89軒目 タイトル未定
89軒目 タイトル未定
ここは庄司ビル、2階コンビニ。コンビニに新しい店員が、働き始めた。その名は、
「いらっしゃいませじゃ」
「寛子さん、じゃはちょっと…」
そう、庄司寛子。寛子は街フォームの実現の為に、自分のビルのコンビニで働くことにした。
「1000円のお預かりじゃ」
「寛子さん、1000円でございますでお願いします」
オーナーは30代前半と寛子とは親子くらいの年の差。オーナーも教えにくそうだ。
「1000円のお預かりでございますじゃ」
「ああああとりあえず、商品覚えましょうか。街フォームには、接客よりも商品知識があった方がいいでしょうから」
オーナーも寛子の目的に協力している。
「ああ、忙しいのにすまないのう」
「いいえ、ご覧の通り、さっきからさっぱりお客様来ないでしょ。売上もいまいちだから、撤退を考えているんです。庄司ビル、寛子さんがいなくなったら、どうするんですか? 」
「ああ、それをどうしようかのう。ここも老朽化しておるし。甥の大成に任すのもどうだか」
「かと言って、口車不動産の口車に乗るのも、うちの甥っ子も口車塾に騙されて、高額商品を買わされて効果がなかったとかで」
寛子の携帯が鳴った。寛子は何か嫌な予感がした。
「大成?ここには来ていませんが。そうですが、来たら連絡させます。すいません」
「どうしたんですが?」
「ああ、甥の大成のバイト先からじゃ。大成が2日無断欠勤だから、何か知らないかと、緊急連絡先のわたしゃな電話があったんじゃ」
「大変ですね、家に行ってみたら?」
「あいつはいいかげんな奴じゃからのう、まあ、行ってみるかのう」
寛子は私服に着替えて、愛車の電動自転車に乗った。
隣町にあるショージコーポ。寛子が家主となっている。2階建て木造6世帯。うち4つが空き部屋。閑散としている。
大成の部屋は、2階の角部屋201。インターフォンを押しても反応がない。合鍵で開けてみる。誰もいない。
玄関前に手紙が置いてあった。活字だ。大成の家にはパソコンはないし、大成もほとんどパソコンは使えない。
『逸花大成は口車に乗せられた』
A4のコピー用紙に縦書きで大きくそう書かれていた。
寛子は大成の携帯に電話するも、留守電になるばかりだった。




