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銀河機動戦記~紅蓮の飛鳥~  作者: 恥骨又造
第一章:『地球激闘』篇
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紅蓮の少年は人気者

「あの一連の事件をきっかけに飛鳥は変った。

お前が剣道や俺たちと距離を置くのと。……放課後こそこそ、

あの博物館に通っているのは、なにかあるのか飛鳥?」

「ぼ、僕は……」


この年の男の子が背負うには、あまりにも過酷な運命だった。

訳もわからず、ロボットに乗り。人類を守る使命を受け、

自分の素性を明かすことさえ、封じられた飛鳥は限界だった。


――すると、翼が空を見上げ、儚く呟いた。


「俺って、信用できない男かな……」

心の底から湧きあがった、翼の捨て台詞。

飛鳥は瞬時にこの言葉には、誠意を持って言い返した。


「そんなことないよ、翼。僕の数少ない友達で『特別な親友』さ。

命ちゃんも……大切な友達で僕の理解者なんだ。

それにこの町や学校のみんな。僕の大切な場所だ!」


彼は胸に手を当てて、立ちつくし翼に訴えかけていた。

飛鳥は使命を貫き通した。


「僕はいま父さんの研究を手伝ってる。その理由はこないだの事件に関係してる。

それにあのあとは、僕が残ったときすぐにこっちら側にもロボットが現れて

騎士型のロボットを撃破して終った」


父の手伝いは嘘ではなかった。だが、真実は言えない。

毅然として飛鳥は秘密を守り、翼にはもう一の真実を教えた。


「た、確か飛鳥のお父さんは博士だよな。そうだったのか……。

えっ!? そ、それは初耳だぞ!」

「うん。それは、あのお姉さんたちにきつく禁じられてた。

秘密を漏えいしたら、どうなるか脅されてた……」


蘭大尉には申し訳ないが、飛鳥は事実を改変させて翼を丸め込んだ。


「そうか……そうだったのか。俺は……」

さっきまでの剣幕が衰え、翼は大人しくなった。


「僕も言えなくてごめん。だけど、色々と言えてスッキリ! できた」

「お、おう! 飛鳥の事情も知りもしないでさっきは、ごめんな!

まさか、あのあとロボット同士の戦闘になったとは」


翼は彼の言い分に納得して笑顔が戻っていた。


「うん。僕も間近で人類の英知を見て驚いた。

でも……嬉しかった。

僕のことをこんなにも心配してくれてただなんて」


飛鳥も心の呪縛が解放されていた。

笑顔で翼の顔を見ていられた。


「ふはは……。それじゃ、これからもお父さんの研究で

忙しくて剣道部に来られないときもあるかも知れないが

いつでも俺や風間マネージャーを頼ってくれよ、飛鳥?」


「うん、もちろん。しばらくは、そうなるかも……。

ただ、あと一週間は父さんも忙しくないから前みたく剣道できるよ☆

……そのときは、お願いします」


互いの肘と肘を交互に合わせて、深夜の延長戦は終了した。

「いつでも頼ってくれよな! んじゃ、おやすみ。また、明日学校で」


飛鳥も胸の打ちをさらけ出せ、表情はスッとしていた。


「うん。僕こそ、ありがとう!

