69軒目 防災訓練に出動
家は守るものです。
建築戦隊として、地域の防災訓練に呼ばれた。
ある秋の日曜日、町内会の防災訓練が行われた。町内会の役員や希望者は、小さな公園に所狭しと集合した。
「今回の防災訓練は、外を歩いている時に、何者かに襲われたらという訓練をします」
前に立つ町内会役員は、丹羽ロン。何者かに襲われるって防災訓練とは違うようなと、ロンの息子の一斗は思った。
クマの着ぐるみが3体現れた。
「ぐお~。ぐお~」
集合している町内会の人に襲い掛かる。びっくりしている、町内会の人々。これは、訓練。変身の時だ、一斗は鍵を握った。
「建築戦隊 庭付き一戸建て3000万ジャー」
一斗は庭付き一戸建てに変身した。
「皆さん、この家に入って下ださい」
ロンが拡声器で指示をする。
町内会の人が、庭付き一戸建てに入っていく。
家が守っていて、いてクマには襲われなくなった。
家が守ってくれるんだ、と感心したのもつかの間。
一斗は不安になっていた。父親に頼まれて、建築戦隊として防災訓練に出たが、戦っていないと建築戦隊は変身状態を維持できない。この後は。家にいるときに地震が起きた時の訓練だが、変身が解除されてしまっては、訓練にならない。
「二階建て木造アパート ショージコーポ家賃二万ジャー」
庭付き一戸建ての隣にアパートが建った。
どうして、大成がここに。一斗は不思議に思った。
「壁ドン攻撃」
アパートは一戸建てに攻撃している。一戸建てが揺れる。
「
「地震です。震度5強です。揺れが収まったら、各班の集合場所に行って、班員の安否を確認してください」
ロンが言う。
壁ドンが地震っていう事? 一斗はびっくりした。
町内会の人々は、庭付き一戸建てを飛び出した。
「コンロの火をつけっぱなし攻撃」
アパートは火を噴き始めた。火事の予行練習?なのか? 火は少しづつ大きくなっていく。
「消火器を」
ロンの一声で、町内会の人々は、消火器をアパートに吹きかける。
一斗も大成も変身が解除され、元の姿に戻った。
町内会の人々は、消火器を止めた。
防災訓練が終わり、公園のお片付け。町内会館では、打ち上げが行われていた。
「太成くん、今日は突然ありがとう。打ち上げ参加していって」
ロンが大成に勧める。
「いいすっか、町内会違うのに」
近所だけど、違う町内会の大成。
大成は町内会では期待の若者として、町内会の高齢者達に酒を飲まされていた。そのころ一斗は、何かを思いついたように、どこかに電話してた。打ち上げ会場である町内会館には姿を見せなかった、しかし、普段から変身しない時は影が薄い為、父親であるロンや町内会の人々には気づかれなかった。
大成はひとしきり飲まされたころに、一斗がいない事に気が付いた。一斗に電話してみた。少し一斗の声が聞けたかと思いきや、すぐに電話が切れた。電波がないようだ。
「もしかして」
大成は一斗のいる場所がわかったような気がした。
「すいません、オレ、これで失礼します。ごちそうさまです」
「え、もう帰るの?」
大成は惜しまれつつ、急いで町内会館を後にした。
「なんで、一人で行っちまうんだ」
大成は酔い覚ましのお茶を飲みながら、電車に乗った。




