Prologue ¶ 歌声に誘われて
皆さん、こんな童話を知ってますか・・・・?
昔、ある国に一人のお姫様がいました。
その姫は、「悪意の姫」と言われている、とてもとても意地悪な姫で皆に恨まれています。
常に姫は傲慢な態度をとっていて、偉そうにしていました。
ですが、姫は一人の召使を殺してしまいます。
殺した理由が 「跪くことを知らないから」
そんな理由で、殺された召使。
彼の魂は「死にたくない」という言葉で溢れていたので、天国にも地獄にもいけず・・・・・・・。
なので、人間界にいって、姫に仕返しをすることにしました。
だが――――。
姫は突如消えてしまいました。
国中を探しても姫は結局見つからず、姫のいとこが新しい姫となりました。
皆は気づかなかったのですが、召使は知っていたのです。
姫の部屋に近づき、殺そうとした刹那
歌が聞こえた、ということに。。
『闇に溺れる者は暗闇に囚われる
真実に気づかなければ、死への彷徨いを
赤いお城と森のパーティ、白いお城と猫の住処。
不思議な世界に囚われる
傲慢な貴方には相応しい世界
優しい貴方にはWonderland♪』
まるでメルヘンな国の歌によくありそうな歌詞。
そして、歌詞には「不思議の国」というコトバ。
ああ、そうだ。
皆さん。姫の居場所はどこか知っていますか?
私は多分、ここだと思うんですよ。
「歌の国」だと・・・・・ね。
~ Prologue ~
突然だが、ある高校の校舎裏には、放課後に殴る音や蹴る音がするという噂がある。
しかし、それは噂ではない。
本当なのかを確かめにいったとしても、誰もいないはずだ。
屋上からも木で見えない位置にあるし、音の聞こえるところへ行ってもそれは特別な機械から出している「ダミー」だから。
・・・でも、何故知ってるかって?
―――無論それは、簡単なこと。殴られたりしているのは私だからである。
「ねぇ、このブスどうするの?っていうか~、毎回バレないようにするの大変だよねー」
「このまま放置しちゃえばいいんじゃないの。千草、それがスリルだっていうんだよ?」
「菫、あたしはそれよりも、もっといじめちゃうっていうのがいいんだけどな~。」
うっすらと空が暗く見える。
私、神垣ありす(17)の目の前には制服を着ている三人のお洒落な女達。
この三人の内、二人は私の同級生で、ポニーテールの子が千草、ツインテールの目の大きい子が菫。後のかなり普通・・・・の人は琉美というらしい。
で、私はこの三人にいじめられている。
彼女らにいじめられた子は皆、十人中十人が「ブス」と言う顔立ちor性格の子、といわれる。
私は皆と違い、動きが鈍いし空気も読めない。しかも、私の顔立ちは中の下より悪いであろう。
―――残念ながら私は運悪く彼女達のターゲットになった。
高一の時は彼女たちとは関係もなくて話したことも無かった。彼女たちとはクラスが違ったのだ。
でも、イジメっ子ということだけは違うクラスでも知っていた。同じクラスでなくて今ではほっとしすぎたと思う。
関係ないまま、平穏に・・・。いや、いじめというコトバすら忘れかけるくらいの平穏さで一年がすぎ、高二になれたのであろう。
が、高二の春、同じクラスになった。
それからは一週間に三回校舎裏に呼ばれ、来なければ強請られ・・・・。
少し前にはカミソリの入った自分の靴を見たこともある。
相談しようとして先生に何か話そうとしたら、即睨まれ硬直。
その後、じっくりじっくりと殴られたり蹴られたり踏まれたり・・・・。
まぁ、そんなのを繰り返しているうちに慣れてしまい最初のころには感じた痛みすら感じなくなった。
体が痛みに慣れてしまったのであろう。
リストカットしたりしたら、多分
「痛くない!おもしろ~い」
といってハマってしまうと一瞬思った自分は既におかしいのか?
「あれ?もう千草帰らないと塾はじまるかもよ?」
「やっばぁーい!!それじゃ、今日は解散ね~。」
そんなことを思っていたら、気づけば一人ぼっちになっていた。
いつの間に帰ったのか・・・・・。考えてもまったく思いつかないし、まず足音なんてしたのかすらも分からない。
「さて、帰るかな・・・。と思ったのはいいけどなんでこんなに木が森のようにたくさんあるんだろうか。
これは校長の策略か?」
この高校は、校舎裏を森にしている。なんでも、「緑を増やし、マイナスイオン(?)を出して健康に」の会に校長が入ってるらしい。
半分諦めながら、とぼとぼと私は歩き始めた。もう周りはほぼ真っ暗。
もしかしたら気づくかも・・・・
などとぼんやり考えていたら、いきなり歌声が耳元で歌われているかのように聞こえてきた。
「!?・・・・なにこの歌声。不思議な音色・・・・・・。」
『闇に溺れる者は暗闇に囚われる
真実に気づかなければ、死への彷徨いを
赤いお城と森のパーティ、白いお城と猫の住処。
不思議な世界に囚われる
傲慢な貴方には相応しい世界
優しい貴方にはWonderland♪』
低い声だから、男が歌っていると思った。でも私みたいに高いけどガラガラ声ではなく、低くて綺麗な声だったので、歌手だったらファンになってしまうくらいの美しさ。
・・・・・そして時はどんどん過ぎていって、(といっても約一分ほどだが長く感じていただけ)Wonderlandと誰かが歌い終わったとき、神垣ありすの姿はすうっと空気のように消えていった。
―――ある 童話 のように。




