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探偵の異世界生活  作者: わふ
第二部 創世始動編
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七十一話 王都エルドラド

 

 八月二十六日、午前九時。


「んー、やっと着いたぁー!」


 そうノーラが人混みの中で声を上げる。

 自分達はあれから運転を再開した夜行列車に乗り、アルパベーラ王国の首都、王都エルドラドへと到着した。

 現在はエルドラド駅を出て、中央通りに居る。


「ここに久しぶりだね、一回しか来たことないけど」


 ノーラはそう自分に言ってくる。


「二人は王都に来た事があるのか?」


 ネハルムが口を挟んで聞いてきた。


「ああ、自分は何度か来ている。ノーラは確か、三年前に一度だけ。お前はどうなんだ?」

「俺は1度も無い。だから案内は任せる」

「うんっ、任せて! 前に来た時、王都の裏の裏まで知り尽くしてるアグレさんに色々聞いたから! ねっ?」


 そう言えばそんな事もあったか。いや、別に自分はそんなに詳しくないと思うが。

 だがしかし、大体の案内はした筈だ。


「そうか。なら先ずは騎士団の本部に案内してくれ。そちらから捜査の情報提供を受けることになっている」


 怪盗アルセーヌ、もといラグナロクの使徒の件は王国騎士団と共同で捜査する事になっている。

 なので、一先ずこの王都エルドラドに来た訳だ。

 それに殺人の件でも、他の方面から情報を聞かなければならない。


「分かった。ノーラ、そっちの案内は任せる」

「え、え?」


 ノーラは先程の自信満々の表情と打って変わって「何で私が?」と言いたげの顔をしていた。


「君は来ないのか?」

「自分は少し、野暮用がある」

「野暮用?」

「ああ、王都には古くからの知人が居てな。少し顔を出しておきたい」


 適当な理由を付けて、二人だけを騎士団本部へと差し向けるようにする。


「はぁ、全く君は……重要事項を放ったらかしてか?」


 ネハルムが呆れた様な視線を向けてくる。


「まあまあ、三年ぶりなんだから、少しぐらい良いじゃないのかな」


 ノーラは自分の考えを理解してくれたようだ。


「……うーむ……仕方ない」


 ネハルムはいまいち納得しかねい、そんな感じだったが、何とか了承してくれた。


「悪い、昼には合流する」

「分かった。携帯型通信機は持ってるか?」


 ネハルムがポケットから取り出した携帯型通信機を見せてくる。

 ほう。まだ戦域クラスや、貴族連中にしか出回っていないと思っていたが、憲兵隊の大尉でも持っているのか。

 ……って、そう言えば最近、軍事利用のテストのために、上の役職の人物には配られているんだったな。

 あと一ヶ月もすれば、本格的に軍事利用が成されるらしい。


「ああ、一応は。今回の仕事を任される時、エレ……国家魔法師から貰った」


 一介の冒険者が持っていたら不自然だと思い、こじつけの理由を言う。


「なら、番号を教えてくれ。合流する時に、連絡を取りたい。それに、これからも必要になるかもしれないからな」

「分かった」


 自分の連絡番号をネハルムに教える。それと同時に自分はネハルムの番号を教えて貰った。


「……よし。用事が終わったら、連絡してくれ。あんまりにも遅いならこっちから掛けるからな?」

「分かった、分かった……それじゃ、そっちの案内は任せたぞ、ノーラ」

「うん! 後でねー!」


 二人は騎士団本部がある、王都西の行政区へと歩いていく。

 ……さて、自分も行くか。二人を見送ってから、自分も行動を開始する。

 二人を、いやネハルムを引き離したのには理由がある。

 それは先程も言っていた、殺人事件の件だ。

 これからその件の情報を聞きに、ある場所に行く。あいつが居れば不都合だ。

 ネハルムを絶対にこっちの件に関わらせない。それが今自分に出来る事。

 そのために、今からその場所を目指し、中央通りを北へと進む。

 しかしまあ、流石の人通りだな……。ただ道を歩くのに苦労する。

 帝都よりは少ないが、やはり都会は苦手だ。こうも人が多いと、殺意を持った人間が近付いてきても、気付きにくいからな。


「きゃっ……」


 そんな事を考えながら前をろくに見ずに歩いていると、誰かの肩が二の腕にぶつかってしまう。

 この声は、女か。


「悪い、大丈夫か?」


 その声の主の女を見る。どうやら騎士団員らしい。騎士団指定の白色の軍服を着ている。


「ご、ごめんなさいっ!」


 十中八九自分が悪いのに、ぺこぺこと頭が取れるんじゃないかと思うぐらいに、謝ってくる。


「気にするな、自分が前を見ていなかったのが悪い。そんなに謝らないでくれ」

「い、いえ! 私が悪いんです!」


 そう言っても、謝り続ける女の顔を見る。その容姿は、緑髪でポニーテール、まだ年端もいかない娘だった。

 ……何処かで見た事がある。それにさっきの声も何処かで……。


「あ、あの、怪我とかしていないですか?」


 少し肩をぶつけただけで大袈裟な態度。腰の低さ。

 もしかして……。


「……お前、ジゼル・ロヴァートか?」


 その名前を呼ぶと、娘の動きがぴたりと止まる。


「え、ど、どうして私の名前を……」


 やはりか。


「自分だ。三年前に会った」

「え?」


 ジゼルが自分の顔をまじまじと見てくる。


「あ……も、もしかして、アグレ……さん?」


 気付いてくれたか。


「お、お久しぶりです! まさかこんなところで!」

「ああ。お前はドジっぽいから、忘れられていると思ったが、覚えててくれたんだな」

「す、すみません! 謝るのに夢中で、アグレさんの顔を見ていなくて……」


 こいつらしいな。三年前、会った時もこんな感じだったか。

 今日みたいに肩をぶつけて、こいつが謝っていた。

 弱気な性格も治っていないらしい。

 こいつは、ジゼルは、ノーラと同じ村の出身で彼女の幼馴染だ。


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