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探偵の異世界生活  作者: わふ
第一部 学校生活編
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七話 オレット班の戦い方

 

「……流石、出席番号一番と言うだけあるね……」


 クロウがオレット班の試合を見てそう呟いた。

 今は一回戦の最後の試合、オレット班が勝利を収めたところだ。


「ええ、やはりオレットさんの斧さばき、見事ですわ」


 リディアの言う通り、オレットは両手斧のかなりの使い手だ。

 前衛の大盾と槍を構えた生徒の守りを軽々と崩し、吹き飛ばして後衛の生徒三人を一人で倒した。


「大盾の防御を一撃で崩すなんて、力技にも程があんだろ」


 アッシュがそう嘆く。

 戦いを見ていた他の生徒達も、ざわついている。


「まぁ、今は気にしても仕方ないよ。先ずは次の試合を勝たないとね」


 俺が三人を落ち着かせようとする。

 次は二回戦目の俺達の試合で勝てば、オレット達と戦うことになるかもしれない。

 今考えるべきは、次の試合についてだ。


「そうですわね。次のお相手は全員前衛寄りですわ」


 リディアは次に戦う班の方を見ながら、そう言った。


「槍、大剣、短剣、ハンマーか……」


 俺も対戦相手の班を見ながら、そう呟いた。


「どうする?」


 アッシュが俺に聞いてくる。


「さっきと同じ様に私が後衛で、三人が前衛で行こう。多分、接近戦が主体の戦いになると思うから、三人が敵を足止めして」


 俺はアッシュの方を向き、答えた。


「なるほどね、前線で敵を食い止めて、エリカが魔法で敵を倒すって言う算段?」


 俺の説明をクロウが補足してくれた。


「倒すってまでは無理だと思うけど、連携を掻き乱せれば位の考えかな」


 流石に、後ろから魔法を撃っているだけでは勝てないだろう。

 上手く敵の体勢を魔法で崩し、その隙に三人に倒して貰おう。


「要するに、俺達はさっきと同じ様に敵とやり合ってれば良いってことだな」


 大雑把に言えばアッシュの言った通りだ。


「うん、でも注意して。さっきは二人だったけど、今回は四人だから」


 前衛が四人に増えた分、当然前線を突破される確率が上がるが、アッシュのあの守りだったら少なくとも二人までだったら防げるだろう。

 残りの二人はリディアとクロウで相手をすればいい。

 それに万が一突破されそうになったら、俺自身が前に出ればいいだけの話だ。


「了解だ。それじゃ、援護射撃は任せたぜエリー」

「アッシュも前衛任せたよ。二人も」


 俺の言葉に二人は頷いた。


「はーい、次の試合始めますよー」


 カミラの言葉で俺達と相手の班は、一戦目と同じ定位置に着き、カミラのカウントで試合が始まった。

 試合の結果から言うと、俺達の圧勝で終わった。

 案の定、敵全員が一気に攻めてきた。

 そしてその攻撃をアッシュ一人で四人の攻撃を防ぎ、その間に俺とリディアとクロウの三人で一人ずつ倒し、最後にアッシュが残りの一人を倒した。

 何とも呆気ない戦いだった。


「あの攻撃全部を止めちゃうなんて、凄いよ、アッシュ!」


 クロウがそう歓喜をあげた。

 俺達は試合が終わった後、再び他の生徒がいる場所に戻ってきた。


「ええ、想像していた以上の強さですわ……」


 リディアはまだ呆気にとられている。

 俺もリディアに同感で、アッシュがこんなに強いとは思ってなかった。


「あんな単純な攻撃だったらな」


 アッシュはつまらなそうな顔をしてそう言った。


「ま、次はあいつらの班の試合だ。しっかり見とこうぜ。戦う時の参考になるかもしれねぇからな」


 アッシュがそう言ってる間に、オレット班とその対戦相手が定位置に着いていた。


「うーん、どうかな。今回もオレット一人しか動かないんじゃないかな?」


 俺はオレット達を見ながらそう言った。


「どういうことだ?」

「オレット達はきっと、あんまり手の内を見せたくないんだと思う。最初はオレットが、一人で好き勝手やってるだけだと思ったんだけど、他のメンバーが微動だにしないって、おかしいんだよ」


 オレットが一人で突っ込んで行っても、戦いに参加する姿勢を見せるはずだ。


「へぇ、突っ込むだけの馬鹿かと思ったが、意外に頭が回るんだな」


 アッシュはオレットを見てそう言った。


「あはは、まだ分からないけどね」


 俺は横に居たアッシュの方を向いてそう言った。


「エリカさんの言っていることは合ってると思いますわ」


 後ろに居たリディアがそう言って話し掛けてきた。


「オレットさんも中々の策士ですわ。そうじゃなかったら、Aクラスで首席の筈ないですわ」


 俺は振り返り、真剣に話すリディアの言葉を聞く。

 リディアの言葉からは憶測では無く、確信の様に聞こえた。

 それと、その理由だけで確信してる訳ではないとも思えた。

 リディアはオレットのことをよく知ってるんじゃないか?

