ませて、

綺麗に畳まれたパイロットスーツに着替えて、飛鳥はセントラル・アースに向かった。


「おはようございます! 今日もよろしくお願いします」


彼が最後でみんな、すでに配置完了していて、実務にあたっていた。

「飛鳥君、起きてきたね。では、早速林技術長と共に紅蓮丸の

調整にあたってくれ!」


林との紅蓮丸調整。

そして、実戦形式の訓練が風間司令から言い渡された。


残った蘭大尉たちは、一週間を切った決戦に向けて

作戦会議のため、セントラル・ジュピターに向かっていた。

セントラル・マーズ――格納庫に着くと久しぶりに飛鳥は対面した。


「来たカアすカ、少尉。いや、『紅蓮の飛鳥』」


634が敬礼で彼を向か入れてくれた。

不思議と飛鳥のコードネーム。

紅蓮の飛鳥だけは、634のコンピューターは

文字化けしていないようだ。


「634。遊んでる暇はないぞ! 紅蓮丸の調整仕様と戦闘シミュレーション

プログラムは仕上がってんか?」


634は一指し指を一本立て、余裕綽々で体を揺らして「合テン承チ!」

二人と一機は、エレベーターで上に上がり紅蓮丸の正面に出た。


「飛鳥君。紅蓮丸に乗り込んでくれ」


飛鳥は生体認証でコックピット部に触れて、ハッチを開いて座り込んだ。

すぐに林たちから、通信が入った。


「俺と634で紅蓮丸の細かい修正はしておいた。でも、正直これが

限界かも知れない。超新星機関ビックバンエンジンはわずかに出力が上がった。

しかし、『エンゲージリンクシステム』」が駄目だ」


紅蓮丸のメインエネルギーである、ビッグバンエンジンが

毎回、チューニングされ出力・パワーは上がっていると

肌で感じられている。


「俺らの力不足により、紅蓮丸と飛鳥君を繋ぐシステムは

正直未知数で、これにより飛鳥君の超人的な反応速度に

遅れが生じてしまってる。こればっかしは、剣持博士が……」


確かに紅蓮丸と飛鳥のコンマ一秒の単位だが、連動速度に遅れが出ていた。

いままで、あまり気にしない程度だったが今後は、

修正していかなければならい。


でも、あれ以来――彼は紅蓮丸から『謎の声』は聞こえてこなくなっていた。


「なら、トコトン突き詰めていきましょう! 林さん。

とりあえず、実践形式で訓練をはじめましょう」


巨大な地下施設に整備された、戦闘訓練のセントラル・ムーンで

疑似戦闘ロボ相手に634が組み込んだ

接近戦・格闘戦の戦闘を演習していきこと細かく、修正に修正を重ねていった。


どうにか、紅蓮丸と飛鳥の弱点であった、

『フルダイレクト型・エンゲージリンクシステム』を体で感じられた。


現時点での性能をフルで発揮できるようになれた。

基本的な動作とホイール走行を走り慣らして、

あらゆる攻撃に備えて、飛鳥は林と634で話し合った。


それにしても、紅蓮丸は本当にすごいロボットだ。

飛鳥と一緒に時間を過ごせば過ごすほど彼とリンクして、

無限の『機体性能』を体で感じられ、宇宙……小宇宙を感じられた。


「林さんと634君、ありがとうございました。

そろそろ、夕方のミーティングですね。いきましょう?」


二人は足早にセントラル・ムーンを出ていった。

蘭大尉が険しい表情で父たちと話し込んでいた。


「紅蓮丸と飛鳥君の連動テストは済んだようだね。

となると、君たちには、いい報告と悪い報告を」


風間司令がそう言うと、巨大モニターになにかが映し出された。


「飛鳥君。どうやら、敵さんは日本だけではなく世界でも活動を停止させたわ。

あの『金ピカ』は本気で一騎打ちをやる気ね。

そして、これを――」


謎の聖騎士と名乗る、黄金の騎士型ロボットが画面いっぱいに

映し出され、動画が流れていた。


アメリカが誇る、武力をことごく破壊尽くして、優雅に華麗に舞っていた。

あのアメリカがなす術もなく、連戦連敗。


そして、アメリカの『極秘ロボット兵器』も見るも無残な姿。


「飛鳥君、敵は強いわ。あのアメリカやEUが実質負けた原因が

