12軒目 高層鉄骨マンション レーアントシティ VS 妄想鉄骨マンションレイゾウコシティ
原作 5歳児
キャラクターデザイン 一部 7歳児
執筆 17歳と6205日歳
「レーアントシティって大きくて、公園では変身できなくない?」
ワタシはかねてからの疑問を口にしてみました。
ワタシ、万田レイナは、今住んでいる「高層鉄骨マンション レーアントシティ一街区一号棟」に変身する建築戦隊の一員です。マンションそのものに変身して、ワタシはその中から敵と戦うという、少し、いえ相当変わった戦隊です。
普段のワタシは、一歳の息子、秀のママ。ごく普通の専業主婦です。二か月前の五月に偶然、建築戦隊と出会い、仲間に入れてもらいました。練習で近くの小学校の校庭を借りて、レーアントシティに変身した以来、まだ戦った事はありません。機会はあっても、タイミング悪く子どもが熱出したりでなかなか動けません。
今日は我が家にお友達親子が遊びに来ています。2歳のえりかちゃん、えりかちゃんママの丹羽華子さんです。華子さんは、建築戦隊のリーダで、庭付き一戸建てに変身する、丹羽一斗さんのお母さんでもあるのです。華子さんとは以前から、子育て広場などでよく会っていたけれど、建築戦隊になってからママ友になりました。
そこでかねてからの疑問を華子さんにぶつけてみました。
「レーアントシティって大きくて、公園では変身できなくない?」
華子さんはふっと笑って答えました。
「そうなのよね。大きさの問題、いくつか方法はあるわ。一つは、任意で小さくできるのは知っていたわね。それと、二つ目は、他にも建築戦隊がいるときは一棟にまとめてしまうやり方があるわ。他にも・・・あるけれど、いっぺんに覚えるのは大変ね」
他の建築戦隊、レーアントシティにはもう一人建築戦隊がいます。ワタシと同時期に仲間入りした、二街区二号棟の阿南真由さん。真由さんも小学校一年生と年少の男の子のママ。レーアントシティはどの棟も10階建てで横に長い。そして、一街区から五街区まであり、駅からレーアントシティを循環するバスが走る。レーアントシティには公園や広場が点在していて、一棟くらいなら変身できそうなスペースはあるけれど、二棟は難しいでしょう。
秀が玄関のドアをガチャガチャし出しました。外へ出たいようです。それを見て華子さんが言いました。
「秀ちゃん、飽きたのかな?外へ出る?」
ワタシは窓の外を見ました。今午後二時。暑い時間帯、日差しが照っています。
「公園は暑いから、共用棟のプレイルームはどうかな?」
ワタシ達は、家を出てレーアントシティ中央にある共用棟に向かいました。共用棟は20階建てで、プレイルームやスポーツジム、図書館など住民が利用できる施設です。住民と一緒なら外部の人も利用できます。
共用棟の前は広場になっています。広場の端っこに、建築戦隊の真由さんが立っていました。真由さんはワタシ達に手を振っています。
「あら、こんにちは」
まさか会うとは思わず、びっくりしながらあいさつしました。
同じ建築戦隊、同じママとはいえ、子どもの年齢が離れているせいか、どう話していいのか戸惑います。建築戦隊になる前は近所とはいえ会ったことはなかったしね。
真由さんは話します。
「ここ、幼稚園のバス停なの。もうすぐ下の子が帰ってくるんだ」
突然、目の前が暗くなり、冷たい空気が流れて来ました。暑いからいいネと思いきや、見上げると・・・
10階建てくらいの大きさの冷蔵庫型のビルが建っています。
「ふふふ、わらわは、建築戦隊 妄想鉄骨マンションレイゾウコシティ。夏なんて嫌いだ!この国をわらわが冷凍してやる!」
建築戦隊?仲間なの?でも何か変。これは初めての建築戦隊の出番?
「レイナちゃん、変身よ」
華子さんがワタシに叫びます。とすぐそのあとに華子さんは、真由さんに何かささやいています。
ワタシはポケットから家の鍵を取出し、手を合わせました。
「建築戦隊 高層鉄骨マンション レーアントシティ 一街区一号棟 3200万ジャー」
レーアントシティに変身できました。レーアントシティは広場に収まりきらず、少し道路にはみ出してしまいました。レイゾウコシティとは目の鼻の先です。
真由さんは、ワタシが変身したレーアントシティに入り、鍵を取出し手を合わせました。
「建築戦隊 高層鉄骨マンション レーアントシティ 二街区二号棟@まゆ」
え?真由さんは何も変わったようには見えない。
「これがスペース節約、一棟にまとめる方法。真由さんも建築戦隊の能力が使えるの。私は子どもたち連れて、共用棟に避難するわね」
華子さんは子どもたちを連れて、共用棟に入りました。
レイゾウコシティは、凍った野菜を投げてきました。レーアントシティのガラスが割れて、野菜が部屋に飛んできました。しかも投げてきた野菜腐っていたり、つぶれていたり。
「冷蔵庫に詰め込み過ぎは、電気の無駄よ」
ワタシは野菜を投げ返しました。レイゾウコシティは今度は腐った肉や魚を投げてきました。部屋がべとべとになるわ。真由さんはワタシの部屋を見回しています。
「高層マンションの一階って、眺めが悪いのね。私は10階だからいいわよ。そんな10階建てを生かした攻撃よ。」
何、嫌な言い方ね。真由さんはワタシの思いとは、関係なく攻撃を始めました。
「最上階の素敵な眺め攻撃、富士山も見えるのよ」
レイゾウコシティは一瞬動きが止まった。
「きれい、富士山か、でも冷蔵庫だから関係ない」
レイゾウコシティは変わらず食べ物を投げ、冷気を送ってきます。
このまま闇雲に攻撃しても、無駄、そう感じたワタシは、コンロでお湯を沸かしました。
「何をしているの?」
真由さんが不審そうに尋ねました。
「熱湯をかければ、冷蔵庫は壊れるわ」
真由さんもお湯を沸かしてくれたが、冷気の方が強く、熱湯をまいても追いつかない。
冷蔵庫が壊れる方法・・・他には・・・・
「真由さん、レイゾウコシティにもっと景色を見せて」
ワタシははさみやペンチを押し入れから取出し、レイゾウコシティのいるのは反対の窓から外へ出ました。
真由さんは、レイゾウコシティに高層階の夜景を見せていました。
あたりは暗い、これはいいかも。
ワタシはレイゾウコシティの後ろに回り込みました。電気の配線がたくさん見えます。
それらをはさみやペンチで、バッサと。
レイゾウコシティは崩れました。レイゾウコシティの中から、小さな男の子が現れました。小学生くらいかな。
「建築戦隊、覚えてろ!あっかんべー」
男の子は走りさった。男の子は何か落としていった。ワタシはそれをひろいました。ハンカチでした。広げるとひらがなで名前がかいてありました。
「もうそう てっこつ」。
次回 庄司ビル VS 習字ビル お楽しみに!




