66軒目 広がる野望
蛇口は何者なのか、みんなで当ててみよう!
この話は、三人称です。
口車塾の説明会では、物人間達が、口車乗や先輩塾生のハンカ・チーフ、リン・ボン、箱型箱男らと、個別に話していた。物人間達が口車塾の入会申し込みをしている。文字が書ける物人間と、書けない物人間がいる。乗や先輩塾生が、文字の書けない物人間の対応に追われている。文字が書ける物人間も、個別に質問があるので、そちらの対応にも乗や先輩塾生は忙しい。
バタバタした雰囲気の中、申し込みをせずに、そっと説明会会場を抜け出した物人間がいる。全身灰色、頭と右肩に蛇口。背丈は人間の大人並み。蛇口型の物人間だろうか。蛇口は口車塾を出て、商店街をゆっくりと歩いていた。物人間は飛んで移動する事が多い。しかし蛇口は歩いていた。通りがかる子どもに触られたりするが、それにも動じず、商店街を抜け、区役所に入った。夕方5時を過ぎているので、区役所は閉庁している。蛇口は、従業員入り口から区役所に入った。
区役所に入った蛇口に、若い男が駆け寄った。茶髪で、身長は蛇口よりも少し高い。若い男は蛇口の側面をつかみ、入り口近くの会議室に入った。
若い男は蛇口の背後に回り、蛇口の背中についているファスナーを開けた。中から出て来たのは半そでTシャツとズボンをはいた男だった。男は頭の蛇口を取った。
「お疲れ、で、どうだった?」
「ああ、ここはもう閉まるから、詳しくは後で話そうか」
蛇口は○○区イメージキャラクターの候補だった「ジャグチくん」の着ぐるみ。その着ぐるみを着て、口車塾の説明会に潜入した、建築戦隊のリーダーである丹羽一斗だったのだ。ジャグチくんの着ぐるみは、手がほぼ動かせず、装着の際には介助を必要とする。一斗は職場である区役所の関連部署の許可を得て、ジャグチくんを借りた。介助に友人の逸花大成を区役所に入れるのも許可を申請した。建築戦隊の存在は、区民の皆が知っていて応援している。なので協力者が多い。一斗は着ぐるみを倉庫に戻し、ロッカーから上着とカバンを取り出し、大成とともに退庁した。一斗と大成は、区役所前のバス停からバスに乗り、古民家博物館へと向かった。古民家宅で夕飯を食べながら、作戦会議をする予定だ。
古民家博物館に着いた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。古民家博物館の主、古谷民生通称古民家は、一斗と大成を住居部分に案内した。古民家博物館は、博物館の建物の裏に、住居として使っている平屋がある。外観は古民家だが、中は普通の住宅の設備がある。ガスコンロ冷蔵庫ダイニングテーブルがある。ダイニングテーブルには、古民家の後輩である、いけめん☆まほう少年、池田面が、一斗と大成に挨拶をした。古民家は、一斗、大成、池田 そして自分の分の夕飯をよそった。
「うお、カレーだ!いいね」
大成が喜んだ。
「なんか、色々なスパイスのある味がしますね」
池田が言う。
「まあ、自分は色々なスパイスを集めるのが好きだから」(49軒目参照)
「それで、今回偵察してみてどうでした?」
古民家が一斗に聞いた。
一斗は口車塾の説明会の内容を話した。今までバラバラに建築戦隊を襲ってきた、ドアやマイクが口車と組むようになった、口車は物人間をどんどん味方にしている。
「そもそも、口車塾ってどんな塾なんですか?」
一斗が聞いた。口車塾の説明会の情報も、古民家と池田からもらったものだ。
「口車塾は、当初は大学進学の為の塾でした。最近は、幼児から死ぬまで勉強が必要だと言い、就活、婚活、資格取得など、全年齢に対応した塾になっています。」
池田が説明を始めた。
「でも、どうして池田さんや建築戦隊に襲ってくるんですか?」
「きっかけは、俺や友達が大学受験の為に口車塾に入った事からなんです。最初は低料金で確実に第一志望校に入れる、部活で忙しい人は、週一回からでもいいと言われて入ったんですが、実際は全然話が違う!最初に説明された料金よりも高いし、週3回は通わないといけないし、話しが違うから辞めようとしたんです。で、一緒に入った友達と一緒に文句言うついでに辞めようとしたら、口車塾は変身しました。
建築戦隊に。友達に危害を加えたので、俺はいけめん☆まほうとなって戦い始めた。これが俺が高校3年の時。以後5年間戦い続けています」
「でも、5年間ってなんで、そんなに長いっすか?」
大成が尋ねる。池田は、ポツリポツリと話す。
「いつの頃か、口車の目的は、塾ではなく世界征服に変わっていきました。だから世界征服を妨害しそうな、ヒーローというヒーローは全て潰すと。いけめんだろうか、建築戦隊だろうが。裏に何かがあるのかも知れません」
「ハンカ・チーフ、リン・ボン……彼らが何か怪しいように思えます。ただ、なんとなくですが」
一斗は思い出したように言った。
「そういえば、物人間って何なんだ?ドアとかマイクとかよくオレ達襲われているけれど、あいつら結局何がしたいんだ?何度やってもやられるだけなのに、何度でも襲ってくるし」
大成が言った。
もうご飯は片付いた。
「物人間に関して、調べたら口車とつながるかも」
古民家は、パソコンを立ち上げた。
次回は物人間設定資料集です。




