試練の洞窟 1
試練の洞窟は浅草寺の中に現れたダンジョンだ。
そこのお堂がダンジョン化されてしまっている。
「ちょっとお前たちはここで待ってな」
そう言うと、俺っ子アマゾネスが1人で先にお堂に入って行く。
「どうしたんですか?」
ショートボブアマゾネスに聞いてみたがニコニコして何も答えてくれない。
しばらくすると俺の携帯が鳴った。
「はい」
「おう、もう入って良いぞ」
いつのまに登録したんだ?
個人情報の保護とかって法律なんか無かったか?
怖いから何も言わないけど。
お堂に中に入ると、そこは…
…
…
…
死屍累々。
もうこの言葉以外おもいつかない。
探索者がそこら中に転がっていた。
全員何処かしら怪我をしていて呻いている。
誰がやったかは、そこに仁王立ちしてる人は1人しか居ないからすぐ分かったんだけど…。
俺っ子アマゾネス改めて、おれ鬼って心の中で呼ぼう。
そして、決して逆らわないって心に誓おう。
うん、絶対勝てない。
「探索者同士の乱闘ってダメじゃ無かったでしたっけ?」
「あー、今回は俺ら、鎮圧許可証発行してもらってるからな!お前といる間は何しても大丈夫だ」
「何してもじゃありません、暴徒化する可能性がある者、こちらの勧告に応じない者に対して、不測な事態回避のための緊急措置が認められているだけです」
おれ鬼の無茶苦茶な論理にショートボブアマゾネスから訂正が入った。
双子なんだから、呼び方変えようかな。
共通してる方が双子っぽいもんな。
ニコ鬼って呼ぼう。
いや、訂正、ここの中だけで呼ぼう。
「えーっと、この被害者的な人たちは、その緊急措置的な何かでこうなったって事ですか?」
「こいつら皆んなお前らの勧誘に来てた奴らだな、帰れって言っても帰らないから、とりあえず動けなくした。
めんどくさいから全員殺そうかなって思ったんだけど、流石にこの許可証じゃダメらしいからな」
「この人にマーダーライセンス渡したら、日本から探索者が消えるな」
「なんだってぇ!お前らの為にやってんだろうがぁ!」
しまったー!心の声が口に出てたぁ!
「すいません!すいません!ありがとうございます!」
直角90度で最敬礼で感謝の念を伝える。
実際俺がどう思ってるかは、この際心の棚にしまっておこう。
「わかれば良いんだよ、分かれば」
「はい!いつも感謝の心を忘れずに!」
鬼の牙が俺に向かないように!
心の声が漏れないように!
「じゃあ、行くぞ」
「え!あれ放っておいて良いんですか?」
「ん?協会の奴らがなんとかするだろう、調子乗りやがって!ダンジョンの中で見かけたら始末してやる!」
おれ鬼がわざとに聞こえる方に大声でそう吠えた。
こっわ、こっわ、絶対あいつらこの辺のダンジョン入れないわ。
万が一見つかったら人生終わりって、ヤバすぎるもんな。
「バカどもが姉さん挑発したのね…いきなり手を出してくる事ないって思ってたんでしょうね」
「普通は探索者同士の乱闘は訓練所でってなるでしょうし」
「うちがSランクじゃない理由知ってる?」
「いえ、知らないです」
「上がれるだけの実績詰んでも、姉さんの暴走で全部無かったことになるからよ。
あの人は許可証なくても挑発されたり、喧嘩売られたら、普通に手が出るわよ」
「それて注意とかしないんですか?」
「姉さんが手を出さなかったら私が出すからね」
とても良い笑顔でこう答えてくれた。
ここにも鬼がいるよ。
決してこの人たちには逆らうまい、そう心に誓って試練の洞窟を降りて行った。




