考察
「うーん、今回の進化先も新種なんだけど…うーん」
お姉さんがPCの画面を見ながら唸っている。
「なんかあったのですか?」
「あれから私も色々調べたのよね。
まずはネームドなんだけど、ネームドしたからって進化先が増えるって現象は今までなかったの。
ボスモンスターだからって可能性もあるんだけど、それよりもクラス特性って考えた方がしっくり来るんだよね。
それと、『特殊進化が開放されます。』ってアナウンスも気になる。
『特殊進化先が選択できます』が一般的なアナウンスなのよね。
『テイムモンスターの進化の可能性の拡張』も特殊進化と一緒に考えていたんだけど、それにしては遠回しな表現よね。
『現在テイムしているモンスターの進化先が変更になりました』も増えたとか追加したとかじゃない。
変わったって表現なのよね。
特殊進化が開放って、普通に特殊なモンスターに進化出来るって思ってたけど…これって『特殊進化』が開放されたんじゃないかな。
進化の可能性の拡張も単純に特殊進化先が増えるんじゃなくて、『特殊進化』が強化されているって考えた方がいい気がするの。
だから、増えたり追加したりじゃなくて、変更されているんじゃないかな?」
「えーっと、つまりはどういう事ですか?」
「あなたが連れている特殊進化したモンスターは、既存のモンスターじゃなくてあなたが作り出したユニークモンスターって事よ」
「おお!で、ユニークモンスターってなんですか?」
「ん、もう!この世界に1体しか居ないあなた専用のモンスターって事よ!
それで、この仮説がある程度当たっているなら、この新種のモンスター達はあなたの知識や潜在的なものを活用しているはずなの。
なんか心当たり無い?」
「…無い…事もない」
主にオタク方面で
「あなたの知識などが活用されているなら、あなたが見聞を広げれば広げるほど強いモンスターに進化する可能性があるんだから、今からでも良いからとにかくいっぱい知識を詰め込んで」
「でも、ラビットマスターって最弱なクラスなんでしょ?」
「それなんだけど、先代のラビットマスターが弱かったのって常識人だったかもしれないわ」
「やだなぁ、俺が非常識みたいじゃないですか」
「常識あるならボスモンスターテイムしたりしないわ。
そうしたら最初はホーンレスラビットをテイムしてるはず。
それに常識が邪魔をして、ウサギが強くなる事を阻害したのかも。
一般的な動物としてのウサギしか知らなかった可能性もあるし」
「あーじゃあ最初に失敗したのが実は運が良かったパターンですね。
あとはダメ元でとりあえずでもやってみたのが良かったと。
俺グッジョブ!」
「まぁ、結果的にはそういう事ね」
「ところでこの先って俺はどうすれば良いでしょう?」
「うーん、今レベル幾つ?」
「26です」
「良くそこまで上げたわね、どちらにしろここで上げるのは限界だから、近場で行けそうな所探して置いてあげるわ。
それで31になったら、ここの10階のボスモンスターテイムすると良いと思うわ」
「じゃあそうします」
「…もう少し考えてから結論出した方が良くない?」
「考えても結論出ない事に時間かけるの無駄なんで」
「潔いのか、何も考えてないのか、まぁ、あなたがそれで良いならそれで良いけど…」
「じゃあ今日は進化させて帰ります!」
「ちょっと待って!そのまま帰るつもり?」
「はい」
「その子そのまま連れて帰るの?」
お姉さんの指の先にはボーパルバニーがいた。
サイズは1mくらいだけど、目つきの悪い二足歩行のウサギはちょっとインパクト強いかも。
「もう!はいこれ!」
お姉さんがコロコロのついた黒いキャリーバッグらしき物を渡してくれた。
「???」
「テイムモンスター用のキャリーケースよ、知らないの?」
コクンと頷く。
「今までは小さいし見た目もウサギと変わらないからポケットや懐に入れてたら問題無かっただろうけど、その子連れて行くんだったら騒ぎになりたくないなら、これ使いなさい」
「ありがとうございます!」
「バッグ買っちゃったし、私も少しは気にしてるのよ」
ちょっと照れてるような仕草に思わず吹き出してしまった。
「また相談に来ますね!」
とりあえず、今日は帰宅しよう
リッツ レベル1
スマイルプリティラビット ランク3
強さ 55 物理的攻撃力
器用 51 命中率
素早さ56 回避率、移動速度
知性 53 魔法的攻撃力
耐久力57 HP基準値
賢さ 53 MP基準値
HP 57
MP 53
スキル ラビットダッシュ
体当たり
身を守る
膨む
スマイル
鳴く