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第一話

浜田さんから真実を告げられてから数年経った。その間色々あった。

例えば、松野さんという看護婦が居るのだが、この人は凄かった。何故なら、元男の私に

「今はもう女の子なんだから!」

と、女性としての勉強をさせた。下着の着け方から化粧の仕方、いざという時の必殺技など、色々な知識と技術を叩き込まれた。つまり、松野さんは女としての師匠と言っても過言ではない。まあ、本人からは

「姉さんって呼んで!」と言われているが。

次に、海外の病院での精密な検査の為、飛行機に乗ってアメリカへ向かった。あれは怖い。通訳が出来る人が一緒とはいえ結局自分以外外人。日本人は一切居なかった。だからなのか、それとも貴重な存在だからか、色々と優しくしてくれた。

通訳担当のトムさんは、気さくな性格で、面白い話を沢山聞かせてくれた。英語も少し教えてくれた。担当医のマリアさんは、名前の通り聖母マリアのような人だった。検査の時に緊張していたら、優しい笑顔で頭を撫でてくれた。この二人は、他の外人さんと同じような態度ではなかった。奇妙な物を見るような視線(実際奇妙なのだが)を向けず、一人の人間として扱ってくれた。それは本当に嬉しかった。

この二人と松野さんとは友好的関係を保っている。

次はマスコミの話だ。私の性転換が人類の進化だと言う人も居れば、神の仕業だと言う人も居て、宇宙人が実験したと言う人も居た。が、これらはまだ可愛い方だった。マスコミは、私の家族へと矛先を向けたのだ。


まず、父さんと母さん、そして徹兄さんや妹の美智に対しての嘘を流したのだ。

性転換が出来る薬を作っただの、徹兄さんと私と美智がその薬の被害者だのといったものだ。バカバカしい嘘だが、信じる者はけっこう居たらしい。らしい、というのは、その頃まだ私は海外での検査などで日本に居なくて、後から聞いたからだ。まあ、その薬騒動も結局は、材料やら資金やらはどうしたという疑問によりバレたので良かったのだが。

他にもエピソードはあるのだが、あまり話したくないのも中にはあるので、ここまでにさせて頂きたい。


さて、そろそろ美智か母さんが私を起こしに来る時間だ。次のページから私の日常を…いや、非日常を御覧いただこう。


「おねーちゃーん!起きてーー!」


元気良く私を起こしに来たのは最愛の妹、美智だ。


「ああ、今起きたよ、美智。すぐ行くから先に行っててくれ」


「わかったぁ!早く来てね!」


美智がタタタタ…と可愛らしい足音をさせながら出て行くのを見送ると、私は着替え始めた。

因みに、私の下着はシンプルなのが多い。派手な下着はあるにはあるが、着ない。いや、着られない。とてつもなく恥ずかしい。考えるだけで顔が赤くなる。世に言う勝負下着だと母さんが教えてくれたが、私は一生着ないだろう、多分。

そう思いながら制服に手を向ける。これは私が通う事になった神山学園の制服だ。男女共に黒を基調とした制服で、けっこう良いデザインで気に入った。ただ、夏は暑そうだと思う。

制服に着替え終わると、鏡の前に立つ。そして全身を可笑しい所は無いかチェックする。

しかし、我ながら凄い体だと思う。凛とした顔つきで、少し自慢の黒髪はロングのストレート。そして存在感溢れる胸、キュッとしまったくびれ、引き締まった尻。世の男なら大体は魅了出来るだろう。したくもないが。

数分後チェックし終わった私は、朝食を食べにリビングへと向かった。


リビングにはもうみんな揃っていた。


「おはよう薫!制服が良く似合ってるぞ」


そう言ってきたのは我が家の大黒柱であり私の父である剣史郎。


「薫おはよう。後で髪を結ってあげるわ」


これは母の涼子。同じ女として尊敬する人でもある。


「お姉ちゃんおはよー!」


美智とは先ほど挨拶をしたのだが、それはご愛嬌だ。

あと一人家族が居るのだが、リビングには居ないらしい。


「父さん、母さん、美智おはよう。父さん、その褒め言葉は昨日も聞いたよ」


「はっはっはっ!まあいいじゃないか!だが徹も残念だな、もう少し出るのが遅ければ薫の制服姿が見れたのにな」


「兄さんはもう行ってしまったのか?」


「ええ。でも良いじゃない、学園で会えるんだし」


「むぅ………それはそうだが………」


そう、私の敬愛する兄、徹は神山学園の教師として働いている。


「ほらほら、早くご飯食べて支度しちゃいなさい」


母さんに優しく促された私は、朝食を食べると、顔を洗って歯を磨き、鞄の中身を時間割通りに用意をし、時間まで家族と雑談をした。

そして、途中まで一緒の美智と一緒に登校するのだった。

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