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探偵の異世界生活  作者: わふ
第一部 学校生活編
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五十話 楽しむ

 

 屋敷に戻る頃には、午後四時を回っていた。

 屋敷の前の浜辺ではしゃいでいる他の皆を横目に、屋敷の中へと入る。


「おかえり……って、二人共泥だらけじゃない!」


 玄関ホールでは、イザベラが迎えてくれた。


「どうしたの?」

「えっと、色々あって……」

「とにかく、お風呂用意してるから、入って来て」


 そうだな。この汚れている姿じゃ、屋敷を汚してしまう。

 一度部屋に戻り着替えを持って、1階に脱衣場へと向かう。


「わぁ、広いですね、脱衣場」


 脱衣場は八畳程の広さがあった。

 この調子で行くと、風呂はもっと広そうだ。中々寛げそうだ。

 ……こいつが居なければの話だが。


「エリカさん! 早く脱いで下さい!」


 そう、服を脱ごうとしている俺を、横から舐めるようにコルネが見てくる。


「……コルネ、そんなにじろじろ見られると、脱ぎにくいんだけど……」

「良いじゃないですか! 減るもんじゃありませんし!」


 そういう問題じゃないんだがな……。

 ……気にしていても仕方がない。

 この馬鹿には、基本何を言っても意味が無い。ぱぱっと脱いで、風呂に入ろう。

 そう思い、服に手をかける。


「おお……素晴らしいです……」


 等と感動の声をあげているが、無視だ、無視。

 結局、脱ぎ終わるまで、コルネにずっと見られていた。


「じゃあ私、先に入ってるから」


 まだ服を脱いでいないコルネを放って、浴場へと入って行く。


「広……」


 風呂場へと入ると、想像していた物より広く、思わずそう声が漏れた。

 それに設備も充実しており、左側の壁にシャワー10個弱が設置され、その前には一つ一つ、小さな椅子が置かれている。

 右側には泳げる程度の広さがある、浴槽が2つあった。

 まるで、ホテルの大浴場だな……。

 屋敷の中も広いし、第五陸軍の大将ってのはよっぽど稼げるそうだ。

 取り敢えず、体を洗う事にする。

 壁に設置されているシャワーの一つの前に行く。

 うわ、シャンプーなんかも、シャワー、一つ一つに用意されている。

 ……落ち着かない。こんなだだっ広い風呂で1人……。

 ぎこち無く、体を洗い始める。


「エリカさーん! 洗いっこしましょー!」


 そう言って、勢い良く、コルネが風呂場に入って来る。


「って! もう洗ってるじゃないですか!」


 当たり前だ。何でお前をまたなきゃいかんのだ。

 コルネが走って、俺の所へ来る。


「今からでも洗わせて下さい!」

「はぁ……私の事はいいから」


 俺は駄々をこね続けるコルネを無視し、淡々と体を洗い続ける。


「むっ、エリカさんがその気なら……えい!」

「っ!」


 コルネはがばっと後ろから抱きついてくる。


「勝手に洗っちゃいますもんね!」


 ……ああ、最悪の展開だ。


「分かった、分かったから、離れて」

「ほんとですか!? じゃあ洗いっこしましょう!」


 俺は仕方なく、コルネの要求に応じる。

 ……前々から思っていたが、俺って流されてばかりだな……。

 地獄の時間が終わり、やっとの思いで浴槽に浸かる。


「ふぅ……生き返りますねぇ……」


 いつもコルネの考えには同意し兼ねるが、今回ばかりは同感だ。


「そう言えば、エリカさんって、どうして士官学校に入ったんですか?」


 そうなんの前振りもなく、コルネが聞いてくる。


「えっと……」

「あれ、聞いちゃいけないことでしたか?」


 俺が唾の悪い顔を見て、コルネが申し訳なくする。


「いや、そうじゃないんだけど……その、具体的な目的がいまいち決まってないんだ」

「へぇ、良いじゃないですか!」

「え?」

「だって、決まってないって事は、これから決めれるって事ですよね! だったら、目的を見つける楽しさが味わえるって事じゃないですか!」


 見つける楽しさを味わえる、か。

 何ともユニークな発想だ。

 確かにそう考えると、幾らかは気が楽だ。

 でも……。


「でも、それより、決めれてない焦りの方が大きいよ。それがある限り、コルネの言う楽しさは実感出来ないよ」

「だったら、それも含めて楽しみましょうよ!」


 それも含めて?


「その焦りも全部、味わうが楽しいんじゃないですか! その楽しさを感じられる瞬間が、生きてるって思えるんです! 何の苦労もせず、ただ楽しく生きるのって、つまらなく無いですか? 折角生きてるんだから、苦労も経験しないと損ですよ!」


 ……随分とぶっ飛んだ考えだが……悪くはないな。

 そうやって何事も馬鹿に、ポジティブに考えるのも必要って事か。

 まさか、こいつからそんな考えが出てくるとは思ってもみなかった。

 正直言うと、少し見直した。


「だからですね……私に体を触られまくる経験も必要だと思います!」


 ……前言撤回だ。

 これからはコルネに、見直した等と言う感想は抱かないようにしよう。

 俺はうるさいコルネを無視しながら、風呂を上がり、2階の部屋へと戻った。


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