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探偵の異世界生活  作者: わふ
第一部 学校生活編
42/127

四十一話 真相への道

 

 翌日の早朝、俺は事件の手掛かりを求め、再び屋上にやって来た。

 一刻も早く、カミラから話を聞きたかったが、流石に早すぎたのか、まだ職員室に来ていなかった。

 それ迄に出来る事をしようと思い、屋上に無駄足覚悟でやって来た訳だ。

 何せ二年前の事件だ、俺達学生が調べられる範囲で、物証はもう残ってないだろう。

 もちろん死体発見場所にも行ってみたが、案の定、何も無かった。

 当たり前だ。二年間も血の跡を残す馬鹿な学校は何処にも無い。

 憲兵隊の記録には残ってるんだろうが、流石に見せては貰えないだろう。

 唯一手掛かりになりそうなのは、この他の鉄柵と比較して、新しい鉄柵だろう。

 そう思いながら、その鉄柵に手を置く。


「…………」


 事件に関係しているという上で考えるなら、どんな傷が付いたのだろう。

 大きな傷なら、憲兵が自殺以外の可能性を考える筈。

 自殺ではそんな傷は付かないだろうからな。

 考えられるのはほんの些細な傷……何だが、そんな小さな傷で取り替えたりするだろうか。

 劣化していたからその気に取り換え――そう言う事か……!

 他の劣化した鉄柵も触ってみる。うん、この劣化具合なら、憲兵が事件とは関係無いと断定する訳だ。

 後は、この鉄柵が事件後に取り替えたのか、否か。

 何にせよ、カミラから話を聞かなければならないな。


「ん?」


 その時、校舎への扉が半分開かれ、コルネが顔を覗かせる。


「! エリカさん! 何してるんですか!?」


 そう言って慌てて、こちらに走ってくる。


「ど、どうしたの、そんなに慌てて……」

「どうしたもこうもありません! 今、屋上から飛び降りようとしてませんでしたか!?」


 あ、なるほど。俺はさっき、柵に手を付いて、身を半分乗り出していたから、その姿を見たコルネが誤解したのか。


「誤解だよ、えっと……」


 俺は仕方なく、事件のこと、それを調べていた事を話した。


「そうだったんですか……でも、本当に危ないですから、心配させるような事はしないで下さい!」

「ごめん、ごめん、それでコルネはどうしたの? わざわざ私のところまで来て。何か用があるんだよね?」

「あ、そうです! 私、朝起きたら、エリカさんが居なくて、アッシュさんに聞いたら、職員室に行ったって聞いてですね、行ったわけですよ。でも職員室にも、エリカさんが居なくて、そしたら、カミラ教官に、エリカさんを探してきて欲しいって言われて、校内を探していたんです」

