信号機 4
うーん、戦局があまり良くない。
爆弾だけで片脚を破壊しきれなかった。
耐久力が高いモンスターはHPだけじゃ無く、物理防御も高い。
そして、ゴーレムは状態異常にならないしデバフも一部は無効にする。
そのせいで反対側の物理攻撃メンバーも脚を破壊できていなかった。
「困ったね」
動きは鈍重で命中率も高くないので、そこまで不利って感じではないが、手詰まり感はある。
「効くか分かりませんけど、コレ使ってみます?」
遥香ちゃんが濃い緑色の怪しい薬品を取り出す。
「これは?」
「腐食剤です。
薬品の製作に失敗した時に出る廃棄物をそのまま捨てるのも勿体なくて、再加工して作ったのですけど、使い所がなかなか無くて」
「そうなんだ、じゃあ試しに使ってみようか?」
腐食剤はその名の通りモンスターの表面を腐食させて防御力を低下させる薬品だ。
便利なんだけど、欠点は時間がかかる。
使用後1分で防御力が1割程度低下する。
そして効果が減衰するので、2割低下するのには3分ほどかかる。
3割下げるには、6、7分かかる。
その頃には大体戦闘が終わっている。
使用量も1本で1割程度しか下がらないので、3割下げるには3本必要になる。
ましてやこういう大きなモンスターだと、一部分しか下がらないので更に必要量が多くなる。
なので、腐食剤の量も相当量必要なため、あまり効率良いアイテムとはいえない。
「多いなぁ!」
「あ、なんか勿体無くて捨てられなくて」
「何本くらいあるの?」
「えっと、200本以上はあると思います」
「え、あ、はい。
…よし!気を取り直して、爆弾組みは手が空いてるから、ジャンジャン運んでドンドン使おう」
健二のモンスターにも指示を出してもらう。
10分後
いやぁ、腐食剤って強力だね!
200本使ったらの話だけどね!
ジャンジャンかけていたら、効果が出るまでの時間も早くなるし、最終的には8割程度防御力が落ちてた。
費用対効果何それ美味しいって状態だったけどね!
1体倒すのに200本使ってたらそのうち破産するよね。
無事ボスも倒せた。
なんと、ドロップ品が大量の魔石だった。
一般のゴーレムサイズの魔石が、2、30個あるんじゃないかな。
ボスゴーレムの魔石も別でちゃんと出てる。
宝箱もドロップしてるので、早速開ける。
黒い金属製の腕輪だった。
「はい、これどうぞ」
遥香ちゃんが鑑定ルーペを渡してくれる。
絆の腕輪
パーティ枠を増やす。
戦闘職2名、一般職2名
なんかパーティ枠増えたけどなぁ、一般職1つで充分だったんだけどなぁ。
「あのう、これってサファリダンジョンでテイムした人たちが団体で行動する為のアイテムじゃないでしょうか?
1番ポーターが必要になるクラスってテイマーですし」
さすが遥香ちゃん鋭い。
「なるほど、テイマー同士でパーティ組んで物量作戦出来るのか、でも今はまだ四神集めきってる人居ないしなぁ」
「え、いや、1人だけいますよね」
「ん?あー!ゴブゴブさん!」
「はい!」
「あのう、僕もテイムしたいモンスターいましてぇ」
健二がおずおずと横から手を挙げる。
「あ、そうなの?
遠慮しないで言えば良かったのに」
「え、いや、無理言ってパーティに加わってるのに、パーティの人数枠埋めるのどうかなって思ってたんです」
「あ、そうなんだ、気にしなくても良かったのに。
それで、何テイムしたいの?」
「それがそのぉ、スマイルスライムでして」
「うわぁ、また難しい相手を…」
スマイルスライム、バフと回復が得意というちょっと変わったスライムだ。
スライムダンジョンと言われる、スライムばっかり出てくるGランクダンジョンの最下層の20階でたまに見つかる。
何がめんどくさいって、めちゃくちゃ逃げ足が早い。
「やっぱりダメですよね…面倒かけてしまいますし…」
「あ、いや、待って。
回復とバフは居ると有り難いし、ゴブゴブさんも意外に話に乗ってくるんじゃ無いかな?
一回連絡とってみよう。
ゴブゴブさんが乗り気じゃなかったら、このメンバーで行っても良いし、面白そうだから行ってみよう!」
「あ、ありがとうございます!」
「あ、それでしたら、従姉妹のお姉ちゃん呼んでも良いですか?
一般職のマッパーなんですけど、最近パーティが解散したらしく、暇そうなんで。
絶対役に立つと思うんです!」
「うん、良いんじゃ無いかな、報酬はどうするかは任せるよ」
麒麟テイムに仕事の2回目以降の報酬は手付かずだから、まだ、資金的には余裕ある。
それにここのダンジョンの報告でもまた報酬出るだろうしね。
「あにきー、俺んとこの妹も連れて来ていいっすかぁ?」
「妹?え?たかしより年下の子?」
「はい、いっこ下です。
なんか、聖女?とったらしいんですけど、変な奴らからいっぱい勧誘来てるらしくて、泣きつかれて困ってるんっす。
今日、相談しようって思ってたところで」
待て待て待て、情報が多すぎる!
「えっと、最初に確認したいんだけど、たかしって何歳?」
「17っすよ」
「えー!えー!えー!年上なの?」
「あ、そうなんっすか?大丈夫っす俺そういうのは気にしないんで!」
いや、気にしろよ!
「それと聖女?めっちゃ勝ち組クラスじゃん!勇者とかのパーティから勧誘くるでしょ!」
「あー、その勇者がなんかいけすかない奴らしくて、ストーカーみたいでキモいって言ってて」
「えー、それうちのパーティに来たら、勇者に目付けられるんじゃない?」
「あ、あと、ウサギの動画見てめっちゃ可愛いって、一緒に冒険したいって言ってて」
おい、聞けよ、俺の話。
「パーティに迎えましょう!ウサギ好きは正義です!」
遥香ちゃんまで…。
「あー分かった分かった。
その代わり、なんか絡まれたらお前がなんとかしろよ?」
「あっはい!兄貴なんでそのつもりでした」
「じゃあ、次のスライムダンジョンから合流ね」
「よろしくお願いっす!」
急に大所帯になったなぁ。




