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探偵の異世界生活  作者: わふ
第一部 学校生活編
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三十七話 学校案内 一

 

 昇降口を通り越して、一年の教室前の差し掛かる


「まずここが一年生の教室。手前から、C、B、A、Sの順だよ」

「じゃあ私達の教室は奥から二番目ですね!」

「うん、ちなみにエルのクラスはSだから、もう一つ奥だね」

「あ、それはどうでもいいです」


 コルネはさっきとは裏腹に冷めた声でそう言った。

 こいつ、あからさまに態度を変えるな……。


「そ、そうなんだ。ごめんね、余計な事言っちゃって」

「いえいえ! 悪いのはエリカさんでは無く、Sクラスになったこの人ですから」


 それに顔に似合わず毒を吐く。

 指をさされたエルは案の定、嫌な顔をしていた。


「……教室間違えないようにね」


 エルも負けじと切り返すが……。


「は? 貴方と違ってそんなヘマしませんよ。まぁ、今日あったばかりなんで知りませんが」

「う……私だって、そんな事……しな……い……」


 歯切れが悪いな。まさかエル、本当に間違えたのか?


「へーそうですかー。あ、エリカさん! あっちの教室気になります! 早く行きましょう!」


 あたかもエルの事はどうでもいいかの様に、適当に返事を返し、コルネは先行して、一年の教室前を通って奥へと進む。

 その様子を立ち止まって後ろから見ていると、エルが話しかけてくる。


「……エリカ、ほっといて帰ろう。今がチャンス」

「いや、それは流石に……それにこれは必要な事でしょ? カミラ教官から話を聞く為に。だからあの時、エルは機転を利かせて、引き受けるって言ってくれたんだよね?」


 恐らく、カミラから言質を取って話し合いの余地を設けようとしてくれたんだろう。

 あの時の俺はインパクトが強すぎるコルネに圧倒されて、そんな事を考えるに至らなかった。

 普段はぼっーとしているが、いざと言う時には頼りになるんだよな、エル。


「そうだけど……私はコルネみたいな人、苦手」


 だろうな……会って十分かそこらなのに、反りが合わないのは見ていて分かる。

 それならエルを無理に付き合わせるの悪いな。

 コルネの案内が終わるまで何処かで待っていてもらおうか。


「じゃあエルは何処かで待ってる? 案内ぐらいなら私一人でも出来るし……」

「…………うん、そうする」

「……分かった。じゃあ後でね。終わったら連絡するから」


 俺はそう言って、コルネの後を追おうとする。


「エル?」


 だが、エルに左腕を掴まれて立ち止まる。


「……やっぱり、ついて行く」

「無理しなくていいんだよ? こんな事で責めたりしない――」

「ううん、そうじゃない。エリカ、今残念そうな顔してた」


 え、そんな顔していたか、俺。

 だとしたら何で俺は……。

 ……はは、そうか。きっと俺はコルネを一人で案内するのが嫌だったのかもしれないな。

 冷静に考えて、さっき初めて会うまで話したすらこと無かったのに、いきなり『ずっと前から好きです』なんて言われた奴と、二人っきりになりたいとは思わないな……。

 何か裏があるんじゃないか、とかなんとか思ってな。

 だが何故、そう思わなかったんだろうか。

 そう考えると理由は一つ、エルが一緒に来てくれると知って、安心したからだ。

 だから俺はさっき、エルが待っていると行った時に、残念そうな顔をしたんだと思う……多分。


「エリカも、嫌なんじゃないの?」

「……あはは、鋭いね、エル。うん、実は言うと、少しだけ、ね」


 それと、隠さずに言おう、正直に。ちょっと照れ臭いが。


「それとね、エルともっと一緒に居たかったから、かな。エルとならまだ大丈夫かな……なんて、あはは……」

「……! ……分かった、エリカが……そう言うなら……」


