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同期

夜、天津は、警察の同期に呼ばれて少し酒を飲んでいた。

同期と言っても、2002年に一緒に警察学校に入った学校の同期ではない。

天津は実は、2度も機動隊の経験があった。

隊員と分隊長である。

呼ばれたのは、機動隊の隊員の時の同期であった。

同期は5人いる。


天津以外は、誰も警察官を辞めていなかった。

それでも辞めてしまった天津を呼んでくれるあたりが機動隊の同期である。

機動隊の隊員として1年目を過ごす時、彼ら彼女らは、新隊員と呼ばれ、簡単に言えば奴隷である。

自衛隊も同じようだと聞く。

ただこれは一生で一度しかないことなので、貴重な経験である。

とにかく走らされ、特に盾を持って走らされる。

しんどかった。

でも、その時の同期は、同じ辛さを協力して乗り越えるので、基本的にはとても仲良くなる。


「天津ー、仕事はどうなのさ」

1つ年上だった加賀が聞いてきた。

「ぼちぼちだよ。色々な事案が舞い込んでくるよ」

「もったいないよ、辞めなくても良かったのに」

一番年下だった井口も入ってくる。

今では順調に昇任しているようだ。

天津「うん。加賀町の生安(生活安全課)に誰か知っている人いる?」

玉田が答える。

「おれ加賀町にいたから、少し分かるよ」

「そうしたら週明けにでも、1人相談者を連れて行きたいな」

「行く前に言って。連絡入れてみるよ」

「ありがとう」

警察官の普段の話と言えば、どこ署の誰々がどうしたこうした。

と言うのが本当に多いが、こういう時は本当に助かるよ。

依頼者のことが頭から離れなかったので、天津は先に切り上げさせてもらった。

同期なので、気兼ねがない。


ほんの少しだけ酔いながら、関内駅から事務所ではなく、自宅に向かって歩いた。

(この街は事件が多すぎるよ)

とぼんやり考えながら、築何年かも分からないような雑居ビルに入り、階段を上り、

ドアを開けた。

もちろん、酒を飲んでいても尾行には気をつけた。

幸い私に興味を持っている者はいなかった。

ボロボロのビルの一室にある我が家には、今日も誰も待ってはいなかったが、相変わらず外はうるさく、寂しくはなかった。

天津はここが気に入っていた。

我が家である。


DV事件の今後の対策を考えていると、猫探しの疲れからか、大した時間もかからず、天津の今日は終わった。


また明日。

おやすみなさい。


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