探索
「思ったより早かったねl
「42匹、斧9本、棍棒17本、牙7本、肉1個でした」
魔石を42個俺に渡しながら遥香ちゃんが報告してくれた。
「どうしよ?もう5階行っちゃおうか?」
「そうですねぇ、なんかなんとかなりそうですよね」
「お、おい、ちょっと待て!行くなら絶対芋とってくんなよ!」
「ん?なんかあるの?呪われた芋とか?毒の芋とか?」
「そんなんじゃねぇよ!ここの芋は4階が最高品質って事になってるんだよ、5階に芋はない事になってる」
「え?何?ブランド守るため5階に芋は無かったって事にしてんの?」
「ま、まぁ、ある意味そういう部分もある」
「いや、そういう部分しかないだろ」
「でもなぁ、皆んな家族だっているし、生きていかなきゃならないんだし、仕方ねぇだろ!」
「知らんがなって思ったけど、別に俺たちにはどうでも良い事だから芋掘らなきゃ良いんでしょ?別に掘ろうと思ってないから構わないよ」
このダンジョン芋中心すぎない?
大丈夫か?
「じゃあ、このまま5階行きますか」
遥香ちゃんも乗り気だし、行っちゃおうかな。
「あ、あ、あ、ちょっと待て、今リーダーに連絡するから!」
そう言うと、たかしはレシーバーを取り出した。
あ、あれ、ダンジョン用のレシーバーだ、高いんだよなぁ。
あんなのを普通にこんな下っ端ぽい奴に持たせるくらいだから、相当儲かってるんだろうな。
「はい、はい、はい、あ、でも、はい、はい…分かりました。
ついて行けってよ」
レシーバーを切りながらこちらにそう言ってきた。
「うわぁ、めんどいー、お前守るとか労力かけたく無いー」
「し、仕方ねぇだろ!見張れって言うんだから
あ、あのぉ、それでなんだけど、俺も攻撃に参加しちゃダメかな?」
「はぁぁぁ?お前人数制限知ってるだろ?」
テイマーが敬遠される最大の理由である、パーティの参加人数制限。
ダンジョンでは6人までは特に何も問題なく経験値が入る。
しかし、7人目が参加した途端経験値の量が減る。
だいたい20%ほど減る。
なので11人パーティだと何処でどんなに倒しても経験値は入らない。
厄介な事にこの制限にテイマーのモンスターはカウントされてしまう。
しかもテイムモンスターはどれか1匹でも戦闘に参加するとそこにいる全員分がカウントされてしまう。
今の時点で、テイムモンスター4体、自分、遥香ちゃんでギリギリなのに、こいつが加わると20%経験値が落ちてしまう。
「知ってるんだけど、あの、俺、魔法戦士なんだ」
おいおいおい、クラスチェンジ出来ない超当たりクラスじゃねぇか!
「お前、何それ自慢?」
「あ、違うんだ、これ!これ見てくれ!」
そう言うと、腰にあるポシェット的なやつからクシャクシャになった自分のステータス表を見せてきた。
岩動隆 レベル20
クラス: マジックファイター
強さ 46 物理的攻撃力
器用 30命中率
素早さ22 回避率、移動速度
知性 21 魔法的攻撃力
耐久力32 HP基準値
賢さ 48 MP基準値
HP 32
MP 48
スキル 剣魔操作
魔力弾
剣技
火魔法Ⅰ
レベルアップ上昇値 各1、固定上昇値 強さ1 賢さ1、任意上昇値1
「ステータスしょっぼ」
「分かってるよ!俺の元々のステータスが低い上に上昇値が最低なんだよ。
俺も最初はレアなクラスだから喜んだんだけど、元々頭悪いから魔法の威力が低すぎて使い物になんねぇ。
だから戦士のつもりでステータスも器用と耐久力に振ったんだけど、戦士のスキル1個も覚えねぇし。
他の奴らに全然ついて行けないから、レベルも全然上がらなくなっちまったし」
「火魔法使って寄生すりゃ良いじゃん、1発当たれば経験値は入るんだから」
「お前も分かってるだろうが、ここは身内でガッチリ固めたグループが縄張り決めて芋掘りしてる。
そんな場所で、寄生なんてしてみろ速攻で噂回って詰むから。
そんな事するなら黙って芋掘りしてろってなるから」
「でもお前割と実力者って感じで動いてたじゃん」
「俺が魔法戦士なのはみんな知ってるからな、今まではハッタリや雰囲気で誤魔化してきたけど、もう限界近いんだ。
頼む!レベル上げてなんかスキル取らさせてくれ!
俺ができる事ならなんでもするから!」
いきなり土下座してきた!
「お前必死だな」
「…」
俺はハァァァっとデカいため息をつく。
「遥香ちゃん経験値減っても良い?」
「…私も寄生させて貰ってる立場ですし、ポーターがお仕事ですから」
若干気まずそうな笑顔を見せる。
可愛い子って何しても可愛いな。
「分かったよ、お前のペースには合わせないからな!
MP尽きても知らんし回復も自分でなんとかしろよ!」
「あ、あぁ、ポーション持ってきてるから、それ使うから!
すまん!恩にきる!一生感謝する!」