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探偵の異世界生活  作者: わふ
序章 幼年期編
3/127

二話 新しい家族

 

 ―二年後―


 俺がこの世界に来てから九年が経った。

 この世界の生活にも慣れ始め、魔法も下級魔法は全て使えるようになり、中級魔法を少しかじり始めた。

 今日も何時も通り早朝に目を覚まし、寝間着がら私服に着替えて一階に降りる。

 しかし、今日は母親のエレナの姿は見えなかった。

 どうやら偶に用事があるらしく、朝から居ない日がある。


「アメリアさん、おはよう」


 俺は今日も料理を作りに来てくれているアメリアに挨拶をする。


「おはよう、エリカちゃん。今日も早起きだね」


 朝食は既に出来上がっており、食卓に並べられていた。

 今日は二人分なのだから作る時間が短いのだろう。


「お母さんはお仕事?」


 そう聞きながら椅子に座る。


「そうだよ」


 短くそう答えるとアメリアも椅子に座った。

 そういえばエリカは何の仕事をしているんだろうか。

 気になった俺はアメリアに聞いてみる事にした。


「ねぇ、お母さんってどんなお仕事をしてるの?」


 アメリアは「えっと」と言い、思い出す仕草をした。


「今は主に冒険者ギルドで魔獣の討伐を請け負ってる筈だよ」


 冒険者ギルドというのは、素材の納品から魔獣の討伐、その他色々な依頼がギルドに集められ、その中から任意に依頼を受け、その受けた依頼をこなして報酬が出るというシステムで成り立っている。

 魔獣が居ると聞いた時は驚いたが、冷静になって考えてたら魔法が存在するファンタジー世界なのだから、居てもおかしくは無いと思う。

 魔獣は様々な種類がいる。虫や動物、植物の魔物や怨霊、その他にも色々いるとエレナに教わった。


「今はって事は、昔は他にもお仕事をしていたの?」

「うん、エレナさんがこの村に来る前は、国家魔法師をやっていたの。と言っても偶にそっちのお仕事もやってるみたいなんだけどね」

 