「そこで屋上に私が居た……って事?」

「はい!」


 それはコルネに申し訳ない事をしたな……。

 と言うか、今ならカミラが職員室に居るのか。

 とにかく、呼ばれているようだし、職員室に行くか。


「コルネ、エルを呼んできて。部屋は六階の奥にあるから。扉の名札にエルの名前が書いてあるからすぐ分かると思う。職員室に来るように言って」

「えぇ……? まぁ、エリカさんの頼みですし、分かりました! 呼んできます!」

「ありがとう、頼んだよ」


 俺はそう言い残し、職員室へと向かった。


「あ、エリカさん、来てくれたんですね」


 職員室の中には、カミラ以外の姿は無かった。


「すみません、待たせてしまって。それで私を探していたようですけど……」

「ふふ、そんなに畏まらなくても良いわ。ただ昨日の礼を言いたくて。それと昨日の、私に出来る事なら何でもするって、その約束も果たせていませんしね」


 なんだ、目的は一緒と言う訳か。

 なら話が早い。


「あ、何でもって言いましたけど、卑猥な事は駄目ですよ?」


 カミラはからかうように、にやにやと俺の顔色を伺う。


 そんな訳ないだろ。教え子に何を言ってるんだ……。


「はぁ、分かってますよ。私はカミラ教官にある事を聞きたいだけです」

「ある事?」

「はい……リリー・サンチェスの自殺の件についてです」

「……!」


 カミラの表情がぎゅっと引き締まる。


「……エリカさん、誰からその事を?」

「カイル部長からです」

「……何でその事件を調べてるんですか?」

「ヴィクター会長、それからリリーさんを大切に想ってる人達から頼まれました。真実を紐解いて欲しい、と」

「……分かりました、話しましょう」


 ……随分とあっさりだな……。


「良いんですか?」

「はい……私もそろそろ、腹を括ろうと思いまして」


 そうか……カミラも本当は自殺じゃないと気付いていたんだな。

 当然と言えば、当然だ。この人の目はそんなに曇っちゃいない。

 真実を見極めれない程な……。


「……私は今までリリーさんの事件から目を逸らしていました……私の謹慎の話は知ってますよね?


 俺は小さく頷く。


「実はそれ、学校側から言い渡された訳では無いんです。私が自主的に言い出しました……リリーさんの真実と向き合う勇気が無くて……」


 まぁ、当然だ。教え子が亡くなったんだ。仕方ない。


「……リリーさんの人柄を知っていれば、自殺とは思えない……でも、そう考えると、こう考えるしか無くなるんです……クラスメイトの誰かが、リリーさんを……殺したと……」


 …………まさか。


「知ってるんですか!? リリーさんを殺害した犯人を!」

「…………」

「誰なんですか!? 教えて下さい!!」


 俺は勢い余って、カミラのデスクを叩いてしまう。


「……すみません」

「いえ、気にしないでください……私が悪いんです。リリーさんの死に向き合えない私が…………!」


 カミラは涙を零す。


「すみません、こんな……」

「良いんです。カミラ教官の気持ちは分かります」


 カミラは慌てて涙を拭い、落ち着いて話し続ける。


「……エリカさん、こんな形で、こんな事を頼むのは教官失格かも知れませんが、私の話を聞いて、エリカさん自身の口から、犯人の名前を聞かせて下さい。お願いします」


 確かに、生徒にそれを頼むのは筋違いだろう。

 でも、カミラは教官の前に、人間。言い出したくない、知りたくない、証明したくない真実がある。

 それを紐解くのが、俺達探偵の仕事だ。


「分かりました、聞かせて下さい。カミラ教官が知ってる、話を」

「……エリカさんは事件の概要を何処まで知っていますか?」

「大体は知っています。会長から聞きました」

「やっぱりあの時、ヴィクター君とカイル君、盗み聞きしていたんですね。ドア越しに気配を感じてましたけど、本当に聞いていたなんて……あ、すみません、話が逸れましたね」


 カミラは少しだけ、微笑みを取り戻す。


「それなら、大前提の事件の概要は話さなくていいですね」

「ええ、私が聞きたいのは先ず、屋上の鉄柵の件です。あの一部だけ、新しい部分、あれはやはり、事件の後に取り替えられた物なんですか?」

「はい、あれはリリーさんの事件によって、傷付いて、取り替えました。随分と劣化してもいましたし」

「具体的には?」

「凹みです。鉄柵の棒の部分に、片足程度の」


 片足……。


「それと、年頃の少女ぐらいの腰幅の凹みが。憲兵の方々は、小さい方の凹みは、リリーさんが柵を乗り越えた時に、足場にした為に出来た傷、もう一つは、自殺する寸前に、怖気付いて、咄嗟に柵にもたれかかった時に出来た傷だと、言っていました」

