97軒目 男同士の最終決戦
庄司ビルに背の低いスーツ姿の男が現れて言った。
「次は、男どもが相手だ! ちなみに舞達は現実世界に戻っただけだから、大丈夫だ」
「別に敵の心配はしてねえよ。でもあんた、いきぬきフェスタで見たような」
と大成。
「よく覚えていたな、口車壊だ。では行くぞ。建築戦隊 口車塾○○本庫校」
3階建ての○○本庫にある口車塾が、湖に浮かぶ。本物口車塾の正面ドアは、自動ドアだがこの口車塾のドアは、敵のドア。物人間だった。
「建築戦隊 二階建て木造アパートショージコーポ家賃二万ジャー」
「建築戦隊 古民家博物館プライスレスジャー」
大成が変身するショージコーポと古民家が変身する古民家博物館が並んだ。
「あれ? これだけ」
と大成。
「一斗さんはまだ目覚めませんから」
と古民家。
「X+y=sin//////」
壊は呪文を唱えた。大成はくらくらした。
「大成さん落ち着いてください。あの数式はでたらめです」
古民家は騙されなかった。
「建築戦隊 紅葉吹雪」
古民家は庭から紅葉を振らせた。幻想的できれい。だがそれだけだった。
「建築戦隊 隣の部屋の人がうるさい攻撃」
大成の攻撃、しかし不発だった。隣の人は既に引っ越していないからだ。
口車塾から大量に塾の勧誘チラシがばらまかれた。
「建築戦隊 塾生大量募集攻撃」
塾生が大量に口車塾に押し寄せる。
「なんか、オレも勉強しないといけない気分になってきた」
大成はふらふらとショージコーポを出て、口車塾に向かった。
「大成さん、騙されないでください」
古民家は踏みとどまった。主をなくしたショージコーポは、湖にドボン。庄司ビルに待機していたロンは、思わずポケットの鍵を握った。町内会館の鍵が入っていた。ロンは町内会の副会長をしている。
「建築戦隊 山が丘町内会館」
二階建ての古い戸建てを改造した建物。ロンは町内会館に変身した。
「え?町内会館、そんな能力を失ったはずだが」
ロンは急に変身したのでびっくりした様子だった。でもすぐに戦う気になった。
「役員が回ってきた攻撃」
ロンは口車塾に役員の重圧を押し付けた。
「役員、大変だね。どうかな。うちの塾で勉強すれば、効率の良い町内会が運営できますよ」
塾の中から、口車添が出て来た。
「効率か。この間の役員会も18時に始まって。21時までかかったもんなあ。決めた事ひっくり返すじじいもいるし、すぐ雑談になるし。もっと効率よくできないもんか困っていたんだ」
ロンは弱みにつけ入れられ、口車の攻撃にはまってしまっていた。ロンは口車塾に吸い寄せられた。町内会館は湖に沈んだ。古民家も止めようとして、一緒に沈んでしまった。
時刻は21時。庄司ビルは元の富川駅前に戻っていた。中いる○○レンジャーも全員いる。大成、ロン、古民家はびしょぬれになっていた。
「今のは、皆で異世界で戦いましたね」
と古民家
「ええ、女同士と男同士でね」
とレイナ
「どうやら夢ではなさそうね」
と真由。
どこからか、紙が降ってきた。ロンが拾って読み上げる。
「今日はもう遅いので、明日朝9時、海の公園で最終決戦。今のところ一勝一敗、次の勝負で決まる。時間厳守。海の公園の中央、いきぬきフェスタのステージがあった場所で待つ。口車」
『逸花大成は口車に乗せられた』の手紙と同じ形式。A4コピー用紙にタイプされた字。
「一勝一敗ってなんか緊張感ないなあ」
と大成。
「うううう」
部屋の隅で寝かされた一斗が目を覚ました。
「ここは…どうしてみんなが」
一斗はただ混乱している。
「庄司ビルだ。一斗とオレを助けるために、みんなが集まってくれていたんだ。まあ水だ飲め。4日間まともに食べてないんだろ」
大成は一斗にコップに水を渡した。ひとしきり水を飲んだところで、
「バカ! なんで一人で口車のところへ行くんだよ。いつも一人でやろうとすんな」
大成が怒鳴った。
「ええ、何の事? 大成を探して口車塾に行ったような。そっから先の記憶がない。今はいつ? 何日?」
一斗は訳が分からないようだ。
「11月2X(金)もうすぐ土曜日になる」
とロン。
「え、じゃその間、会社に行ったんだろうか」
一斗は何故か会社の心配をしている。
「水曜から無断欠勤していると連絡があってな。その間の事情は、のはら教授からなんとなく聞いた。大成くんと同じような状況だろうけれど、一斗何があったんだ?」
とロン。
「……思い出せない。何も」
一斗は手で顔を隠した。
「本当にわからないのかもしれませんよ」
古民家が言った。
「え?」
ロンと大成は古民家の方を向いた。
「人って忘れたいくらいの嫌な思い出は、本当に忘れてしまうんです。無理に聞き出さない方がいいのかもしれません。それより明日の大戦にそなえましょう。一斗さん、明日朝9時から口車との最終決戦です。出られますか?」
いきなりその話をするか? 古民家鬼だ。と他のメンバーはそんな反応だった。しかし一斗は
「わかりました。行きます」
「よかった、肝心な事は忘れてなくて」
これで全員そろって最終決戦へ向かう事になった。
古民家がついに鬼~。




