101軒目 その後前編
最終決戦の感動に浸る間もなく、のはらに泳ぎに連れ出された○○レンジャー。疲れて泳げなくなった人から、流れ解散となった。それから一週間、平穏な日々が流れた。○○レンジャーのメンバー同士は、お疲れ様のメールを交換したくらいは、特に会うこともなく過ぎていった。
丹羽家にて、ロンが言った。
「最近一斗の帰りが遅くないか?」
華子が答えた。
「ええ。今日は遅くなるから夕飯いらないって言ってたっわ」
口車に誘拐されたことがあったからか、一斗の行方を華子もロンも気にするようになっていた。
「あ、帰ってきたわ」
一斗はリビングに来て、華子とロンの顔を見渡しながら言った。
「来週引っ越すことにした。今年度いっぱいで会社も辞めることにした」
「まさか、一週間の無断欠勤でクビにされたのか? あれは事故だったんじゃないのか?」
ロンは、突然のことに動揺しながら言った。
「違う。前から考えていたことなんだ。××区にワンルームマンションを借りたんだ。四月から夜間大学に行ってもう一回勉強する。のはら教授の授業も取れる大学なんだ。だからこれを――」
一斗は鍵をロンに返した。
「どうして急に……」
ロンも華子も言葉が出ないが、一斗は話し続けた。
「今度は建築戦隊の力、親の七光りではなく、自分の力と知識で戦いたい」
「今まで何のためにお前を育ててきたと思ってるんだ!」
「あやかが生徒会室に変身できたころから考えていた。建築戦隊は僕じゃなくてもいい。ごめんなさい。今週末に出ていきます」
一斗は、両親にこれ以上何も言わせなかった。
そして週末。一斗は旅立った。大成も一緒だ。大成のバンド仲間のリュウの運転する軽トラックに乗って、××区に向かう。
「しっかしお前らほんとに仲いいよな〜。引っ越し先までおんなじマンションなんだもんな」
リュウが言った。
「そうか。たまたま探したマンションが、大成の職場で借りているマンションと同じだっただけだよ」
一斗はいつも通りに淡々と言った。大成は、バイト先に社員として働く事になった。社員になると、全国転勤ありで夜勤必須な為、寮に住む人が多い。寮といっても、一般のアパートやマンションの一部を借り上げているので、他の部屋は社外の人が入居している。実質一人暮らしと変わらない。大成は音楽の道を諦めたわけではない。音楽は趣味として続け、貯めたお金でライブハウスを経営するという夢がある。
「そうだよ。オレは会社の決めたマンションに住むだけで、ただの偶然。いつ転勤になるかわかんねーしさ」
そういいながら、密かに嬉しそうな一斗、大成であった。
「一斗、オヤジさんなんて言っていたんだ? 自分の知識で戦いたいなんて、建築戦隊全面否定ぽくない? しかも勝手にマンション借りているしさ」
と大成。
「好きにしろってさ」
建築戦隊の鍵を見つめて、一斗は静かにそう言った。一度は返却した物の、再び持たされていた。
「お前ら二人とも、建築戦隊やめるんだろ? ○○区大丈夫なのか? それとも、丹羽のオヤジさんが、復活するのか?」
とリュウ。
「父は、3月末で町内会副会長の任期が終わるけれど、古民家博物館の古屋さんがいるから」
「大丈夫だ。口車も物人間も、もういないんだ。古民家さんもいけめん☆まほうしょうねんもいるからさ」
「へー。あの富川駅前の古民家博物館もそうなんか。そういや増員したんだもんな」
○○区に残る建築戦隊は古民家博物館のみ。他はそれぞれの道を進む事になった。
一斗は3月末で退職。年度末はとても忙しい会社だから、12月の今から有給消化していく。4月からは働きながら学生となる。親の決めた人生ではなく、自分の決めた人生を生きていく。
v(^^)
後編はすぐにアップします。