「その傷は、内側ですか、外側ですか?」

「どちらも外側です」


 確かに憲兵隊の言い分は、筋が通ってる。

 触ってみて分かったが、あれだけ劣化しているのなら、少し体重を掛ければ、意図も簡単に凹むだろう。

 だが、やはり、おかしい。一点だけ、不可解な点が。

 どういう状況で、リリーが死んだのか、分かってきた気がする……。


「分かりました……では、何故、カミラ教官は犯人が、同じクラスに居ると?」

「……これも言い難い事なんですけど、残念なことに虐めがあったんです……それも、私が知らないところで…………」


 カミラの握り拳に力が入る。


「……知っています。でもそれはリリーさんや周りの人にとって……」

「そうじゃないです……他にもう一人……」


 もう一人……そうか、あの時、サラが言いかけたのは、その事だったのか。


「……多分ですけど、していた側は、ユリア先輩ですか?」

「……」


 カミラは小さく頷く。


「……それを知ったのは、事件から一年後に、ある生徒から届いた、手紙を呼んだ時です」

「ある生徒?」

「はい、その手紙には、事件の推理が書いてありました。これは、推測ですけど、その生徒も私の様に、自分では言い出せなくて、私に託そうとしたんじゃないかと」


 ある生徒、か。大体予想はつく。

 そんな面倒くさい事をするのは、リリーを本当に大切に想ってる人物。

 まぁ、それは今は良い。どうせ、そいつからも話を聞くんだ。

 今聞きたいのは……。


「……誰なんですか、その虐められていた生徒は」

「……すみま……せん……それは……」


 ……それが、事件の核心にいる人物、という訳か。


「……分かりました。それは直接本人から聞きます」

「え?」

「ユリア先輩です。彼女から、聞き出します」

「……そう、ですか……すみません、勇気が無くて」

「いえ、カミラ教官は充分、勇気を持っています。今だって、前に進もうと、私に事件の事を話してくれているんですから」


 教え子の事件と向き合おうとする、先生を誰が卑下出来る?