それじゃ、おやすみ。気を付けて帰ってね」


手を振り後ろに振り返り、薄暗い暗闇を走って翼は帰っていった。

飛鳥は翼を見送り、家のドアを開け心身疲れ切った体を癒すために

自分の部屋に向かった。


この日の風呂を諦め、明日入ると布団に入り横になって決定させていた。

少しばかりNETEROの秘密機密を破ってしまった、

自分の左手首についた腕輪を見て、蘭大尉や風間司令との約束を思い出していた。


「僕の使命は変わらない。だから、翼に少しだけ思いを共有してもらった。

僕自身への戒めと『紅蓮丸』に乗った思いを忘れないために」


飛鳥に迷いや後悔の欠片もなく、澄んだ綺麗な赤茶の瞳は明日を見ていた。

その後……泥のようにスヤスヤと気持ちよさそうな顔で彼は眠りについた。


無情にも時計のアラームは数時間後に鳴り響いた。

「もう朝か……。ふぅわ~」


横たわったまま体を伸ばして、寝起き早々にシャワーを浴びて、

一人で手慣れた手つきで朝食を作り、いつものように飛鳥は高校へと登校した。


もちろん、その口にはパンを咥えたままだった。

「美少女な転校生と出会いがしらにぶつかって」


しかし飛鳥は、なにもなく高校に着いた。

飛鳥は学校に着くと珍しく翼が先に登校して、椅子に座っていた。


少し照れくさかったけど、飛鳥は「おはよう、翼!」とあいさつした。

翼はいつもとおり、朝から元気な声で「おはよう、飛鳥! 今日もよろしくな」

飛鳥は自分の席に座り、命にもあいさつした。


「おはよう、剣持君。昨日はありがとうね。それで、今日の剣道部だけど……」

笑顔でツインテールをゆらしがなら、命もあいさつしてくれた。

「僕も楽しくて、興奮のあまり全然寝られなかった。もちろん、剣道部に出るよ!」


飛鳥のお休みは残すとこ五日間。

久しぶりの剣道部に出られる、喜びを全面に出した。


若干、驚いたようすで命は後ろにいた翼に目線をやった。


「そりゃ、安心しました。部長の剣持君がいてくれて、

みんな、次の大会に向けて気が引き締まります。

さて、今日は鬼の猛烈稽古かな。ふふ……」


二重で大きくて可愛い目が細くなり、表情も悪い顔になり

命は不敵の笑みを浮かべていた。


飛鳥は背中に冷たい汗を感じている。

しばらく、こうした雑談を続けてチャイムが鳴りまた、

いつもの学校がはじまった――。


飛鳥は珍しく、まったく眠くならず積極的に授業に参加していた。

国語、数学、英語の先生から、褒められ気分がよかった。

気持ちがいいまま、午前の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。


「ふぅ、今日は我ながら冴えていた。さて、昼食をと……」


やれやれといった、表情で翼は聞いていた。

翼は曰く、飛鳥が本気出したら、このクラス。

いや、この学校で一番だと。


いやいや、彼はそんな『完璧超人』ではない。

そんなことを耳で左から右へと受け流して、

ガサガサと自分のバッグをあさっていた。


「あれ? お弁当がない。そういや、今朝は寝ぼけてて、作るのを忘れてた。

二人とも僕は購買部でお昼ご飯買ってくるね」


クスクスと命は笑って「うん。剣持君、いってらっしゃい!」

すかさず、翼は「あなた。気をつけていってきて!」


命は翼の悪ふざけに、蘭大尉並みのひじ打ちをお見舞いしていた……。

クラスのみんなが笑いに包まれているなか、飛鳥は購買部を目指した。

そして、命は翼に昨日のことについて触れた。


「あの様子だと、解決したみたいね? 水城副部長」


得意げに「まぁな」と翼は一指し指と中指を額に当てて言った。

命は論理的な話を抜きにして、結論を求めた。


「それで、飛鳥君は……」


翼は命の目を見つめ、昔有名だった、クイズ番組のような

演出の如く、答えを引き延ばした。


「……答えは、俺たちの勘違いだった。

ただたんに、飛鳥はお父さんの手伝いで余計な心配をかけたくなったそうだ。

とりあえず、あのとき俺らが尾行したときあの博物館にいたらしい」


淡々と語る翼の言葉に命は聞き入り、頷いていた。


「そうだったの……。飛鳥のお父さんはその道では、

有名でお父さんとも知り合いなのよね。

それじゃ、いままでの飛鳥君と変わりないんだね」


命は飛鳥の父親の事情を知っていたので、疑わず納得していた。

それでも、いまだにあの襲撃からの飛鳥の空白の出来事に

命は少しだけ引っかかっていた。


「しかし、飛鳥君は『あの事件』のあとどうなったの? 

