38軒目 教室戦隊 緑海学園レンジャー…とか?
生徒会室に変身した事を父に言うと、少し驚いた様子だったが、すぐに冷静になった。
「あやか、緑海学園のパンフあるか?」
あたしは二階の自室から、緑海学園のパンフレットを持ってきて、リビングにいる父に渡した。
「ほら、ここ、創立者の名前見てみろ」
「…創立者『丹羽創』ってもしかして」
パンフは緑海学園に入りたいと思った小学校の頃によく見ていたけれど、丹羽という名字はそんなに珍しくないから、あまり気にしていなかった。
「そう、私の曽祖父だ。会った事はないがな。曽祖父も建築戦隊だった」
「―」
「緑海学園の創立者が曽祖父で、今は全く関係のない方が学園長をしている。あやかが緑海を受験したいと言った時、あやかも変身する可能性はあると思った」
だから、父は冷静だったのか。父はあたしをじっと見つめた。
「どうだ?変身した気分は?」
「びっくりしたけれど、嬉しかった。あたしもずっと建築戦隊にあこがれていたから」
あたしはあの時の戦いを思い出しながら、答えた。
「そうか、じゃあちょっと外へ行こう。一斗、鍵を持ってお前も来い」
父はリビングの隅で空気状態になっている兄に言った。兄は黙って付いて来た。
家の前の小さな公園、外はだんだんと暗くなっている。父の言うとおりに実験してみることにした。
<実験1>
兄の鍵で、庭付き一戸建て3000万ジャーに変身できるか
…………手を合わせて願いを込める。
しかし何も起きなかった。
<実験2>
もう一度生徒会室に変身する
ボン
あたしは生徒会室にいた。また、変身できた。
父が生徒会室の扉を開けて、入ってきた。
「生徒会室の大きさってこんなもんか」
「多分、この貸出し用のボール、大きさ普通だ」
「そうだな、学校からの距離と変身できる大きさの関連性がないようだな」
建築戦隊と違って、本物の建物の距離と、変身できる大きさが関係ないんだ。建築戦隊は、自宅からの距離が遠くなるほど小さくしか変身できない。
<実験3>
庭付き一戸建て3000万ジャーとの試合
でも兄は手加減する事。
攻撃、ボールをぶつけたりもできるけれど、もっと生徒会らしい攻撃があると父は言う。あたしは生徒会で会計をしている、会計簿に手を触れた。数字帳簿を飛び出して、舞った。信じられない!
「あやか、窓を開けるんだ、窓の向こうの3000万ジャーに数字をぶつけるんだ」
「どうやって狙うの?」
「そうだな、これで仰いでみたら」
父は会室に置いてあるうちわを渡した。これで攻撃なの?
言われたとおりにやったら、3000万ジャーがぐらついている。攻撃が効いているみたいだ。3000万ジャーも抵抗し、しばらくすると数字は3000万ジャーと会室の間にとどまった。
「生徒会って今何か行事取り組んでいるか?」
「秋には文化祭があるけれど、まだよくわからない」
「そうか、文化祭もよく関わると、いい攻撃ができるぞ。日頃の生活を一生懸命やれば、建築戦隊も強くなるんだ」
「すごい、そうなんだ」
あたしは興奮した。
「お、新しい建築戦隊か?」
この軽い感じの声は、もしかして…あたしは窓を覗き、公園に入ってくる男を見た。
「大成…さん」
兄の幼馴染で近所の逸花大成。真面目な兄とは正反対の軽い男。
「なんだよ。いいよ、呼び捨てで。へ、あやかだったんだ。ロンさんに力をもらったの?何これ?学校の教室みたいだな」
「生徒会室よ。今日、いきなり変身できてね。父に力をもらった訳ではないの」
「面白そうじゃん、で一斗と練習していたんだ。オレも練習しようかな。うっ」
大成は肩を押さえた。よく見ると包帯を巻いている。
「怪我したの?」
「ああ、ちょっと戦いでな」
「大成はしばらく変身禁止だったろ」
兄が言った。そうか、戦いも危険なんだよね。
あたしも兄もいつの間にか元の姿に戻っていた。
「あれ?」
あたしはキョロキョロした。
「しばらく戦わずにいると、元に戻る」
父が言った。
「そういえば、変身した後の名前決めないか?」
「教室戦隊 緑海学園ジャーとか?」
あたしは変身にあこがれていたから、名前なんていくらでも思いつく。
でも普段、この力どこで使うのだろう。学校には今まで敵は現れなかった。生徒会室の鍵を校外に持ち出す訳にはいかないし。今回は間違えて持ってきただけだし。
この力、使う事あるのかな。
取りあえず、長旅と戦いに疲れたから、家に入りましょう。