 少なくとも俺には無理だな。

 例え、何年逃げ、迷い続けようとも、大事なのは最後は立派であるか、否だ。


「エリカさん……」

「任せて下さい。絶対にカミラ教官が、その生徒の名前を口に出来るように、事件を紐解きます。その時は、証言、してくれますよね?」

「……! ……はい、もちろんです!」


 よし、行こう、カミラの為にも。

 そう思って、職員室を後にする。


「エリカ、おまたせ」


 ドアをがらっと開け、廊下に出ると、そこにはエルの姿があった。

 ちゃんと呼んでくれてんだな、コルネ。


「カミラ教官から、話聞けた?」

「うん……」


 俺はエルに、話の内容を聞かせた。


「そう……カミラ教官に手紙を送った人……予想はついてるの?」

「うん、まぁね、十中八九、あの人から、かなって」

「私もそう思う……次はその人?」

「……ううん、その人は最後。先ずはユリア先輩から」

「分かった。行こう、エリカ」


 俺達は地下の訓練所へと向かった。

 居るかは分からないが、行かないよりはマシだ。

 訓練所に行くと、昨日の昼間程の人数は居なかったが、数人だけ生徒の姿があった。

 その中には、クリスのが居た。


「お、エリカか、どうした、こんな朝早く」

「あの、ユリア先輩って居ますか?」

「はは、あのひねくれた奴が、夏季休暇のこんな朝早く、来るわけないだろ」

「ですよね……呼んでもらう事って出来ますか?」

「あー……」


 クリスは頭を掻きながら、返事を言い渋る。


「お願いします、大事な話があるんです」

「……分かった、ちょっと待ってろ」


 そう言い残し、クリスは訓練所を出て行った。

 十分後、溜息をつきながら戻って来た。


「どうでした?」

「来なかったら、素振り一万回やらせる、と言ったら、渋々、来ると言っていた」


 一万回……確かに嫌だな、それは……。


「恐らくは、来るまで三十分は掛かるだろうな。すまないが、待っていてくれ。これはどうしようもない」

「あ、あはは、分かりました……」


 それから三十分後、クリスが予言した通りピッタリに、ユリアが来た。


「何よ、急に呼び出して」


 ユリアはいかにも不機嫌そうな顔で、舌打ちをする。


「ユリア先輩、話があります。少しだけ、お時間を頂けませんか?」

「は? あんた誰……って、ああ、あの親の七光りの姉ね。まぁ、あんたもそうだなんだろうけどさ」


 一々、鼻につく奴だな……。

 こりゃ、クラスでも相当嫌われてるだろう。


「本当、少しだけで良いんです。お願いします」

「ふーん、まぁ良いわ。聞いてあげる。暇潰しにね」

「じゃあ、ここでは人目がありますから、場所を変えましょう」


 ユリアはすんなりと了承し、場所を移す。

 俺とエル、そしてユリアは、適当にプールが人が居なかったので、そこに移動した。


「で、話って何よ」

「単刀直入に言います。ユリア先輩って、クラスで誰かを虐めていましたよね?」

「はぁ? いきなり何? と言うか、何で私がそんな話をしなくちゃいけないわけ?」


 やはり、断るか。だったら……。


「断るんですか? じゃあ、これ。校内にばらまいちゃいますね」


 そう言って、俺は一枚の写真をユリアに渡す。


「何よこ――っ! あんた!」


 それは、ユリアが剣道部の部員を”訓練”とかこつけて、痛めつけている写真だった。

 昨日、サラから話を聞いた後、もしかしたら、クラスだけでなく、部活の方でも虐めを行っているんじゃないかと睨み、ユリアから話を聞く為に、集めた証拠だ。

 実を言うと、カミラの話を聞く前から、ユリアに話を聞くつもりでいた。

 本当に、サラが言っていた事だけしかやってなかったのか、裏が取りたかったからな。


「剣道部の皆さん、私がユリア先輩の横行を止めてあげるって言ったら、すんなり渡してくれました。前々から教官方に訴える腹積もりでいたようです。よっぽど、煙たがられているんですね」


 これは余談だが、ユリアは、自分に逆らえない平民の生徒だけを徹底的に狙い、虐めていたらしい。

 それもやっぱり、女子部員だけを。


「ぐっ……あんた……!」


 ユリアはその写真を破り捨てようとする。


「破ったって無駄ですよ。他にも何枚もあるんですから」

「ちっ……分かったわよ。虐めてたわよ、あの憎たらしいリリーをね」

「それだけじゃないですよね?」

「……ええ! そうよ! 他にも何人もね!」

「名前を挙げて下さい」

「は?」

「早く!」

「……ちっ……」


 ユリアは一人一人、名前を挙げていく。

 聞き慣れない名前が、続く中……。


「それだけですか?」

「違うわよ、後もう一人、憎たらしくて、本命がね」


 ユリアはくすくすと笑う。

 本当、ひん曲がってる奴だ。


「それはね―――――よ」

「……そうですか」


 ……そうか、そう繋がるのか……。


「エリカ……もしかして、その人が……」

「うん……残念だけど……」


 俺は一瞬、この事件の真相を話すかどうか迷ってしまった。

 こんな悲しい事件ってあるのか……?

 あいつにとってこんな……。

 ……でも、だからこそ、明かさなくちゃいけない。

 この事件は、リリーが自殺、その結論だけは避けなくちゃいけない。


「ねぇ、もう話したからいいでしょ? ってか、あいつが前に同じ様な事聞きに来たんだけど、何でいつも一緒にいるあんた達が知らないわけ? 別にいいけど私には関係ないし。私もう帰るわね」


