40軒目 妹が変身した!
一斗視点です。今回重いです。
「どうしたんだ、ボーっとして」
「えっ?」
僕ははっとして、大成のいる後ろを振り返った。あやかと父は、家へ帰った。僕も一緒に入ってもよかったのだけど、何故かそのまま公園にいる。
「代々長男が継ぐ建築戦隊、だけど妹がいきなり変身したから、兄としては複雑なのか?」
大成はそう言って、ベンチに腰かけた。
「どうだろう…。でもあやかは、普段学校の寮にいるから」
そう言いつつも、何だかモヤモヤと割り切れない気分があった。
「もしかして、あやかが建築戦隊を継げばいい…なんて思っているのか?」
「それは…」
正直、そう思った。だけど、これは口には出せない。僕は長男だから建築戦隊を継いだ。やりたいとか、やりたくないとかではなく、長男だから。今まで丹羽家ではそうだったから。僕が黙っていると、大成が話し続けた。いつもの軽い大成とは思えない、落ち着いた口調で。
「オレは何となく、気づいていたんだ。一斗は建築戦隊を好きでやっている訳ではないって」
ばれている?
「戦いごっことか戦隊物には興味がない。争い事も好まない。むしろあやかの方が、戦いごっこに加わって来たよな、子どもの頃」
「そうだった…な」
建築戦隊は本当はやりたくはないなんて事、ずっと隠し続けていた。まさかばれているとは、衝撃のあまり言葉が出てこない。
「でも、やらないといけない事は、できるだけの事をしていた。建築戦隊に対しても。そういう真面目なオマエが好きだ。だから、オマエについて行ったんだ」
「……」
「まあ、家に変身するって、変だけど面白そうってのもあるけれどな」
大成は、にっと笑った。
ばれてしまったのはショックだけど、長年の友達に嘘をつく訳にもいかない。
「なんか、全部大成に言われてしまったな。うん、本当は戦う事は好きではない。だから建築戦隊もなりたくはなかった。でも長男に生まれたから、仕方がないって今までやってきた。子どもの頃から、ずっと建築戦隊になるんだって親や親類に言われてきたから、他の事が考えられなかった。仕事は、定時で終わって、できるだけ多くの時間建築戦隊ができるような物を選んだし。だから、何も知らないはずのあやかが、いきなり変身。しかも僕よりも強い…なんて、今まで何やって来たんだ俺…」
大成がつっかえた物を取り去ったから、堰を切ったように、長く話してしまった。普段こんな自分の事は、誰にも話さないから、急に恥ずかしくなった。大成は、黙って聞いてくれていた。
「ごめん。ついベラベラと。またうざいって言われて、変身されるかな」
「うざくねーよ。やっと本音が聞き出せた。一斗も人なんだな~って安心した」
「なんだそれ、今まで何だと思っていたの?でも、これみんなには言わないで。特に父親には」
「わかったよ。じゃあ、喉乾いた」
口止めで奢れって事か。二人で近くの自販機で飲み物を買った。
「悪いな」
大成がジュースを飲みながら、いつもの軽い感じで言った。
その時、
「よくもジョー先生を」
背後から甲高い男の子の声がした。
振り返ると、ストライプのハンカチに手足が生えた化け物とリボンの形をした化け物がいた。背丈は僕の膝くらい。
「あなたが、建築戦隊ね。このハンカ・チーフとリン・ボンがつぶしてやりますわ」
リボンの形をした化け物が言った。
一斗が急に俺と言ったのは、わざとです。
次回、ハンカ・チーフ リン・ボンとの対戦。




