4軒目 建築戦隊 説明会編(後編) -高層鉄骨マンション レーアントシティ一街区一号棟3200万円ジャー 誕生ー
一話完結と言いながら、どんどん長くなってしまいました。
グットモーニン。ワタシは万田レイナ。1歳の子がいる平凡な専業主婦・・・だった。
5月○日。迷わずに来た区役所。建築戦隊説明会、どんなことをするのだろう。
ドキドキしながら、説明会会場の4階へ。
「こんにちは。あ、この間の、来てくださったんですね。」
受付と書かれたテーブルにこの間のメガネの青年がいた。
「この間はありがとうございました。」
青年は戸惑ったように、建築戦隊説明会と書かれた資料を渡した。
「いえ、あ、資料をお持ちください。席は好きな席で。お子さんは、後ろのマットのスペースへ。保育士がいますので。」
机が並んでいて、10人くらいの人が説明会に参加しているようだ。おじさん、主婦、高校生、色々。
後ろにはマットが敷いてあり、おもちゃが並んでいる。秀はおもちゃへ向かっていく。
「あら、秀くんのママじゃない。」
エプロンをつけた中年女性。この人は・・・
「あ、えりかちゃんのママ。久しぶり。」
ことこととかの子育てひろばでたまに会う落ち着いた感じのママさん。社会人の息子さんと、高校生の娘さん、そしてえりかちゃん2歳
と3人のお子さん?がいる。落ち着いた先輩ママとして、色々教わることも多い。
「そういえば、ちゃんと自己紹介していなかったわね。私は丹羽華子。今日は保育士として、秀くんを説明会の間お預かりします。」
「万田レイナです。よろしくお願いします。」
マットの子どもスペースで遊んでいるのは、秀とえりかちゃんだけ。
「ではお集まりくださりありがとうございました。建築戦隊 説明会を開催します。」
50歳くらいの男性が現れた。
「私は丹羽ロン。受付にいるのが丹羽一斗現在の建築戦隊 庭付き一戸建て3000万ジャーであり、私の長男です。今日の保育担当は丹羽華子、妻です。」
男性は説明を続けた。
丹羽家は代々建築戦隊の家系で、長男が自宅に変身して、様々な悪と戦ったり、時にはお祭りなどを手伝ったり、困った人の相談に乗ったりしている。悪はどこに潜むかわからない。組織化しているようなしていないような。まだわからないことが多い。
最近敵が区内のあちこちに出没するようになり、戦隊を増やすことにし、説明会を開催しました。
その後ホワイトボードや配布された資料を使い、具体的な戦闘方法の説明に移った。
・自己所有または貸借人の物件そのものに変身して、家を使った戦いをする
・家の鍵を手に挟んで変身
・決闘禁止の法律があるので、建築戦隊からは暴力的な攻撃はしない。相手からの反撃や、班長の重圧などの心理的攻撃が可能
・マンションやアパートは、自分の部屋+廊下などの共有部分が攻撃に使える
・オーナーは全部屋攻撃に使える。
・集会室やゲストルームなどの共用部分が多いマンションは有利
・家の中は生き物以外はそっくりそのままに再現される
・戦闘に使った備品、壊れた設備は、実在の自宅には反映されない
・敵を倒すとカードがもらえることがある。それは家を作る部品になるがまだ土地はない
・報酬は基本ボランティア。だがカード一枚でシールを一つプレゼント。10枚ごとに素敵な景品をプレゼント。
カードは自分で持っていてもいいけれど、丹羽家に渡すといいものがもらえるかも。
渡す方法は郵送でも手渡しでも可能。郵送は料金別納封筒があるので、必要な方はお持ちください。
・けがをしたら保険金が出ますので、丹羽家に報告を
・なるべく公園等の邪魔にならない場所へ敵を追い込んで変身すること
・変身した大きさは、自宅から1キロ圏内(町内)は自宅と同じ大きさ。2から4キロは(区内)は8割。
4から6キロ(市内)は5割から6割、以下距離が離れる毎に小さくなる。
・任意で小さく変身することもできる
うわ、いっぱいある。決闘禁止なんて法律があったんだ。
次に戦隊の名前の付け方
マンション 戸建 アパート
物件名 所有者名
広さ 間取り 木造 鉄骨
価格 家賃 何階建て?
とかから任意に組み合わせる。
説明が終わり、戦隊に加入する決心の付いた人はロンさんの周りに集まり、それ以外の人は帰った。
未成年は保護者の許可が必要って事で、女子高生は帰って行った。
集まったのは、ワタシを入れて3人。
小柄な成人男性。富川駅前にある古民家博物館のオーナー。そしてもう一人は私と同じくらいの年齢の主婦。彼女どこかで見たような・・・。
ロンさんは各自差し出した家の鍵に力を込めた。
力を与えられても、すぐには建築戦隊にはなれない。丹羽家で研修をするそうだ。
個別に丹羽家と日程を合わせた後、解散となった。
こうしてワタシは、
高層鉄骨マンション レーアントシティ 一街区一号棟 3200万円ジャーとなった。