 ユリアはプールを出て行こうとする。

 いや、まだ帰っては困る。

 この件以外に、話しておきたいことがある。


「……ユリア先輩、これだけは約束して下さい。もうこんな事はしないと」

「は? なんで――」

「次、このような話を耳にしたら、今度こそ、この写真をばら撒きます。良いですよね? 貴方は私の様に弱みを握ったり、暴行したり、脅して口封じをしていたんですから」

「……因果報応ってやつ、大人しく、約束して」

「ぐっ……ちっ、分かったわよ! 元から、そんなつまらない事、もう辞めるつもりだったし! ふん!」


 ユリアは今度こそ、プールを出て行く。


「うちの妹をもう虐めないで、後輩として向き合ってあげて下さいね」

「ちっ、うっさいわね! 分かってるわよ!」


 そう捨て台詞を吐いて。


「…………」

「…………」


 少しの沈黙が流れる。


「エリカ、やっぱり伝えるの?」

「うん……それが、依頼だから……」

「……エリカ」


 エルが俺の手を握ってくる。


「怖い……ね、でも、私も手伝う」

「エル……うん、ありがとう…………さ、もう一人。踏み出せずにいる、人を呼びに行こう?」

「うん…………!」


 俺達は部室へと行き、ある人物を待つ事にした。

 一時間ぐらい待った所で、その人物が現れた。


「お前達、早速集まっているな! さぁ、今日はどんな事をしようか!」


 カイルだ。


「何だ、お前達、暗い顔をして。何かあったのか?」

「……部長、話があります。リリーさんの事件の真相についてです」

「……は、真相? 何の話だ? リリーは自殺だろう?」


 あくまでもとぼけるつもりか。

 だったら、言葉を……想いをぶつけるだけだ。


「部長は……カイル部長はこのままで良いんですか!? このまま、リリーさんが自殺したって、会長達に思われてても!? それで納得出来るですか!?」

「そうか、ヴィクターの入れ知恵か。あいつはまだリリーが自殺じゃないと、信じているからな」

「部長もじゃないですか!? 部長だって、自分なりに調べて、自分なりに推理して、その推理を手紙に書き起こして、カミラ教官に送った! 本当に自殺じゃないと信じてるのは、部長の方です!!!」

「お、俺は信じてなんか……」

「そうやって何時までも目を逸らし続けるんですか!?」


 そう叫んだ瞬間、開けていた窓から、風が強く吹き入る。


「……怖いのは分かります。怖いから逃げる、それは悪い事ではありません。でも、向き合わないといけない物だってあるんです。部長はこの事件に真正面から、向き合わないといけない、そう私は思います」

「…………分かってる……そんな事、とっくに分かっている! でも無理なんだ、俺には! 俺一人では!!!!」

「………」

「……真実を話そうとすると、震えが止まらなくなる。話したら、そいつを傷付けてしまうんじゃないかって……不安で、怖くて……」


 カイルは俯く。

 やっと、カイルの本音が聞けた。

 確かに、怖いだろうな。俺達では計り知れないほどの恐怖だ。

 でも……。


「部長、私達が手伝う。部長が一人じゃ怖いって言うなら、私達が支える」

「……エル……」

「はい、私達が支えます。部長を」

「……エリカまで……お前達、何でそこまで……」


 何で? そんなの決まっている。それは……。


「だって私達、同じ部の部員ですよね? その部員が困ってるのなら、手を差し伸べるのは当然ですよ」

「ん、当然」

「だから、好きなだけ、私達を頼って下さい。私達で良ければですけど、ね」

「お前達……………………ふ、俺は何を迷っていたんだろうな……俺はもう、一人じゃないんだ……何で、そんな小さな事を忘れていたんだ…………分かった、お前達を全力で頼らせてもらう」


 全力で頼る……おかしな話だ。

 人が人に頼るのは当然の話だろうに。


「エル……エリカ……今日中に、俺はこの事件に決着をつける。手伝ってくれるか?」

「もちろんです。行きましょう、部長」

「ああ!」


 俺達3人は、この悲しき事件を紐解こうと、決意を固めた。

 ……………………そして、その日の午後5時、俺達はこの事件に絡んでいる人物を屋上へと集めた。

 だが、全員では無い。まだ一人来てない人がいる。それがこの事件の犯人。

 この場にいない人物が犯人……その様な内容の発言を一人が口にする。


「はい、そうです」


 俺は小さく、そう呟き、こくんと頷く。


「…………」


 一人が息を漏らす。

 暗い空気が屋上を包み込む。

 この場にいる全員がそわそわする。

 そんな時間が流れ、遂に、その人が姿を現す。

 屋上の扉が出す、ギギ……と言う音と共に。

 その姿を見た一人は、顔を逸らす。


「……来ましたね、準備は良いですか?」


 俺がそう聞くと、その人は落ち着いて、いつでも、と短く口を開く。


「……では、今からこの事件を紐解く。しっかりと聞いて欲しい」


 カイルの言葉に、その場にいた全員がしっかりと頷く。


「……では、先ず、事件の概要からだ」


 カイルは事件の真相を話し始める。

 二年振りに明かされようとする、悲しい事件の真相を。


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