 国家魔法師……聞いた事の無い言葉だ。

 俺が悩ましい顔をしていると、アメリアが説明を始めた。


「あ、国家魔法師っていうのはね、ユスティア帝国の皇帝に選ばれた、優秀な魔法使いがなれる皇帝直属の魔法師だよ」


 この世界には色々な国があるらしいが、特に勢力が大きい四つの国がある。

 ユスティア帝国、アルパベーラ王国、ガレル共和国、ハーデア国教の四つが、この世界の大陸、アヴァルタ大陸大半の土地を握っている。

 俺達が住んでいる村、イーハ村はユスティア帝国に属している。

 昔、ユスティア帝国とアルパベーラ王国は敵対関係にあったが、現在は平和協定を結んでいる。

 これらの事は村に住んでいる友人に教えて貰った。


「それにお母さんが選ばれてたの?」

「そう、それも十六歳で選ばれたらしいの」


 十六歳……エレナってそんなに凄い魔法使いだったのか……。

 国家魔法師になるのがどれだけ難しいかはよく分からないが皇帝、つまりこの国のトップに選ばれなきゃいけない。

 皇帝との何らかの繋がりがないのなら、相当難易度は高いはずだ。


「お母さんって凄い魔法使いだったんだね……」


 そんなに優秀な魔法使いならアメリアの病気を治したのも頷ける。

 どんな魔法なんだろうかと興味が湧いてきた。


「ごめんね、難しい話しちゃって」


 アメリアが謝ってくる。

 とんでもない、俺の方から聞いたんだ。アメリアに非は無い。


「ううん、私から聞いたんだからアメリアさんは悪くないよ」

「ふふ、確かにそうだね」


 それから俺達は会話を弾ませながら、食事を終えた。

 アメリアは普段通りメイド服服に着替え、酒場へと向かおうとする。


「あ、そうだ。エリカちゃん、はいこれ」


 アメリアは小さな袋を差し出してきた。


「これって……」


 小袋を開けてみると、銀貨十枚と銅貨二十枚が入っていた。


「エレナさんが、そろそろお小遣いをあげてもいい頃だろうって」


 お小遣いか……生前では貰った事がないかもしれない。


「いいの……?」


 俺は初めてのお小遣いに少し感動を覚える。


「それと、私からも」


 アメリアはそう言うと、俺が左手に持っていた袋に、銀貨3枚を入れた。


「魔法の練習頑張ってるエリカちゃんに、私からのお小遣いだよ」

「いいの……?」


 良いのだろうか。

 アメリアに恩を売ったのはエレナの方だ。

 その子供というだけでここまで良くしてくれるなんて。


「うん、遠慮しないで受け取ってほしいな」


 アメリアは少し微笑みながら言ってくる。

 少し申し訳ない気もするが折角の善意だ。受け取っておこう。


「うん!ありがとうね、アメリアさん!」


 そこの言葉を聞いたアメリアは微笑みながら頷き、家の扉に開ける。


「それじゃあ、行ってくるね」

「うん、いってらっしゃい!」


 アメリアは外に出てから扉を閉めて、酒場へと向かった。

 さてと、魔法の練習でもするか、と思ったが今日はエレナが居ないのでやめる事にした。

 自主練という手もあるが、最初の内は先駆者に見てもらう方がいいだろう。

 俺はそう思い、村へと出掛ける事にする。

 村の市場に行って、早速貰ったお金を使おうと思ったがやめておこう。

 後々必要になるかもしれない。

 俺は村の友人達との遊び場に向かう事にする。




 俺は家を出て村外れにある大樹に向かう。

 村の道を歩いていると村の人々が挨拶をしてくる。

 狭い村なので見慣れた顔ばかりだ。

 この村は農村なので田畑が多く、農家の人ばかり見かける。

 そんな田畑ばかりの景色を見ながら歩く事数分、目的地の村外れにある大樹に到着した。


「エリカー!」


 大樹の根元から少女の声がする。

 俺は声の元へと近付いていくと、2つの人影が見えた。

 1つは少女の人影で、もう1つは少年の人影だ。


「おはよう、エリカ」


 そう言ったのは凛々しい茶髪の少年、アルベール・ハーシェルだ。

 この少年が、この世界の情勢について教えてくれた友人だ。


「今日は魔法の練習はお休み?」


 そう聞いたのは赤髪のウェーブロングのお転婆な少女、ティア・ネイピア。

 俺は頷き、二人に挨拶した。


「おはよう、アル、ティア」


 俺とティナはアルベールの事をアルと呼んでいる。


「なるほど」


 アルベールは頷いている。


「何がなるほどなのよ?」


 ティアは後ろを振り返り、アルベールの方を見る。


