第9文節 大人へなれなかった少年Aへの哄笑と短い献歌
いやもう一週間も前に発売してたんですね(2015/6/19現在)
知らなかった
しかも結構売れているそうじゃないですか
存外物好きが多いですね
一人の昔の殺人鬼より
十人、無理も押せば道理も引っ込むと思っている奴がいるほうが怖い
なぜなら他の事柄でも無理を通せば道理が引っ込むかもしれないと考えるからだ
そうして百件に一件、いや千件に一件無理を通すだろう
他の全てを犠牲にして無理を通し道の理を殺すだろう
一人の時代遅れの殺人鬼より
十人、その今の殺人鬼の境遇を羨むと口にする人間がいる方が怖い
なぜなら羨みは周囲に伝播するからだ
放っておけばいずれ百人が殺人鬼の境遇を羨むようになり千人がなり、その中の一人の馬鹿は実際に殺人を犯すだろう
あの少年殺人鬼は顔を変え、名前も変えて親を捨て、矯正施設での全ての時間を無為に過ごし、成長することも変わることもなく出所し監視付きのまま惨めに生きて、その果てに過去の自分の幻影に縋るしかない哀れな存在だ
決着は遺族が付けるだろう
だからわれわれがすることは何もない
出版社を叩くのも筋違いだ
出版社を叩く理由が一つあるとすれば抽象的なタイトルを許し、本の内容をごまかしたその不誠実さにある
それを許せないなら叩くがいいだろう
読んでいただきありがとうございました