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探偵の異世界生活  作者: わふ
第一部 学校生活編
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四十七話 トナラン街道

 

 俺達はトナラン街道を進んでいた。

 整備された道の周りには草気が生い茂っている。


「まだ歩くんですかぁ?」


 歩き始めて約十分、早くもコルネが弱音を吐く。


「もう疲れたの?」

「疲れてはいませんけど、退屈なんですよ! ずっとただ歩き続けるのが!」


 ずっとって……だからまだ、十分しか経ってないだろ。


「何か出てきませんかねー」

「何かって?」

「例えばー、魔獣とか!」


 いや、出てきて欲しくは無い。


「嫌だよ。無駄に体力を消耗したく無い――」


 そう言おうとした時、脇の茂みから、ガサゴソと音が聞こえた。

 まさか……いや、そんな馬鹿みたいな偶然ある訳ないだろ。

 そう言い聞かせていたが、茂みから猪型の魔獣が姿を現す。

 くそ、本当に現れやがった。だが、幸いにも、それ一体だけの様だ。

 俺は急いで刀を取り出そうとする。


「待って下さい、エリカさん! ここは私にお任せを!」


 そう言ってコルネは魔獣の前に立ち塞がる。


「エリカさんにかっこいいところ、お見せしますよ!」


 コルネは銀色の長銃を取り出す。

 そして、その銃を構え、魔獣に照準を合わし――バン、と一発、銃弾とは似て異なる、青白い物が放たれる。

 だが、魔獣はまだ倒れない。


「やっぱり威力低いですね……!」


 もう一発、バン。それが放たれる。

 二発目も見事に命中し、魔獣は断末魔を上げて倒れる。

 コルネはまだ銃を構えたまま。

 魔獣が煙のように消えていったところで、銃を下ろす。


「ふぅ……どうでしたか、エリカさん! かっこよかったですか!?」


 コルネは振り返って、銃を仕舞う。


「う、うん、コルネ、さっきの長銃は……」

「ああ、これですか?」


 再び銀色の長銃を取り出す。


「かっこいいですよね。知り合いに作って貰ったんです。なんでも、銃弾の代わりに、魔力を撃てる様なんです。なので玉の心配はする必要は無い、便利な得物なんですよ!」


 魔力を玉の代わりに、か……まるで俺が持っている拳銃みたいだ。


「でもその代わり、銃弾と比べたら、威力は落ちるんですけどね」


 確かに、この銃は見るからに単発式のライフルの様だ。

 連発式より、一発一発の威力が高い。銃弾ならあの程度の魔獣、一発で倒せるだろう。


「じゃあ、コルネが魔獣を倒してくれた事だし、そろそろ行こう」

「はい! この調子で目的の魔獣もちょいと捻ってやりますよ!」


 俺とコルネは再び、街道を進む。

 十五分程歩いたところで、目的の魔獣前へと辿り着いた。


「こっちの脇道の先みたいだね」

「了解です!」


 脇道に入り、更に数分歩いた。

 すると、開けた行き止まりの場所に着いた。


「エリカさん、あれじゃないですか?」


 その場所の中央にいる、鳥型の魔獣を指さす。

 魔獣は鳥型とは言うものの、前のめりではなく、人間の様に真っ直ぐ立っていた。

 身長は百六十センチくらいだろうか。これは鳥なんだろうか?

 その魔獣を見た俺達は、慌てて茂みに隠れる。


「うん、多分ね」


 それにしても、本当に小型だな……。

 こうなるとますます怪しく感じる。

 あんな弱そうな魔獣を倒して金貨八枚は出来過ぎだ。

 もしかしたら、見た目よりも強いんじゃないのか?

 その考えに至り、コルネに慎重に行動するよう、伝えようとする。


「コルネ、作戦を――って、何処、コルネ?」


 なんと、隣に居た筈のコルネの姿が無かった。

 何処行った、あいつ。

 焦って、周りを探す。だが、何処にも居ない。


「……何処だ、コル――」


 その時魔獣が居る方から、バン、と銃声が聞こえた。

 今の音はコルネの銃の――まさか……!

 俺はすぐ様、広場の中央を見る。

 そこには、銃を構えたコルネが居た。

 魔獣の方は飛び上がり、羽をはばたかせている。


「コルネ!」


 俺は慌てて、茂みを出て行く。


「すみません、エリカさん、外してしまいました……」

「何で勝手に出て行ったの!?」

「弱そうでしたし、一発で倒せるかなーって思って……」


 コルネにはもう少し、警戒心を持って欲しい。

 とにかく、一旦引こう。

 この魔獣には何かある。


「コルネ、一旦態勢を立て直すよ。だから戻――」

「――――!」


 そうコルネの手を掴もうとした時、魔獣が叫ぶ。


「うっ――こ、これ……歌……?」


 コルネの言う通り、その叫び声は歌にも聞こえた。


「頭に……響く……」


 なんて音だ。一歩も動けない……。

 堪らず、頭を抱える。


「エ、エリカさん、魔獣を……見て、下さい!」

「……え……?」


 コルネに言われて、魔獣を見ると丁度叫び声が止み、みるみる姿を変える。

 小さく弱そうな姿とは打って変わって、大きな凶暴な姿へと変える。二足歩行の魔獣へと。

 下半身はライオン、上半身は鷹の羽に頭。

 言うところの……グリフォンだ。


「ええ!? あんな弱そうな魔獣がこんな……!」


 くそ、だから報酬金が高かったのか。

 いや、今はそんな事を考えている暇は無い。


「逃げるよ! 二人じゃ無理だ!」

「は、はい!」


 俺達は広場の出口へと走り出す。だが……。


「っ……」


 強い風圧が背を押す。グリフォンが羽ばたいた風だ。

 グリフォンは俺達の上を飛び越し、出口に立ち塞がる。


「塞がれた!? ど、どうしますか、エリカさん!?」

「……どうするもこうするも、戦うしかない」


 こうなってしまっては逃げれない。


「え!? マジですか!?」

「うん、それしかない」


 俺は刀を取り出し、鞘から引き抜く。


「コルネは後方から支援を! 倒たさなくていい、隙が出来たら、逃げるよ」

「は、はい!」


 コルネは長銃を構え直す。


「いくよ、コルネ!」

「はい!!」


 俺は刀を構え、グリフォンの足元へと走り出す。


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