「いや、エリカがここに来るなんて珍しいと思ったがやる事が無いから、来たんだなと思ったら納得してな」

「エリカは暇つぶしに来たんだろ?」


 アルベールの言葉でティアはジト目になる。


「あのねぇ、エリカはそんな事考えないわよ。ね、エリカ?」


 ティアは再びこちらを振り向く。

 ああ、そんな事考えてない……筈だ。


「う、うん、考えてない……よ?」

「ほら見なさい! エリカはそんな事考えてないわよ!」


 ティアはアルベールの方を向く。

 まったく動きがうるさい少女だ。


「ほんとか?少し怪しい気もするが……」


 アルベールは顎に手を当ててこちらを見る。


「本当だよ?」

「二人に会いたかったからここに来たの」


 この言葉は嘘偽りはない。

 この二人とは一年程前に知り合った。

 きっかけは俺が村を探索している時に、この場所に来てそこに居た2人出会う。今の俺と同い年だったから時々ここに集まり仲良くなっていった、という訳だ。


「エリカ……嬉しい事言ってくれるじゃない!」


 ティアはそう言いながら、力強く抱きついてくる。


「く、苦しいよ、ティア……」


 俺の言葉でティアは慌てて離れる。


「ご、ごめん!つい強く抱きついちゃって……」


 ティアは「あはは……」と笑い、右手で頭を触る仕草をする。


「大丈夫か、エリカ?」


 アルベールは少し前屈みになっている俺に近づき、心配してくれる。


「全く、ティアは加減という言葉を知らないからな」


 アルベールは左手を額に当て「やれやれ……」と言った。

 俺もやれやれと言いたい気分。

 ティアの抱きつきは冗談抜きで苦しい。


「そ、そうだ! 私、いい物を持ってきたの!」


 ティアは誤魔化す様に話をすり替えた。


「あ、あれ?どこにやったっけ?」


 ティアは緑のスカートのポケットに手を入れ、何かを探している。


「すまないな、エリカ。いつも騒がしくて」


 アルベールは少し笑いながら言う。


「ううん、こういう騒がしいの、好きだから」


 それに家ではもっと騒がしい奴がいるからな。


「ふっ、そうか……」


 アルベールは短く鼻で笑う。


「あった!」


 どうやらティアが探し物を見つけたようだ。


「何を持ってきたんだ?」


 アルベールがそう聞くとティアは俺達に何かを差し出してくる。


「これ!」


 そう言って両手で差し出してきた物は、5cm位の丸い宝石に黒い紐が通され、吊るされているネックレスだった。


「どう?綺麗でしょ?」


 確かに綺麗な宝石だ。

 ネックレスは3つあり、それぞれ、赤色、黄色、青色、と違う色の宝石が付いていた。


「赤色がガーネット、黄色がルチルクォーツ、青色がアクアマリンよ!」

「どうしたのこれ?もしかして……盗んだの?」


 まさかとは思うが、一応聞いてみた。


「違うわよ! 買ってもらったの、お母さんに!」

「……一昨日、この村に来ていた宝石商からか?」


 ネックレスを見ていたアルベールが、顔を上げてそう言った。


「そうよ!」


 ティアは自信満々に答える。


「ん?でも確か……あの宝石商はネックレスは売ってなかったはずだが……」


 アルベールは悩み顔をする。


「当たり前よ! 私の手作りだもの!」


 ティアが「ふふん」と笑う。


「へぇ、ティアって……」

「結構器用なんだね」


 俺とアルベールは感心する。


「何よ、その反応?」


 ティアは再びジト目になる。


「それで? そのティアお手製のネックレスを見せて、どうしたいんだ?」

「それはね……」


 ティアがネックレスを持っている両手を、俺とアルベールの方向へ突き出す。


「この中から一つ選んで!」


 なるほど、三つあるのは、そういう事か。


「……くれるって事?」

「うん!友達の証よ!」


 ティアは「さぁ、選んで!」と言って更に両手を突き出す。

 俺は、アルベールの顔を見る。

 アルベールは左手の掌を俺の方に向け「お先に」と、準備を譲ってくれた。

 さて、どれにしようか。

 赤のような派手な色は、好みではない。

 黄色も、同じような理由で除外だ。

 そうなると青色か……。

 俺は青色のネックレスをまじまじと見る。

 ……よし、青色のネックレスを貰うか。


「エリカ、決まった?」


 ティアが聞いてくる。


「うん、私は……」