 エルは顔を赤くしていた。いや、エル”も”かもしれない。


「エリカさーん! 何してるんですかー? 早く行きましょうよー!」


 俺達がついて来てないのに気付き、立ち止まってコルネが手を振っている。


「い、行こ……エリカ」


 エルはぎこちなくそう言って、歩いて行く。

 エルが動揺しているところ、初めて見るな……。

 そんな事を思いながら、俺も後を追う。


「エリカさん、遅いですよぉ……何してたんですか……ってやっぱり貴方もついてくるんですね……」

「まぁまぁ、人数多い方が、賑やかで良いじゃないかな?」

「そうですよね! 多い方が良いですよね!」


 こいつ……。


「はぁ……で、気になる教室って言うのはここ?」

「はい! でも見たところ、保健室の様ですね……」


 コルネはがっくりと肩を落とす。

 こいつは学校の教室に何を期待していたんだ……。


「あれ、誰か出てきましたよ?」


 保健室のドアが開き、中からイアンが出てくる。


「この人はイアン・マスラドフ教官、この学校の養護教官だよ」

「お、なんだお前ら、こんな所で突っ立って」

「イアン教官、今、こちらの編入生、コルネ・アゼリアに校内を案内していたんです」

「編入生? ……ああ、例の王国の」

「王国?」

「ああ、アルパベーラ王国の王都にある、ギムレー魔法学校からの編入生だよ」

「え、あのギムレー魔法学校から……?」


 エルはぱっと目を見開き、驚いた様子を見せる。


「そうですよ! 実はあのギムレー魔法学校から来たんです!」


 コルネは胸を張って答える。

 ギムレー魔法学校……名前ぐらいは聞いた事はあるな。

 だが生憎、帝国以外の情報には疎いから、どういう学校なのかはよく知らない。


「一応聞くけど、そんなに有名なの?」

「はい! そりゃもう! 王国だったら、このログレス士官学校に負けないぐらい名の知れた魔法学校ですよ!」


 へぇ、そんなに凄い学校なのか。


「だが、最近はめっきり入学者も減って、王国以外じゃ、知らない奴が殆どだ。例え知っていても、古くからある学校って程度と認識してる奴が多い。昔は名門だったって話だ」


 時代が進むにつれて、名が掠れていったと言う事か。


「やっぱり帝国から見たら、その程度の学校何ですね……威張っていたさっきの私を殴りたいです……」

「あ、あはは……ちなみに創立から何年ぐらい経ってるんですか?」

「確か、七百年ぐらいだったか……?」


 想像していたよりも長い歴史だな……。

 確かに年月だけ聞けば凄い学校だ。


「ま、うちも帝国の外から見たら、帝国一の学校ってぐらいの認識だろ。学校ってのはそう言うぐらいの物なのさ。だからあんまり、気を貼りすぎるな、編入生」


 いや、この学校の教官としてそれはどうなんだ……。


「はい! イアン先生、あ、いえ、イアン教官!」


 先生……そうか、向こうの学校では先生と呼んでいるのか。


「ふ、どっちでもいい。とにかく、頑張れよ」


 イアンはそう言ってコルネの肩を叩き、俺達が来た方向を歩いて行く。


「優しそうな教官でしたね! 向こうの保健室の先生とは大違いです!」

「向こうの先生は怖かったの?」

「はい、そりゃもうおっかない先生でした……私が怪我をした時は、怪物の様に血相を変えながら、 怒られるんですよ」

「そうなの? でもそれってコルネが大事だから、怒ったんじゃないかな? 怪我をしないようにって」

「そうなんでしょうか……」


 コルネは歯切れが悪そうに答える。


「……次は地下? 二階にする?」


 俺とコルネが会話を終えたのを見計らって、エルがそう聞いてきた。


「地下で良いんじゃないかな? その次は二階、三階……って順番に案内出来るし。コルネもそれで良い?」

「はい! エリカさんが決めたのなら何でも!」


 そういうわけで、地下に向かう事にした。



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