 もしかしたら、リディアとオレットは昔からの知り合いなのかもしれない。

 昔からの知り合いというのは、リディアが言っていた、一年前の社交界より前の知り合いという事だ。


「リディアって……」


 俺は気になり、そう聞こうとしたが、また他の人物の言葉で遮られた。


「皆、始まるよ」


 クロウはそう言い、オレット達の方を見た。

 俺も再びオレット達の方を見た時、カミラの「始めますよ」という声が響き渡った。

 その後は今まで通りカミラがカウントを始め、試合が開始された。

 試合の内容は一回戦と同じ様に、やはりオレットしか戦っていなかった。

 結果も一回戦と同じで、オレット班の圧勝に終わった。


「エリーの言った通りだったな」


 アッシュが話し掛けてきた。


「……うん、でもこれで、決勝戦の相手はオレット達に決まったね」


 それも、二回も戦いを見たのに、敵の情報が殆ど開示されていない最悪の相手だ。

 唯一分かってるのはオレット達の使用する武器についてだ。

 オレットは両手斧、中衛の男子生徒は剣、後衛の弓使いの男子生徒、そして同じく後衛の……。


「あら、薄汚れた公爵家のリディアじゃない」


 その時、赤髪のツインテールの女子生徒がこちらに来て、リディアにそう言った。


「アリッサさん……」


 リディアはその女子生徒の名前を口にする。

 アリッサ・ブラウド、オレット班の後衛にいた魔法使いだ。


「次の対戦相手はあんた達の様ね。まぁ、おにぃとあたしが負ける訳ないし、誰でもいいけどね。特にあんたみたいなゴミにはね!」


 アリッサはオレットの双子の妹で、オレットに続いて出席番号二番だ。


「それを態々敵であるリディアに言いに来たのか?とんだ暇人だな」


 アッシュは挑発するようにそう言った。


「ふん、こんな奴が居る班なんて、弱いに決まってるじゃない」


 アリッサはリディアを指さしてそう言った。


「今までだって、相手が弱かっただけでしょこんな弱そうな奴ら、おにぃ一人で倒せるんだから!」


 アリッサはさも自分の事のように自慢する。


「おい、何をやってる?」

「あ、おにぃ!」


 オレットがアリッサの後方から現れる。


「……来い、作戦会議をするぞ」


 オレットは静かにアリッサに向けてそう言った。


「はぁ? こんな奴ら相手に、そんなめんどくさい事、やる必要ないじゃん! 今回もおにぃ一人でやっちゃってよ!」

「馬鹿か、あの妙な武器持ってる奴に真正面からやりやって、勝てるわけねぇだろ。それにあの後方の銃の女の采配、そうやすやすと崩せる訳ない」


 オレットは、試合開始前と打って変わって、俺達を警戒してるのか。


「早く行くぞ、時間が勿体無い」


 オレットが俺達の元を去って行く。

 それを見たアリッサも「あ、待ってよ、おにぃ!」と言って、オレットの後を追いながら去って行った。


「中々俺達の評価、上がってんじゃね?」


 オレットは流石に、決勝戦まで勝ち進んだ俺達に一人で勝てないと思ったのだろうか。

 どっちにしろ、気は抜けない。

 オレットの言葉は、次は全員が戦いに参加するということを暗示している。


「厳しい戦いになりそうですわね……」


 リディアはそう呟いた。


「……三人の中で、多少なりとも魔法が使える人居る?」


 俺は、新たなフォーメーションを考える為にそう訊いた。


「苦手だけど、使えないことは無いよ」


 そう言ったのはクロウだった。


「じゃあ、クロウは中衛に移動してもらっていいかな?」

「うん、いいよ」


 前衛を突破されると不味いかもしれない。

 苦手でも、魔法を使えるクロウを中距離兼近距離役として、配置した方がいい。


「アッシュとリディアはこれまで通り、前衛で。基本アッシュは盾役、リディアはアタッカーとして動いて」

「了解だぜ」

「分かりましたわ」


 アッシュのあの守りは盾役に相応しい。

 リディアにはアッシュの補助も兼ねて、アタッカーに回って貰うのが得策だ。


「それじゃあ、その方向で。戦況が危うくなったら、私も前に出て、皆を補助するから」

「じゃあ、行こう」


 俺達はグラウンドの中央に向かい、これまでと同じ様に、指定された位置に着く。

 それから間もなく、アッシュ達も指定された位置に着く。


「では三回戦……いえ、決勝戦を始めます」


 カミラはそう言い、カウントを始める。



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