95軒目 主役が戻ってきたけれど、最終決戦は延期しようかと思う
夜6時、庄司ビル一階では、寛子、古民家、レイナ、真由、ロンが集まってカツを食べていた。突如上から大きな音がした。何か重い物が落ちてきた音だ。危険を感じたので、庄司ビル1階にいる全員で、屋上に行ってみることにした。庄司ビルは3階建て、1階が住居で二階が空き室、3階がコンビニ。その上に、コンクリートの地面に柵が張り巡らされている屋上がある。エアコンの室外機が3台ある他、屋上の使い道は特にない。屋上には普段鍵がかけられていて、鍵を持っているのは家主の寛子だけ。
「わー。大成?、リーダー?」
「え?」
一斗と大成が屋上に倒れていた。ロンは一斗に、寛子は大成に駆け寄った。
「いって~。何だったんだ?って、あれ?どうしてオレはここに?」
大成はあちこち痛そうな顔をして、体を起こした。
「今まで、どこに行っていたんじゃ」
「えっと、あ~。頭いてぇ。ってなんでみんないるの?」
大成は混乱している。
「とりあえず、夜は寒くなりますから、中に入りませんか?」
とレイナ。
「大成、歩けるか?」
大成はなんとか立ち上がり寛子に支えてもらいながら、一階へ向かった。
一斗は揺さぶっても目を覚まさない。
「救急車呼びますか?」
とレイナ。
「いや、寝ているだけだろう。全く、手のかかる奴だ」
ロンは一斗の状態を確かめ、古民家に手伝ってもらいながら、下まで一斗を運んだ。一斗を下に寝かせたら、ロンの電話が鳴った。のはらしょうたろう教授からだった。
「ロン~。一斗と大成届いた?」
「あれ、しょうたろう教授だったんですか?」
「うん、あのね。それでね。法務局の裏に公園あるでしょ。そこにさあ、庭付き一戸建てが不時着して、一斗と大成が倒れていたから大砲に詰めて発射したんだ。異世界で見たいテレビがあったからさ、時間なくて大砲につめたんだ」
「そうでしたか、それはお世話になりました。って、扱いが雑じゃないですか教授!」
「ごめーん。もう異世界に帰らないと行けなくてさ―急いでたんだ。でさ、一斗の家が浮いててさー。物人間がいたんだよ。一斗に声をかけたらさ~、ぼくを見て『どちらさまですか』なんて言うんだよ。ひど~い。あのさ~、それでさ~。うんとさ~。しょうたろうはおにぎりをを食べようとしたんだけど、一斗も食べる?って見せたら、一斗が全部取っちゃって、なんかさ~、一斗すごい勢いでおにぎり食べていたんだよね。なんか一斗じゃないみたいだった。どうしたんだろうね。大成は着陸した公園に物人間といたんだよ。なんだったんだろうね。じゃあね」
しょうたろう教授は一方的にしゃべって電話を切った。建築戦隊のメンバーもしょうたろう教授の電話の内容を聞いていた。
「つまり一斗さん、太成さんは、バラバラに口車に捕まって、働かされたんですか?」
と古民家。
「そうだね。オレは、苦明寺から帰ってきた後、寛子おばに呼ばれて、ここに来て。それから、一人になりたくて海の公園に行ったんだ。そこで滑り台達に囲まれたんだ。」
「なんで連絡して、助けを求めなかったんですか?」
古民家は怒っている。
「それがさ~。携帯没収されて、見つかんないんだ。逃げようにも…」
大成は急に口ごもった。
「逃げようにも?」
古民家は話を促す。
「口車塾のご飯が上手くて。オレ最近金欠で、ろくなもん食べてなかったから。それにさ、塾にふさわしいかっこをしろって、今来ているスーツもらったし。そしたら、口車を倒す目的を忘れちまった」
「大成、何をしているんじゃ!」
寛子も怒った。
「あ、そうだ、オレの携帯、没収されたままだ」
「携帯会社に連絡して、止めてもらったら?」
とレイナ。
「そっか~」
大成は寛子の家の電話を使って、携帯会社に電話した。
「一斗は水曜日から会社を無断欠勤しているらしい。今は金曜、火曜の夜は帰ってきたかな」
ロンは考えた。
「ロンや、なして息子の事を把握しておらんのじゃ。火曜日の夜は、わたしゃ大成のアパートに行ったんじゃ。そこでリーダーと会って、わたしゃ警察へ、リーダーは大成の行きそうな場所を探す事にしたんじゃ。じゃから火曜の夜からいなかった可能性が高いのう」
と寛子。
「物人間って、衣食住を必要としないんです。服も着ていないし、食事も睡眠も必要ない。だからおそらく一斗さんも、4日間食事も睡眠もとれていなかったんでしょうね。そこでのはら教授のおにぎりがトリガーとなったんでしょう」
と古民家。
「それにしても、一斗さんも、太成さんも戻ってきて、でもこの状態だから、最終決戦延期ですか」
と真由。
「そうだな。一斗もまだ戦える状態じゃないから、今日は解散としよう。寛子さん車取ってきます。一斗回収しますから」
とロンが言って、玄関の戸を開けた。すると、玄関前に何かがいた。
「あ~ら、建築戦隊○○レンジャーさん。もう帰られるの? 」
着物を着た女、口車舞。バナナに顔が付いている、バン・ナナ。リボンに顔がついた、リン・ボンがいた。