 俺は青色のネックレスを指差す。


「青色を貰おうかな」

「青色ね! エリカにピッタリだわ!」


 ティアは青色のネックレスを、俺の首にかけてきた。


「次はアルね!」


 アルベールの方を向いて言う。


「そうだな……黄色を貰おうか」


 ティアは俺の時と同じように、アルベールの首に黄色のネックレスをかける。


「じゃあ、私は赤色ね」


 ティアは自分の首に、赤色のネックレスをかけた。


「うん! 二人共、似合ってるわ!」


 ティアは俺とアルベールを見て笑顔を見せる。


「ティアも似合ってるよ」

「ああ、君は赤が良く似合う」

「ふふ、ありがと!」


 ティアは俺とアルベールの首に手をまわし、3人の顔を近付ける。


「いい? これから何があっても、私達3人は、友達よ。いいわね?」


 ティアのその言葉に、俺とアルベールは無言で強く頷く。

 その様子を見たティアは、首に回していた手を離し、顔を上げる。


「じゃあ今日は何して遊ぶ?」

「そうだな……」


 それから俺達は、日が暮れるまで、一緒にいた。

 そろそろ帰ろうと、アルベールが提案し、その日は解散となった。




 俺が家に戻ると家の前に馬車が止まっていた。

 エレナが帰ってきたのだろうか。

 家に近付くと丁度馬車が去り、馬車の影で隠れていたエレナと一つの人影が顕になった。

 そう、エレナの他にもう一人居たのだ。


「お母さん、おかえり」


 俺はエレナの元に駆け寄る。


「おお、エリカ。また大樹の所へ行ってたのかのう?」

「うん。そっちの子は?」


 もう一人の人物は、俺と同じ背丈位の少女だった。

 銀髪の長い髪をしており、暗い顔をして、服が泥で汚れていた。


「この子はのう……」


 エレナは言いにくそうにしている。


「とりあえず中に入らんか?」

「そうだね……」


 俺は同意し、家の中に入る。





 俺達三人は、食卓の椅子に座った。


「それでその子は?」


 俺が話を切り出した。


「うむ……わしは今日、ある魔物を討伐しに行ったんじゃ」

「その魔物は……ドラゴンじゃ」


 ドラゴン……やっぱりこの世界には存在するのか。

 あっちの世界では伝説上の生物だが、こっちの世界に居てもおかしくないと思える。


「……倒せたの?」

「うむ、ドラゴン自体はあまり強くなかったんじゃが……」


 エレナは銀髪の少女を見る。

 読めた。この少女は多分……。


「……ドラゴンが、その子の家族を……?」


 びくんと少女の体が震える。

 どうやら当たりのようだ。


「そうじゃ……」


 エレナは俺の方へと視線を戻す。


「わしが倒したドラゴンは、この子が住んでいた村を、壊滅させたんじゃ」

「生存者がこの子しか……」

「わしがもう少し早く到着していたら……」


 机の上に乗せているエレナの両手が一瞬震える。


「……それでのう、この子の歳……エリカの一つ下なんじゃ……」


 エレナが難しい顔をする。


「エリカは……どう思うかのう……?」

「どうって?」

「その……エリカは……妹が……欲しくはないかのう……?」


 おかしな言い回しだ。少し笑いそうになってしまう。

 つまりエレナは、この子が可哀想だから親代わりになってあげたい。そう言いたいのだろう。

 俺に気を使っているのだろうか。

 確かにいきなり知らない少女を「この子はうちの家族になる」と言われても、受け入れられない。


「どういう事?」

「う、うむ……だからその……この子をおぬしの妹に……迎え入れて……くれんか?」


 エレナの提案に異論はない。


「……その子は……なんて言ってるの?」


 しかし、この少女の意思はどうなのだろうか。


「それがのう……会った時から口を開かんのじゃ」


 まぁ仕方が無い。

 一度に家、家族を失ったんだ。

 話してみてみるか。

 俺は席を立ち少女の近くに行き、横から話しかける。


「貴方、名前は?」

「……」


 駄目か……それなら先ずは自分から名乗ろう。


「私はエリカ。エリカ・ライト、よろしくね」

「……ィ…………」


 少女の声が僅かに聞こえる。



「……シフィー…………シフィー・ヴァイス…………」


 シフィー・ヴァイスと言うのか。


「シフィー……いい名前だね。」

「はい……お父さんがつけてくれた……名前…………」

「じゃあ、その名前、大切にしないとだね」

