正夢
俺はフカフカなベッドの上で微睡んでいた。
隣には俺の可愛い女がいる。
いつものようにちょっとした悪戯で胸を揉む。
「ん、んん」
まだ寝ながらでも可愛い声で反応する。
なんて可愛い娘だ。
いつものように寝顔に口付けをしようと彼女をこちらに向けた。
「まいどぉ」
え、え、え、恵比寿ぅぅぅ!
俺はガバッと起き上がった。
夢かぁ…そうだよな俺に彼女なんて居ないもんな。
…ん?
何気なく置いた手に柔らかい感触が伝わる。
サイズ的に小さめの肉まんくらい?
あれ?
まさかな…
ベッドに備え付けてあるライトをつけた。
「まいどぉ」
「え、え、え、恵比…んーんんーー」
「大声出したらあかんて、思わず首をサックリやってもうてまうがな、声出さんといて、ええな!」
俺は口を塞がれたまま、もの凄い速さでコクコクコクと上下に動かす。
「な、なんでここに居るんだよ!」
小声で恵比寿に抗議した。
「あんさんとお話ししたくてな」
「こんな夜中に?」
「いやー全然朝で構わんかったから、隣で寝てたんやけど」
「隣でって…もしかして恵比寿って女の子?」
「せやけど内緒やで」
「いや、普通にばれるだろう」
「そうでも無いで、ほら」
突然目の前の女の子が誰だかわからなくなった。
「認識阻害のスキルや日頃はこれ欠けてるから恵比寿ってバレへんねん」
「そんな貴重な情報俺に教えていいの?」
「頼み事があるから、これくらいはサービスや」
「…頼み事?」
「せやねん、あのな…」
「待った!それ聞いたら後戻り出来ない奴じゃ無いの?」
「そんな事ないで全然断っていいで、その代わり口封じはするけど」
「いや、それ断れない奴!ダメだからね!聞かないからね!」
「分かった!それでな、頼み事なんやけど」
「ストップ!ストップ!聞かないって!」
「ダメなん?」
あれ?恵比寿ってこんなに可愛かったっけ?
「ダメだよ、絶対断れないやつじゃん」
「しゃーないな、じゃあウチの身の上話だけ聞いてほしい、それくらいはええやろ?」
「う、うん」
「ウチのクラスって勇者より珍しいやん?
しかもな、これって下位職やねん。
スキルも色々てんこ盛りでな、1対1の対人戦なら負ける事あらへんねん。
やから、あんさんに上手いことやられた時マジでブチギレたわぁ」
「え?愚痴?」
「ごめんごめん、脱線したわ。
でな、ウチのクラスが分かってからすぐにな、パパとママが誰かに殺されたねん。
そのせいでウチは協会の施設に引き取られてな、そこから学校行ったり探索者の仕事したりしとったねんな。
色々充実した設備と指導でレベルもバンバン上がってな、地位も名誉もお金も思うままくらいになったんや。
でもな、ウチはそんな事よりパパやママ殺した相手に復讐する事だけ考えておってな、最近誰が殺したか分かったねん」
あれ?ヤバい流れじゃね?
「待った!」
「実行犯は白銀の勇者、指示したのは須賀や」
あぁぁぁ、聞いちゃったよ、全然話やめてくれないもんなぁ。
「聞いてない、俺は何も聞いてない!」
恵比寿がニィッて笑った。
「無理やで、手伝ってくれるな?」
「いや、俺たちってこれから白銀の勇者の庇護下に入るわけで」
「手伝ってくれるな?」
「須賀さんって協会の東日本で1番偉い人だし」
「手伝って…くれるやんな?」
だから、その笑顔怖いって!
「…はい」
「ありがとう、そう言ってくれると思ってた!」
そう言うと恵比寿は抱きついてキスをしてきた。
…恵比寿の手伝いも悪くないかな。




