42軒目 あやかの夏休み
あやかやっと登場。あやか視点です。
毎回視点が違うのが、建築戦隊。
久しぶりの実家だけど、何しよ。
あたしは中学から、緑海学園で寮生活。ここには長期休みの時、少しいるだけ。
午前中は、母とえりかで買い物。えりかはまだあんまり、あたしに慣れない。まあ、母に服とか買ってもらえてよかったけれど。
建築戦隊の妹、なんだか微妙なポジションで、小学校の頃は浮いていた。あたしは変身できないのに、皆に正義の味方的な期待をされていた。小学校の中学年くらいまでは、体が弱くて、あんまり遊べなかったから、遊び方もよくわからなくて、今一つな小学生だった。そんなとき緑海学園を知った。全寮制、自由な校風、海と山に囲まれて、今までのあたしを知らない場所。
って事で地元に帰っても、友達とかいないのよね。
そういえば、一週間も部活がないと、体なまるよね。そうだ、海の公園にバスケットゴールがあるから、自主練でもしよ。
自転車で10数分のところに、海があり、公園になっている。歩いて行くのも、暑いし、電車は中途半端。兄のスポーツ自転車が寂しく放置されているから、ちょっと拝借。
身長もそんなに変わらないから、サドル少し下げれば乗れるね。
ちょっと乗りにくいけれど、どうにか動くね。ていうか兄も職場まで徒歩30分なんてしないで、自転車で行けばいいのに。駐輪場がいっぱいだし、浜辺に自転車乗り入れよ。自転車を適当に停めて、リュックからボールを取りだす。
「あ…」
ボールが転がる。日傘の下でボールが止まった。浴衣に日傘の女…この人、見た事あるな。
「あら、また会ってしまいましたね。新しい建築戦隊さん」
「オゾンで会った・・・」
口車 舞。
口車一家は、口車塾という子どもから大人まで対応する塾をあちこちに作り、世界征服をもくろんでいる。それには建築戦隊が邪魔だと、ひたすら建築戦隊をねらっていると、父や兄から聞いた。だから、気をつけろ。一人で行動しない方がいいと。…そうだった…
「行くどす。庭付き一戸建て108円ジャー、旧名、庭付き一戸建て100円ジャーよ」
舞が手を叩くと、
「消費税分パワーアップ、建築戦隊庭付き一戸建て108円ジャー。出でよ、仲間よ」
A4くらいの大きさの、家…紙でできているみたい。
「建築戦隊 庭付き一戸建て1080円ジャー、新登場」
後ろからもう一軒現れた。押し入れケースのような家が1080円ジャーというらしい。
108円ジャーはおもちゃを投げてきた。100均で売っているおもちゃのようだ。
生徒会室の鍵持っていてよかった。
「教室戦隊 緑海学園レンジャー 生徒会室」
「え?教室戦隊って他にいるの?ぷ」
108円ジャーに笑われ、しまったと思った。教室戦隊は他にはいないものね。
「安いから、たくさん買っちゃう攻撃!」
生徒会室前には、108円ジャーの投げたおもちゃがいっぱい。割れていて、プラスチックの破片を散らかしているのもある。
「消費税が高くて、払えない攻撃」
1080円ジャーも攻撃してきた。あたしは、生徒会室の帳簿に触れた。数字の塊が、舞って行く。108円ジャー、1080円ジャーは数字に苦しんでいる。
あたしは生徒会室の貸出用ボールを敵にぶつけた。しかしなかなか敵もしぶとい。
はあ、暑い。生徒会室のエアコンはまだない。夏休み中に付くそうだ。緑海学園は、山と海に囲まれた静かな場所にあるから、それほど暑くないのだけど、○○区は普通に暑い。
パソコンに触れてみる。変身した状態で電源が付くのかな。
「廊下は走らない 文化祭は10/5」
文字が窓を抜けて、敵にぶつかる。ああ、これ、前に作ったポスター。
パソコンも攻撃に使えるんだ!もっとボールをぶつけよう。
「舞はん、もうだめです」
敵がふらふらになった。
「建築戦隊、手ごわい。覚えておきなさい」
敵は去って行った。何かチラシのようなものを落として行った。
あたしは落としたチラシを拾った。
「海の公園いきぬきフェスタ。 バトルショー18時から 優勝者には、○○島年間パスポート」
バトルショー、面白そう。この日まだあたし、○○区にいるわ。
あたしは元の姿に戻った。あんなに散らかしたボールや、おもちゃもすっかり消えている。だけど、自転車、兄の自転車が、つぶれている?!
そうだ、変身した時、自転車そばにあった。生徒会室でつぶしてしまったんだ。
「♪♫~」
携帯が鳴った。
「もしもし」
「あやか、どこにいるの?」
母だった。遅いから電話したって。
「実は、兄さんの自転車、変身してつぶしてしまって…」
あたしは正直に言った。どうやって帰ればいいんだろう、歩いて帰るのかな。
「わかった、そこにいて」
電話が切れた。
10数分しただろうか
向こうから走ってくるのは、兄。やばい、怒られる。いや、怒ってくれるならまだいい。何も言わずに、目も見ずにってのが兄だ。
「ごめんなさい、自転車」
どう見ても、つぶれていて走れない。兄は自転車を見た。
「これ、よく乗ってこれたな。僕も変身した時にそばに停めていた自転車をつぶしたんだ。だから、この自転車は壊れていたんだ」
兄は壊れた自転車を担いだ。
「駐車場まで歩ける?すぐそこだから」
また、兄の運転か。あたしが悪いから仕方がないか。
兄は車に自転車を積んだ。そして、後部座席を開けた。車の中は誰もいない。あれ?
「戦うとすごく疲れるだろ。こっちのほうが座りやすいから」
あたしに後ろに乗れと言った。
なんだか、意外だ。
あたしが、いきぬきフェスタのチラシを見ていたら兄が言った。
「バトルショーか、参考になるのかな。あやか、いきぬきフェスタの日はまだ、ここにいるの?行ってみる?」
兄とは思えない、明るい発言。
「行ってみる」
次回から新章、いきぬきフェスタでバトルショー。あやかもいるよ。