この金ピカによる、戦果だと地球防衛軍で報告が上がってきたわ。

さすが銀河帝国最強『クラス』の黄金騎士だけではあるわね」


神出鬼没の黄金騎士……アメリカさえも、敵わない戦力。


それに、蘭大尉が説明してくれた彼らには『階級制度』の裏付けがとれた。

いままで戦ってきたことを思い出してみると、


初陣のときの青色の青銅騎士ブロンズナイト

こないだの戦闘でいた、指揮官のような 銀色騎士シルバーナイト

そして、騎士が属する黄金騎士ゴールドナイト


ま、まさか黄金騎士は『十二人』存在するなどと……。

具体的な数は未知数だが、これらが彼らの階級らしい。


話は変わるが、ふと気になる点が思い出された。

聖騎士から紅蓮丸はまがいものと酷評されたことだ。


あの発言から、超新星機関は積まれていたが

エンゲージリンクシステムはないように思えた。


「蘭大尉、敵は強大でかつ美しいですね。それで、父さん。

いまさらだけど、彼らの機体にもビッグバンエンジンが積まれてるよね?」


あのスピード・パワー。

間違えなく敵の機体からも、同じ無限のエネルギーを感じられた。


それにしても出力がケタ違いだった。


「あぁ。そうだとも、飛鳥。前話したように私たちには、『協力者』がいる。

いまはまだ、詳しく言えないが、紅蓮丸は彼らの『技術』を応用したプロトタイプなのだ」


わかってはいたが遠い兄弟機だった。つねつね言われている協力者とは……?

まぁ。いまはいいとして、鉄板である試作機プロトタイプ


これで、聖騎士が言った説明がついた。

ただ、あいかわらず『特定機密z1』が飛鳥を遮っている。


追及しても、しょうがないので彼は頭の隅で覚えていた。


こうして、『人類の運命』を決めるための、

飛鳥の強化訓練は、刹那的に流れていった。


余談だが学校では命ちゃんや翼が、

飛鳥を心配していてくれているかもしれない。


みんなには、無断で休学を決めて、飛鳥は紅蓮丸との訓練を優先した。

でもそれは、飛鳥なりの配慮でみんなの何気ない日常を守りたかった。

飛鳥自身も紅蓮丸に乗るとき、願った『想い』でもあった。


きっと、母さんも生きていたら、飛鳥の意思を尊重してくれただろう。


父たちをはじめ、NETEROのみんなに支えられて、

飛鳥は紅蓮丸の現段階のスペックを、最大限に発揮できるところまで

仕上げることができた。


――決戦前夜、飛鳥は決起集会でヤマ○のクルーのように祝杯をあげていた。

そして、時刻は決戦当日となった。


日中の暖かい、伊吹が過ぎ去り、深夜は肌寒くなり富士山は

不気味な月明かりに照らされている。


飛鳥は一足早く、決戦の地に紅蓮丸といた。


「ここまできたら、もう飛鳥君……。『紅蓮の飛鳥』に運命を委ねます。

だから、勝ってきてね!」


蘭大尉の声援と林や634の声も通信で聞こえいる。

「健闘を祈るよ、紅蓮の飛鳥!」


風間司令の激が飛鳥の闘志を業火のように焚きつけた。

「飛鳥……。父さんは……」


しかし、彼の父は妙に歯切れが悪かった。

飛鳥はたまらず、父さんに投げかけた――。


「……父さん、心配しないで。僕は必ず勝って、人類に平和を届けます。

だから、帰ったらまた一緒にご飯を食べようね?」


飛鳥の台詞に耳を傾けて、父さんは「あぁ」と返事してくれた。


「――本当に貴様、一人のようだな?」


ゴゴと、富士の樹海から『黄金の騎士』が姿を現した。

月夜に照らされ、神秘的な光景で飛鳥は敵ながら目を奪われていた。


だけど、そうしてはいられない。


「約束は守ります。ですから、この一戦で争いを終わらせましょう。

あなたが勝てば、もう抗う力はなくなります」


敵機の黄金騎士『エクスカリバー・クィーンナイト』と言っていた

機体は豪勢な洋風の甲冑にオーソドックスな長剣と盾を装備している。


「ふ、約束は守る。互いに勝てば、この戦いへ決定的なモノをもたらす戦況だろう。

だが、私にも騎士としての誇り。姫様への忠義があるのだ!

