話し合い
翌日、探索前にみんなにウサギ小屋に集まって貰った。
ここが集まりやすいってのもあるけど、お姉さんも相談に乗ってもらいたいという俺の思いも少しある。
みんなが集まったところで、前日の支部長との話し合いの内容を全て話しどうするか相談することにした。
「と、いうわけなんだけど、この話受けた方が良いのかな?」
ゴブゴブさんが真っ先に返答してくれる。
良い具合に俺の話を補完してくれるのでありがたい。
「悪い話では無いですね、試練の洞窟に挑むにはBランクにならないといけない訳ですが、条件が厳しいのは勿論ですが、条件をクリアーしても協会の審査を通るとは限らないですし、通っても認可されるのに数年待たされる時もありますから」
「そんなに待たされるの!」
「ええ、協会貢献度という審査基準がありまして、これが具体的な基準内容は明かされていないのです。
言い方悪いですが、協会の上の人間が気に入らなければB以上にはなれないと言われています。
もちろん、協会も風評を気にするので、今のこのパーティーであれば、聖女がいるとか、テイマーの発展に貢献したとかあるので、問題は無いと思いますが…」
「思いますが?」
「この話を断ったことを理由に申請が通らない可能性は無いとは言えない感じですね」
うわぁ、ざ大人の世界って感じだな。
「あのぉ、その話を受けたら俺は一緒について行って良いんすか?」
たかしが弱気な声で質問んしてきた。
「当たり前だろ、その装備にいくらかかってると思ってるんだよ!
その代金回収するまで、逃さないからな!」
「あ!そっすよね!これの代金払わないとならないっすもんね」
なんか嬉しそうだな。
「この話受けた時のメリットデメリットってどんな感じですか?」
遥香ちゃんが端的に質問してきた。
「んーっと…」
具体的に言われると、メリットはなんとなく分かるけどデメリットってなんだろ?
思わず、お姉さんの方を見つめてしまう。
それに気づいたお姉さんが
「私は協会側の人間だからね、それを踏まえた上で聞いてちょうだい。
ゴブゴブさんは探索歴長いって言っても配信メインだったし、他の子も最近始めた子ばっかりだから、あんまり分かってないみたいだけど、ノバの巻き戻しって最前線の探索者にとっては、どうしても手に入れたい唯一無二のスキルなのよ。
この世界のダンジョンが出来てから、未だに死者を蘇生できるスキルは発見されてないわ、それを可能としているスキルなのよ。
今はあのスキルはテイムされたモンスターにしか効かないって情報操作しているけど、違うんでしょ?」
「あ、はい、良く知ってますね。」
お姉さんが呆れた顔してる気がするけど、気のせい。
「あのスキルの価値を理解して無さすぎ…。
あなた、支部長が巻き戻しに勇者が興味あるって言った時に、1週間クールタイムあるって言ったわよね、モンスターにしか効かないなら勇者相手じゃ使えないですよって言うはずよね?」
「あー確かに!」
実際使えるしなぁ。
「あれで確信したのよ、主にあなたがこのスキルを隠そうとしてないって事と重要性を分かって無いってね」
「えーっとマズいですか?」
「あなた方に力があれば問題無いけどね、誰だって生き返るって保険は欲しいでしょ?
それを持ってる人間が仲間になれば良いけど、ならないなら力ずくでって人は絶対出てくるわ」
「言われてみれば」
「今の実力考えれば、遅かれ早かれどこかの傘下に入って庇護を受けないと冗談抜きで命の危険があるわよ。
そして協会としては、話が比較的通じる実力者のもとに行って貰いたいのよ。
既に、問題児の方の勇者があなた方に目を付けてる可能性もあるし」
「もしかして、この騒動って全部俺のせい?」
「そうね、あなたがあなたのウサギのスキルの需要性を理解してなかったのが原因ね」
「待ってください!それなら私たちも分かってなかったですし!俊くんばかりのせいじゃ無いですし!」
「うん、そうだね、最年長者の私も自分のモンスターが助かったくらいの認識だったし」
「それ言うなら、動画流した俺が1番悪い…すみませんでした!」
みんなぁ、やばい泣きそう。
「メリットは庇護下に入れば安心って所ね、デメリットは白銀の勇者に恩義が生まれるって事ね。」
「恩義ですか?」
「そう、探索者はね恩義を大事にするの、恩義を蔑ろにするって噂が流れるとね周りが誰も助けてくれなくなるの。
具体的には、そうね、あなた方が助けたパーティ、あそこはあなた方に恩義が生まれたわ。
これであなた方を不利益にするような事したら、ダンジョンで困っても誰も助けてくれない。
そしてね、そういう人たちになら何をしても良いって思う奴らもいるのよ。
ダンジョン内でモンスターじゃなくて人間の集団に襲い掛かられるかもね」
こっわ、人間こっわ。
「でも、それって俺たちが白銀の勇者達を裏切らなければ大丈夫なんですよね?」
「そうね、他から勧誘あってもホイホイ付いていくようなマネをしなければ大丈夫よ」
「じゃあ、問題ないですね。
なんか、このままだと怖い人集まって来そうだから、話受ける方向でお願いします」
そう決めた俺たちは少しでも実力を上げておくべく、トロッコダンジョンを攻略してしまう事にした。




