11軒目 ショージコーポVS貸出アパート0円ジャー
原案:うちの長男5歳
執筆:たかげるげ
大成と一斗の友情が意外と熱い!
「うっ・・・」
オレ、逸花大成は通帳を見て青ざめた。
「金が、足りない」
二年に一回6月、住んでいるアパートショージコーポの更新月だ。6月末には家賃二万に加えて、敷金礼金を家賃二か月分、合計10万円支払わなくては・・・。
大家に言って待ってもらう? 大家はオレの伯母である、庄司寛子、寛子おば。
高校の時両親を亡くしたオレを、寛子おばは親代わりとして見守ってくれている。元々住んでいたショージコーポも、家賃六万のところ、二万にしてもらって借りている。伯母はお金に厳しい。この間家賃滞納したばかりなのに、またなんて言えないな・・・。オレは携帯を取り出して、友人に電話をした。
「もしもし、一斗、家賃が払えなくてさ・・・。今月は、更新月で、敷金礼金も払わないといけなくてさ。悪いけど、貸してもらえないかな」
電話したのは幼馴染の丹羽一斗小学校から高校まで同じ。一斗は高校卒業後区役所で働き、オレはプロのギタリスト目指したフリーター。
「それはできないよ」
一斗は冷静に答えた。
「冷たいな。一斗は実家だからわからないだろうけどさ」
「ああ、わからないよ。でも大成とはずっと友達でいたいんだ。だから貸さない」
「もういい!」
オレは乱暴に電話を切った。
気分転換にオレは外へ出た。アパートのはす向かいに、新しい三階建てのアパートが建っている。あれ、ここ空き地じゃなかったけ?アパートに垂れ幕がかかっている。
「貸出アパート 0円 入居者募集中!見学自由!」
派手なフォントで垂れ幕にそう書いてある。
「0円! すっげー」
オレは思わず貸出アパートに入った。中には案内する男性が一人。スーツに白衣、口車借と名乗っていた。口車?なんか聞いたような気がするけれど、ま、いいいか。木造3階建て、2DKバストイレ付が6世帯、ショージコーポと中は良く似ている。
ショージコーポとほぼ同じスペックなのに家賃0円!?
オレは即座に、貸出アパートを契約した。引越は、バンド仲間に手伝ってもらうので、一週間後になった。ショージコーポの退去の連絡は、後でいいか。引越までの一週間、オレは何度か貸出アパートに訪れた。何という居心地の良さ。これで家賃0円か、これからの生活が楽しみだ。
引越の日がやってきた。荷物は全部梱包済み。一人暮らしと言っても、ショージコーポはオレは生まれたときからずっと住んでいる家。荷物や家具はそれなりの量がある。
バンド仲間は男が二人、すぐ近くの引越だからトラックは使わず、台車で荷物を運ぶ。家具を貸出アパートに搬入したその時、
床が抜けた!
「フフフ、一週間の期限が過ぎた。」
床から声がする。一週間の期限?
オレは危険を感じ、急いでバンド仲間と一緒に貸出アパートを出た。
貸出アパートは、グラグラと動き出した。
「建築戦隊 貸出アパート0円ジャー 参上」
建築戦隊だと?
「貸出の期限は一週間だ、一週間を過ぎると、オレはお前を倒す」
また、オレだまされた?
オレはショージコーポの鍵を持って手を合わせた。
「建築戦隊 二階建て木造アパートショージコーポ 家賃二万 敷礼二か月分ジャー」
オレはショージコーポに変身した。戦闘能力を持った、ショージコーポのコピー。これが建築戦隊。
オレの部屋は201号室、二階の角部屋。オレは201号室しか借りていないから、変身しても201号室と、廊下などの共用部分しか戦いには使えない。オレもバンド仲間も201号室に入った。
「安いが一番、いやあ無料っていいね、攻撃」
0円ジャーの安い波動がショージコーポをゆらす。
「安いがすべてか?そんなことはない」
オレは思わず安い波動を跳ね返した。上手い話には裏がある・・・。
気づいた。
そこへ一斗がやってきた。仕事が終わったところのようだ。
「大成、今行くよ」
一斗は鍵を取りだした。
「お前は、アパートか」
貸出アパートが一斗に尋ねた。
「戸建ですが」
一斗は鍵を手に持ったまま答えた。
「これはアパート同士の戦いだ!戸建はすっこんでろ!」
貸出アパートは怒鳴った。
アパート同士の戦いか・・・・
「一斗、お前がこの前一人で戦ったように、オレも一人で戦わせて欲しい。アパート同士の戦いなんだ」
「わかった」
一斗は変身したショージコーポの後ろへ引っ込んだ。
「壁ドン攻撃」
オレはショージコーポの壁ドンを繰返した。相手にプレッシャーを与える攻撃だ。
「いいんだもん、一週間で壊れるからな」
貸出アパートは平然としている。
「ガス台にあるのはカセットコンロだよ攻撃」
うわ、そうだったのか貸出アパート。
「アパートは町内会の情報があんまり来ない攻撃」
こうなったら、情報を遮断し孤独感を強める攻撃だ。
0円ジャーは寂しい波動を感じて、崩れた。
オレは元の姿に戻った。引越先がなくなったので、バンド仲間には、お礼をして帰ってもらった。
一斗が近づいてきた。そういえば一週間前一斗にひどい事を言ったままだった。
「大成、これ」
一斗がwebサイトをプリントアウトした物を渡してきた。
「最近の判例で、更新時は敷金礼金は払わなくてもいいと出たらしい。これがその資料。寛子さんに言ってみたら?」
翌日から、オレの変身時の名前は「建築戦隊 二階建て木造アパートショージコーポ 家賃二万ジャー」に改名された。でも「敷礼二か月分ジャー」とつくのもカッコいいからそのまま名乗っておこうかな。
次回第12話 高層鉄骨マンション レーアントシティVS妄想鉄骨マンションレイゾウコシティ お楽しみに!




