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探偵の異世界生活  作者: わふ
第二部 創世始動編
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六十四話 魔力武装

 

 背後の敵の攻撃を太刀で防御し、ノーラを守る様に引き寄せる。


「ア、アグレさんっ……」

「じっとしてろ」

「う、うん」


 敵の攻撃を弾き、男の方を向く。すぐさま鉤爪の攻撃を避け、ノーラを抱えて男の背後に飛んで回る。


「ノーラ、離れていろ」

「わ、分かった」


 ノーラが離れて行くのを確認してから、太刀を構え直す。


「ヒヒ、一筋縄では行かないねぇ……おいてめぇら、行け」


 男がそう指示を出すと、再び一斉に下っ端共が襲いかかって来る。


「――疾影大太刀流……二の型、重撃影(じゅうげきえい)……!」


 敵がこちらに来て、得物を振りかざす瞬間その場で飛び上がり、太刀を両手で構え、地面に叩きつける。

 敵は風圧で吹っ飛ばし、元いた場所に着地する。


「っ……!」


 その時、いつの間にか背後に回り込んでいた男の攻撃が襲いかかる。

 太刀を背後に回し、間一髪で鉤爪を受け止める。


「ヒヒ、良く止めたねぇ、だが……」


 男は鉤爪の刃と刃の間で、太刀の刀身を挟み、自分の体を引き寄せる。


「これでも食らっとけやぁぁ!!」


 男はもう片方の手に持っていた短剣を自分の腹に突き刺す。


「ぐっ……!」


 短剣が引き抜かれ、血が飛び散る。

 慌てて男から距離を置き、体勢を立て直す。

 痛みはあるが、立てない程じゃない……。


「はぁ……はぁ……」


 呼吸を整えながら、太刀を構え直す。


「ヒヒ、頑張るねぇ……」

「……不意打ちにしちゃ、出来が悪いな。さっきの場面は、もっと”上”を狙うべきだった……」

「いやぁ、それでいいんだよそれで。何処でも突き刺しちまえば」

「何だと――ぐぁっ……!」


 さっきとは比べ物にならない程の激痛が走り、堪らず膝を着く。

 何だ……この痛みは……。刺された腹に留まらず、全身に広がって……。


「ヒヒ、効いてきたみたいだねぇ……俺特性の毒が」


 毒……あの短剣に塗られていたのか……。

 しくじった。ただの短剣と思い、楽観視していた。

 毒の痛みに耐えながら戦うのは、非常に難しい。


「くっ……」


 ……それに、気の所為かもしれないが、体に力が入らない……。

 仕舞いには地に手を着く。

 ――これは……十中八九、普通の毒では無い……。



「ヒヒ、すげぇだろ、その毒。痛みだけじゃなく、筋肉低下を引き起こし、体の自由を奪う……死にはしねぇが、人一人殺すには持ってこいの毒だ」


 筋肉低下を引き起こす毒……もしかすると……。


「……お前達、紺碧の月じゃないな?」

「ヒヒ……」


 男は不快に口角を釣り上げる。


「聞いた、事がある。帝国だけでなく、王国、共和国等各地で殺しを行っている、暗殺者集団。その暗殺者集団によって出た死体は、決まって筋肉低下を引き起こしている……その暗殺者集団の名前は――」

「『血濡れの宵闇』、そう言いたいんだろぉ?」

「やはり、そうか……ならお前が血濡れの宵闇、リーダーの、アルストロ・ロペス……」

「ご名答。やっぱりてめぇは知っていたか……この手は使おうか悩んでたんだよなぁ、バレたくなかったから。でもな、殺しちまえば万事解決! て事で、てめぇには死んでもらうぜ。まぁ、元々お前を殺す依頼だったんだが……」

「何だと……?」

「おっと、勢い余って口を滑らせてしまったなぁ」


 アルストロは、ふざけた様にそう言う。


「……誰だ、その依頼を出したのは?」

「やっぱり、気になっちゃうかぁ。ま、別に言ってもいいが、てめぇはここで死ぬんだ。聞いても意味ねぇよ……てめぇら! 今度こそ確実に殺せ!」


 アルストロが再びそう指示を出すと、下っ端達が一斉に俺に向かって来る。

 不味いな……仕方ない、あれを使うか……。

 目を閉じ、意識を集中させる。

 ……………………よし、準備は整った。

 自分はゆっくりと立ち上がる。


「……! おい待て、てめぇら!」


 立ち上がった自分を見たアルストロは、慌てて下っ端達にそう指示を出す。

 下っ端達は一斉に立ち止まる。


「な、何故立てる……毒はまだ抜けてないはずだろぉ?」

「さぁな、お前達に話す義理はない――」


 慌てているアルストロを横目に太刀を構え直す。

 そして――。


「はぁ!」


 リミッターを解除する。


「な、何だ、さっきと感じが……それに奴の周りに集まってるのは……」


 魔力を纏い、力を増幅させる。


「……神技『魔力武装 壱式』! ……覚悟しろ、お前達。ここからは容赦しない――」


 そう言い、たんと音を鳴らす。


「消えた……? 何処に行きやがった!?」


 目で追えない速度で下っ端の元へと移動し、太刀を胴に振る。

 下っ端は声を上げ、血飛沫を流す。

 間も置くことも無く、もう一人、更にもう一人と次々に移動する。

 十秒も掛かることも無く、下っ端全員を片付ける。


「――次はお前だ、アルストロ」


 アルストロに太刀の鋒を向ける。


「……ヒヒ……ヒヒヒヒ、ひゃっはっはっ! まさかそんな隠し球を持ってるなんてなぁ!? てめぇ、()()()の人間かぁ! こりゃ敵いっこねぇわ!」


 アルストロはこれでもかと言うぐらいに、高笑いをする。


「どうする、まだ続けるか?」

「続けるかって? 続ける訳ねぇだろ!? 圧倒的な力の差を見せつけられてよぉ!?」


 そう言って、何かを地面に叩き付ける。

 すると辺り一面に白い煙が立ち上がる。

 煙幕か……こんな事をしなくても逃がすつもりだったんだがな……。

 煙幕が晴れ、視界が開いた時にはアルストロの姿は無かった。下っ端達の死体を残して。

 自分は魔力武装を解除、リミッターを掛ける。


「アグレさんっ!」


 自分の名前を呼び、ノーラが駆け寄って来る。


「怪我は……ないか?」

「う、うん、アグレさんのおかげで。それより、あの人逃がしちゃって良かったの? 悪い人なんでしょ?」


 良い訳が無い。でもそうするしか無かった。そうしざるおえなかった。


「いや……良くない。最悪だ……だが、自分も……そろそろ、限界、なん、でな……」


 意識が遠のき、ばたりと地面に倒れ込む。

 くそ、あの毒が回ってきやがった。それに魔力武装の負担が……。

 こりゃ何時間は眠ったままだな……。

 ……完全に意識が途絶えるまで、ひたすらにノーラが自分の名前を呼び続けていた――――。


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