結局再会したのは学校の復旧作業が完了した日だったし。

そこが妙に引っかかるわね」


つくづく、命の感は優れていた。

その事件こそが、彼の運命を変えた真相だった。


「それなんだが……。風間マネージャー、少しいいか?」

翼は命の耳でささやいた。


「どうやら、飛鳥はあの大型トレーラーのお姉さんたちに

口を封じられたらしい。それもそのはず。あのあと、もう一機ロボットが

出てきてあの場を救ってくれたらしい」


思いがけない、ことに命は大きなリアクションをつけてしまった。


「きょ、巨大ロボ……!!」

翼は急いで命の口を塞いで座席に座らせた。

その際、クラスの人たちの視線が一斉に向けられていた。


「しっ! これは、極秘事項だよ。ぶっちゃけ飛鳥には、

口外していい許可を取り損ねてる。

だから、俺らもこのことは他言無用だ」


命は少し苦しそうに『うんうん』と頷いてみせた。


「まぁ、一応そんな話をして昨日は終えた」

「うん。それが懸命ね……」


飛鳥は飛鳥のままだと、命はホットしていた。

どうやら、女の影もないと確信できそっちでも安心していた。


「飛鳥君の頭の良さなら、お父さんのお手伝いもできるわね。

それにしても、あの人たちは身勝手な連中だったわね!」


蘭大尉たちの功績は人知れず、勘違いされ一人歩きしていた。 

とにもかく、三人は多少口違いがあるにしろ『共犯者』となった。


「だから、いままでのように飛鳥と剣道部で一緒にいられる。

ときたま、お父さんの手伝いでいなくなるときもあるけどな」


嬉しそうに命は微笑み、スクールバッグから、お弁当箱を出して

飛鳥が教室に帰ってくるのを待った――。


しかし命は飛鳥を待ち切れず、大好きなから揚げを頬張っている。


「それにしても、飛鳥君。遅いわね……」


食べるのをやめて、箸を置き寂しそうな命だった。

すると、廊下から足音が聞こえてドアがガラガラと開いた。


「た、ただいま。お待たせ、二人とも!」


息を切らして、飛鳥はなぜだか汗ばんでいる。


「きゃー! 飛鳥君よ。カッコいいし、顔も小さくて可愛い」

「この人が剣持先輩なんだ。ステキ……☆」


どうやら、飛鳥は購買部で買ったお弁当類を持っていたところを廊下で

女の子たちに絡まれたらしく、逃げてきたらしい。


「私たちと、一緒に食べましょう? なんなら、『他のも』食べてもらえる?」

「剣持先輩なら……私の全て……を」


二人組の女の子たちは、いやらしい目つきで飛鳥を『別の方向』に誘惑している。


この光景に命の怒りは爆発寸前だった。

いまにも、噴火しそうな火山。


しかし、意外にも飛鳥はキッパリと断った。


「僕は二人と昼食を食べるんだ。だから、今度にしてね!」

悔しそうにこの二人組の女の子たちは、自分の教室に帰っていった。


「お見事! 飛鳥。そんじゃ、食べようぜ?」

嬉しそうに飛鳥は頷き、自分の席に座り二人の机に机をくっつけた。


それにしても、命はやけにご機嫌だった。


「ふふ~ん♪ 飛鳥君はなにを買ってきたの?」

飛鳥はビーニル袋から、牛乳とお団子とパンを取り出して命に見せた。


「お昼にお団子なんて、飛鳥君。おもしろいね! それにそのパンは?」

二人にはこのパンが珍しく思えたらしいので、彼はやってしまった。


「ねぇねぇ、つばさ~。この『チョココロネ』って、

上と下どっちから食べるのがいいのかな?」


飛鳥はある作品の再現をしていた。


「あ、飛鳥君?! いや、剣持君どうしたの?」


命は本気で飛鳥を心配している。

それでも、彼はひたすらやり続けた。


「このチョコの部分を口で吸うのが、よさそうだよねぇ~」


翼は呆れた面立ちで、飛鳥を見ていた。

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