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建築戦隊〇〇レンジャー  作者: たかげるげVSたこやま
JKあやか編
35/114

35軒目 JKあやか覚醒

久しぶりの○○区。

あたしはスーツケースを引きながら電車を降りた。

あたしは、丹羽あやか、16歳、高校一年生。○○区から電車で二時間くらいかかる全寮制の中高一貫校「緑海みどりうみ学園」に通っている。今は夏休みだから、久しぶりに実家に帰ってきた。

○○本庫駅前にて、父の迎えの車を待つ。うちは駅から遠い。帰ると連絡したら、父が車で迎えに来てくれる事になった。実家には一週間滞在するから、結構荷物が多い、

駅のロータリーにうちの車が見えた。赤いから目立つ。赤は正義の色だから、車も赤いのにしたのだとか。にしてもこの車、遅くない?うまく流れに乗っていないような、そんな感じ。私の前に赤い車が来た。


「父さん、ただいま…ってあれ?」

あたしは運転席に座る男を見つめた。

「兄さん…」

運転しているのは、父ではなく、兄だった。

「父さんから頼まれて来た。乗って」

…なんだかなあ。兄の丹羽一斗20歳。会社員。5学年上の兄に、あたしは複雑な気持ちを抱いている。

 あたしは、トランクにスーツケースを詰めて、助手席に乗った。後ろの席がよかったけれど、そうすると兄は

「タクシーじゃないんだから、こう言う時は助手席だろ」

とか色々細かく言われそうだ。

「兄さん、免許持っていたんだ」

兄が運転するところは初めて見る。

「二年前、高校卒業する時に取った。3月生まれだから、一か月で取ったけれど」

あたしは中学の時から寮にいるから、家の事や兄弟の事はわからない事も多い。

 「ごめん、運転、慣れてないから、話しかけないでね」

怖!頼まれても、話さないわよ。


 車は家とは違う方向に向かって行った。オゾンショッピングセンターの駐車場に入って行く。不審に思いながらも、兄の話しかけるなオーラにやられて、聞けずにいた。車は何度も切り返しながら、屋上の屋根のない駐車場に止まった。


 「一時保育に預けている、えりかを引き取りに行くから、一緒に来て」

もう突っ込みどころありすぎ。何で説明もないのかとか、オゾンに保育園があったんだとか、何故えりかが保育園にとか、何故えりかを兄が引き取るのかとか。

あたしが不審な顔をしていると兄が、

「母さんから頼まれた、用事があって預けていたけれど、間に合いそうにないからって」

えりかは、あたしの妹、2歳。あたしが寮にいる間に、年の離れた妹ができて、びっくりした。あまり会った事がないから、人見知りとかされそう。


 「えりかちゃん、お父さんとお母さん迎えに来たよ」

保育士さんがあたし達をそう呼んだ。違うって…

 えりかは兄に駆け寄った。あたしに気付くと、兄に隠れた。やっぱりな…と。まあいきなりできた妹に、あたしもどうしていいかわからない。


 駐車場に戻ると、うちの車の前に、スーツ姿の中年男性と、着物姿の女性が立っていた。暑くないのかしら。車が出せないので、どいてもらおうとしたら、中年男性が話しかけてきた。

「君は、丹羽一斗だね」

「何故、僕の名前を…?」

「僕の名は、口車乗くちぐるまのせる。口車塾で世界征服を目指している。それには、建築戦隊の存在が邪魔だ」

「うちは口車舞。面白そうなので、ついてきてしもうた」


建築戦隊。我が家は代々家に変身して悪と戦う、建築戦隊の家系。長男である兄が今建築戦隊を継いでいる。兄は家の鍵と車の鍵をキーケースにつけて、ズボンのポケットに入れている。家の鍵を握ると、庭付き一戸建て3000万ジャーに変身する。庭付き一戸建てというのは、我が家だ。変身するのは家のコピー。


 えりかがおびえて、兄にしがみつく。その時

「いただき!」

舞が兄のポケットからキーケースごと奪い取った。

「建築戦隊、鍵を取られたら、変身できへんわね」


 子どものころから、建築戦隊を継ぐ兄ばかり親の手間暇かけられていた。あたしはほったらかし。なのに兄は、いつも淡々としている。父の言うなりで自分の意見を言わない。今だって、鍵を取られて何もできずにいる。どうするのよ!

 

 あたしは自分の服のポケットに鍵が入っている事に気付いた。大きさから、学校の生徒会室の鍵を持って帰ってしまったんだ。あたしは鍵を確かめようと、ポケットに手を入れて、鍵を握った。

ボンと音がして、あたしは生徒会室の中にいた。

なに…これ…

会室の窓を見ると、オゾンの駐車場、兄とえりかと口車が見える。


あたし、生徒会室に変身したんだ…

何故?


「新しい、建築戦隊か?」

口車が驚いていた。


あたしは、学校で生徒会会計をしている。先生に頼まれて、何となく引き受けただけだけど。

変身した生徒会室は、本物そっくりの物がある。これを使って攻撃かな。攻撃に使えそうな物、ボールかな。生徒会室では、昼休み遊ぶ用のボールを貸し出している。バスケットボール、ドッチボール、バレーボール、サッカーボール。バドミントンや卓球のセットなども貸し出している。ボールと言えば、あたしはこれ、バスケットボール。あたしは中学からずっとバスケ部だ。

「兄さん、ちょっとそこどいて」

兄はえりかを抱っこし、よけた。

「シュート」

会室の窓を開けて、口車にシュートした。顔面はさすがにまずいだろうから、足を狙った。

何度もボールをぶつけるわよ。

「髪が乱れてしもうた。ジョー兄さん、帰りましょう」

舞が乗の手を引っ張る。

「帰る前に、鍵を返しなさい。返すまで、投げるわよ」

口車は鍵を落として去って行った。


 変身が解けたあたしは、その場にヘナヘナと座り込んだ。

「変身した…」

実は結構憧れていた。戦隊物とか好きだったから、建築戦隊になりたかった。女だから無理だって、あきらめていた。夢なのかな。

「あやか、大丈夫?」

兄が近づいて来た。


次回は、夏の特別話、あやか編はしばらくお待ちを。

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