94軒目 一斗と大成としょうたろう教授とおにぎり
絵本みたいなサブタイトルだなあ。
上空1000メートルまで上がったところで、大きな家が庭付き一戸建ての近くを飛んでいた。
「あれ、見た事ある家だと思ったら、一斗の家じゃん」
大きな家の中から、声がした。
大きな家は、スーパーハウス。家の軒下にタイヤが付いていた。前方にはプロペラ、屋上にはベランダとパンタグラフもついていた。屋根に放水銃が付いていた。
「ちょっと近づけてっと」
スーパーハウスの主、のはらしょうたろう教授は、3000万ジャーの庭に飛び移った。
「うわ、誰か来たぞ!」
ドアは、窓から庭に降りた。そして庭でおにぎりを食べているしょうたろう教授を見つけた。
「誰だ、お前は?」
ドアはしょうたろう教授に怒鳴った。
「君こそ、誰? 一斗は?」
しょうたろう教授は家の中を覗いたら、一斗の姿を見つけた。
「いた~。お~い、一斗~。何してんの?」
しょうたろう教授は窓から顔を出して、中にいる一斗に呼びかけた。一斗は操縦桿を握ったまま、声のする方に振り返った。
「ドチラ サマ デスカ?」
洗脳されている一斗は、その前に出会った人の事を忘れていた。
「え~。忘れたの? のはらしょうたろうだよ。どこ行くの? 偶然だね。あ、そうそう、ここの庭でおやつのおにぎり食べさせてね。一斗も食べる? 」
しょうたろう教授は、一斗におにぎりを見せた。
「オニギリ」
一斗は操縦桿を放し、しょうたろう教授が持っているおにぎりをひったくった。そして、ものすごい勢いで食べ始めた。普段の一斗とはだいぶ違うので、しょうたろう教授はびっくりした。
「どうしたの? なんかいつもの一斗とは違うね。もっと食べる? 海苔のある方が鮭で、海苔のない方がツナマヨだよ」
「サケ、ツナマヨ タベル」
一斗は、しょうたろう教授の持っていたおにぎりを全部食べてしまった。
「あ~。なくなっちゃった。さちか~。もっと作って」
しょうたろう教授は、スーパーハウスの中にいる妻のさちかに呼びかけた。しかしさちかの反応はなかった。
「さちかー。聞いている? おにぎり」
しょうたろう教授はもう一度呼んでみた。
「やだ」
さちかはしょうたろう教授の顔も見ずに答えた。
「あれ?パパ、何してんの? つよもそっち行く~」
しょうたろう教授の長男つよし(小二)が、スーパーハウスの庭に出て来た。
「ゆなも行きたい」
長女ゆな(年長)も庭に出て来た。次女ゆか(2歳)もいる。つよしはゆかの手を取り、庭付き一戸建てに飛び移った。ゆなも飛び移った。
「うわ、危ない事するなよ」
しょうたろう教授は自分の事を棚に上げて、子どもに注意した。
「あ、ちょっとみんな勝手に行かないでよ」
さちかも庭付き一戸建てに飛び移った。庭付き一戸建てが揺れる。
ブー、ブー。操縦桿が重量オーバーのブザーを鳴らした。ドアやマイクは人間より重いのだ。家が急降下した。動揺する人々(物人間も)、幸いにも着陸した先は公園。民間人に被害はない。公園には偶然にも、大成とブランコ、滑り台、砂場の物人間がいた。
大成は庭付き一戸建てにぶつかり、そのまま気を失った。一斗はおにぎりを食べたまま落下し、落ちた衝撃で気を失った。主を失った庭付き一戸建ては、消えた。
「のはら教授、何するんだよ!」
物人間達はしょうたろう教授に攻撃した。砂場の砂をぶつけたり、つよし、ゆな ゆかを滑り台に誘導させたり、いかがわしいチラシをばらまいたりした。しょうたろう教授は、スーパーハウスに逃げて、ドローンをたくさん飛ばして物人間に反撃した。放水銃で水をかけた。一斗も大成もびしょぬれになったが、しょうたろう教授には敵も味方もない。
「ここは一回逃げよう」
物人間達は逃げ出した。後に残ったのは、気を失ったままの一斗と大成。
「ねえ、この一斗と大成どうする? このままじゃ、邪魔だよね」
とさちか。
「そうだね、じゃあ」
しょうたろう教授はポケットからICフォンを取り出して、ロンに電話を掛けた。
「もしもし? ロン? しょうたろうだけど。今。家? え?これから出かけるの? 庄司ビルね。わかった、じゃあね」
しょうたろう教授は、ロンの居場所をだけを聞いて電話を切った。
「ジャケット着せて、装薬装填。大砲をセットして、庄司ビル屋上に合わせて、ファイヤー」
大砲に一斗と大成を詰めて発射した。
「さあ、異世界に帰ろう」
のはら一家はスーパーハウスに乗って帰っていった。




