88軒目 それぞれの思い
視点がコロコロ切り替わります。
88軒目 それぞれの思い
「オレ、建築戦隊辞める」
「大成、おぬしは本当にそれでいいのじゃな」
「ぐっ」
大成は拳を握った。
「リーダー、ロンから聞いておるかと思うが、わたしゃも3月末で建築戦隊を辞めることにしたんじゃ。伊豆に行くんじゃ」
「はい、聞いています」
一斗は淡々と答えた。
「知っていたのか、寛子おばが建築戦隊を辞めるって」
「ああ」
「どうして、オレには言わなかったんだ?」
「それはわたしゃが、自分から大成に話すから、言わないように言ったからじゃよ」
と寛子。
「オレ、バイトあるから」
大成は自宅とは反対方向に、足早に去って行った。
「大成」
一斗は大成を追いかけようとしたが、寛子に止められた。
「あいつは今、一人にした方がよいじゃろう。リーダー、今年度一杯で、口車と決着をつけたいのう。ではわたしゃ、これで」
☆
一斗、自宅にて。
一斗の妹のえりか(2歳)が、色々な柄のワンピースを着て、家を走り回っていた。一つのワンピースにチェック、花柄、キャラクター物入り混じっている。つぎはぎだらけの服だった。これまでえりかは、母親の選んだシンプルな服を着ていた。何か変だと一斗は思いつつも、特に何かすることもなかった。
一斗は考え込んでいた。なんだか、自分の知らないところで、決まってくる。寛子も大成も辞めるって一体どうなるのか。でも二人にも、それぞれ人生はあるのだし、仕方がないか。一斗はしばらく考えた。一晩考えた。
朝、えりかはまた昨日とは違う変わったワンピースを着ていた。えりかが転んだ拍子に縫い目が解けた。えりかの母(一斗の母でもある)華子は、慌てた様子でどこかにメールを打っていた。
いつも通りに出勤した一斗に、ある書類が会社から配られた。「自己評価シート」、自分の勤務はどうだったか、今後どのような勤務をしていきたいか記入するシート。各自記入するシートを元に、上司と面談して評価が決まる。
僕も、自分の人生があるんだ。一斗はそう決意して、シートに書き込んだ。
☆
大成は当てもなく駆け出した。そして海まで来た。バイトがあるのは嘘、とにかくあの場から離れて、一人で考えたかった。
今が楽しければ、それでいい。目標を目指すなんてかっこいい事言っていながらも、実際は目標に向けた努力よりも、日々のやるべき事、楽しい事で埋まっていく。いつしかそうなっていた。大成は、今までの自分を振り返っていた。建築戦隊だって、一斗や寛子がやっていたからやっていただけ。ギターは、何ヶ月もまともに弾いていない。だけど、チューニングはしている。チューニングしたら、すぐバイトに行っていた。本当に音楽が好きだったのか?
☆
昼間、子ども達は幼稚園や学校に行っている間、レイナの家で、レイナと真由が話していた。
「衣食住、食は保健所に届けたり、講習に出たり結構大変なのよね。手作りクッキーを売るのにも、家のキッチンじゃあ許可が出ないから」
レイナが言った。
「じゃあ、衣は、服とか私、縫ってみるよ」
「真由さんそういうの得意なんだ」
「ううん、全然(笑)、子どもの手提げ袋とかも、母にやってもらったんだ。でもミシンはあるの、かなり高機能よ。じゃあ、さっそくワンピースでも作ってみるね。じゃあね」
☆
古民家博物館。古屋民生(古民家)は、博物館の敷地内にあるかまどを掃除していた。古民家は古い文献を調べていた。そうしたら、街フォームを繰り出す衣食住の食は、食器でもいいという記載を見つけた。古民家博物館には、使われていないかまどがあり、陶芸ができる。
☆
寛子もまた考えていた。大成を甘やかし過ぎたかも知れないと。寛子は自分のビルの2階のコンビニに行った。そこで、コンビニオーナーと何か話をしていた。話が終わったら寛子は、着替えて出てきた。コンビニの制服を着て、オーナーに仕事を教わっていた。
伏線が多すぎかな?