この勝負、勝たせてももらう!」


もはや、二人の間に言葉のやりとりは無用の長物だった。


敵機の黄金騎士は右手に盾を構えて、その盾から剣を抜刀していた。

飛鳥も紅蓮丸の腰から下げている、太陽刀と月詠刀を抜刀して『二刀流』を構えた。


「こないだよりも、殺気が出てるな。では、参る!」


黄金騎士は迷うことなく、一直線上に突進してきた。

砂利があって、足場も悪いが飛鳥も負けずにホイールを全開にした。


紅蓮丸の太陽刀と敵機の黄金の剣がぶつかり合って、火花を散らしている。

一太刀、一太刀重く、美しい剣撃が無数に飛び交った――。


それは、宇宙の星々が煌めくような光景だった。


「ハァハァ……。前よりも、紅蓮丸の機体性能は上がっているけど、

敵の方が一枚上手か。でも、今日はこの目でしっかり剣先を捉えられる」


一連の攻防が終了して、互いに軽傷のまま飛鳥たちは再び間合いをとった。

ただ、視界にはあの日――日本の地へ降り立った『巨大戦艦』が見えていた。


「紅蓮の飛鳥、見事だよ。私とここまで渡り合ったのは、

貴様で三人目だよ! だから、惜しのだ……」


嬉しそうな声が黄金の機体を伝わって聞こえていた。

だけど、飛鳥以外にこの人物と、渡り合える者が二人もいるなんて。


「だから、貴様は……私らの同志になれ! さすれば、姫様も

お喜びになる。これ以上、無益な血はこの蒼き星を汚さずに済む」


黄金騎士は初見の頃から、ある程度飛鳥の実力を認めていた。

まさにハ○ーン様のような口ぶりで意外にも、平和的な手段がとられた。


しかし、この言い草だと飛鳥だけしか、必要としていない。

きっと、命や翼たちは眼中にないはず。


「僕が仮にその申し出を受け入れた場合、他の人たちはどうなります?」


甘い申し出だと頭では、わかっていても飛鳥は敵に真理を投げかけた。


「姫様は寛大な方だ。有能な者は身分関係なく、メルディアスや

蒼き星の架け橋になるだろう。だが、我の目的はあくまで侵略だ。

よって、姫様が無価値と思った者は……」


NETEROのみんなはきっと無事で、メルディアスに必要な成分になるだろう。

ただ、この地球に住む八十億の人々。

命や翼たちはどうなる……。


飛鳥は怒りにも似た感情を抱き、交渉を中断させた。


「それは無理な条件です。僕は守らなくてはいけない。

大切な人や世界を。だから、あなた方を倒してこの星から

出ていってもらいます!」


『フっ』と自嘲した、敵の黄金騎士の蔑まされた微笑。


「貴様は優しいな。だから、強いのだろう。だがときにそれが仇となる。

まぁ。どっちみち、私が勝つことは変わりないがな」


この飛鳥と聖騎士の死闘をモニターで見守る人たちがいた――。

みんな食い入るように見ていた。


「さすが、紅蓮の飛鳥! よくぞ、言ってくれた」


蘭大尉は右手で握り拳を作っていて

となりにいた、林も彼の言葉に感動していた。


「ここまでの戦況は五分と見ていい。だが、敵は未知数。

各位! 紅蓮丸と敵の動きを怠るな」


風間司令が厳粛な表情でNETEROの全員に

激を飛ばして、士気を上げていた。


この大一番の場面では仕方がなかった。

それにしても、飛鳥の父で紅蓮丸の基礎設計を担当した

剣持十三の顔色が優れずにいる。


その目線は、飛鳥を見ていたが

紅蓮丸とエンゲージリンクシステムのモニターをチラチラと見ていた。


風間司令は十三博士の落ち着かないようすに肩を叩き、

「大丈夫か、十三博士?」


十三博士の胸の打ちは謎のままだが、社交辞令の建前の口ぶりで

即答した「問題ない」と。


この間にも紅蓮丸とエクスカリバー・クィーンナイトの一進一退の

攻防は続いていた。


飛鳥は十分に紅蓮丸の性能を引き出していた。

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