「はい……大事に……します……」


 よし、こっちを向いてくれた。


「そうだ、面白い物、見せてあげるね」


 俺は右手を開き、シフィーの前に突き出す。


「よく見ててね?」

「は……はい……」


 シフィーは俺の右手を注視する。


「……ライト…………」


 光属性の下級魔法、ライトを使用する。

 掌に小さな光の球が現れる。


「わぁ……」


 シフィーは目を丸くする。


「どう? 凄いでしょ?」

「はい……凄い……です……!」


 シフィーの顔に僅かな笑顔が生まれる。


「ふふ、やっと笑ってくれたね」

「あ……」


 シフィーは恥ずかしいのか少し顔を赤くし、再び俯く。


「あの……エリカ……さん」


 暫くしてから、再びシフィーはこちらを向いてくれた。


「うん? どうしたの?」

「私……どうしたら……いいん……ですか?」


 この言葉を待っていた。


「うーんそうだね……あ、そうだ。私ね、妹が欲しいんだよねー」

「え……?」


 俺はそっぽを向く


「それも、私の一つ下の歳で、銀髪で、可愛い妹がね」

「何処かにいないかなー」


 ちらっと、シフィーの方を向く。


「……」


 うーん、駄目か、ならもう一度。


「何処かに……」

「あ、あの……」


 シフィーの言葉で、俺の言葉が遮られる。


「……わ、私で良ければ……可愛く……ありませんが……」


 よし、と心の中でガッツポーズをする。


「ふふ、そんな事ないよ」


 俺はシフィーを抱きしめる。


「ぁ……」


 シフィーの口から、声がごほれる。


「いいんですか……?私が……妹で……?」

「もちろんだよ。こんなに可愛い妹でいい子なら、大歓迎だよ」


 シフィーも俺の体を抱きしめてくる。


「……もう泣いてもいいんだよ?」


 俺がそう言うと、シフィーの目から涙が1滴零れる。

「今まで泣かずによく頑張ったね」


 泣いているシフィーの頭を撫でる。


「エリカ……さん……」


 涙を流しながら名前を呼んでくる。


「どうしたの?」

「エリカさんの……事……エリカ姉さん……って呼んでも……いいですか……?」

「……いいよ。シフィーは私の妹だからね」


 シフィーは俺の名前を呼びながら泣き続けていた。

 暫くすると泣き疲れたのか、静かに寝息を立てて眠っていた。

 俺はシフィーをおぶり、エレナの方を向く。


「お母さん、シフィーを私の部屋に、寝かしてきてもいい?」

「うむ、その子の部屋を用意するまでは、おぬしの部屋で寝かしてやってくれぬか?」

「出来るだけ早く用意してあげてね?」


 エレナは顔を顰めて「わ、わかった」と、返事をした。

 俺は階段を登ろうとするが、エレナの声に呼び止められる。


「そうじゃ。なぜシフィーが泣いて無いとわかったんじゃ?」


 俺はエレナな方を向き、答える。


「シフィーの顔に涙の跡が無かったからだよ」

「それに目元も腫れてなかったからね」

「なるほどのう……」

「もう行ってもいい?」


 そろそろ、体力的にキツくなってきた。

 この体で少女一人をおぶるのは、一苦労だ。


「あ、ああ、もう行ってもよいぞ」


 俺は二階の自分の部屋に入り、シフィーの服を着替えさせ、ベッドに寝かした。

 俺は一仕事を終え、ベッドに腰掛ける。

 ……そういえば俺は何処で寝ればいいんだ……。

 そう思っていると、シフィーが俺の左手の手首を掴む。


「エリカ……姉さん…………」


 シフィーの方を向くと寝言を言っていた。

 そこで俺は思いついた。

 俺が使っているベッドは中々大きく、子供なら2,3人は寝れるほどの広さがある。

 別に俺が一緒に寝ても問題ないんじゃないかと思った。

 少し狭くなるが、寝れない程じゃない。

 そうするか。と、俺が決心した時、玄関の扉の開く音がした。

 恐らくはアメリアがやって来たのだろう。

 俺は手首を掴んでいる小さな手を、優しくゆっくりと剥がしてから一階に向かった。


「アメリアさん、おかえり」


 案の定やって来たのはアメリアだった。


「あれ?エリカちゃん、何かいい事あった?」


 俺の顔を見てアメリアはそう言ったのだろう。

 アメリアのその発言は、多分少しだけ笑っていた俺の顔を見てのものだと思う。



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