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探偵の異世界生活  作者: わふ
第一部 学校生活編
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二十一話 大広場での戦い

 

「だが、その前に聞きたいことがある。何故我の名を騙った?」


 怪盗Aが少女達にそう問う。


「彼女が裏切ったからデス、『これ以上協力出来ない』と。なので彼の協力者である貴方に、見せしめになってもらおうと思いマシテ」


 こいつらの言葉を信じるなら、怪盗Aの協力者はこいつらと繋がっていると言うことか。


「そうか」


 怪盗Aは何の反応を示さず、分かっていたかのようにそう言った。


「その様子だと、知っていた様デスネ」

「ああ、前々から奴は貴様らにはもうついていけない等と、愚痴をこぼしていたからな」

「そうデスカ。やはり前々から裏切ろうとしていたのデスネ」


 そんな二人の会話に、雷帝ステラが口を開く。


「そんな事で……」


 雷帝ステラが剣を引き抜き、少女達の方へと滲み寄る。

 俺も彼女だった物から距離を取り、ネハルムに近付く。


「そんな理由でカレン卿の命を奪ったと言うのか!!」


 声を荒らげてそう言った瞬間、鎧と剣に雷を纏わせる。

 雷帝ステラの足元や周辺には稲光が発している。

 何という技量だ。剣だけに纏わせるならまだしも、全身に纏わせるのは至難の業だろう。

 あの状態を維持するには、かなりの魔力が必要だろう。

 魔力は使えば使うほど、体に負担がかかる。

 体全体を雷属性の魔法でコーティングしたら、常に結構な量の魔力を消費し続ける。

 それに鎧の重量でも物理的にも、体に負担がかかっているはずだ。

 恐らく常人だったら、立っているのが精一杯。それを軽々とやってのけるのは流石だ。


「……来い、外道。絶対に許さぬ」

「やる気満々の様デスネ。デスガ、私達はこれで帰らせていただきマス。そう命令されていますカラ」

「貴様らの都合など知ったことか!!!」


 雷帝ステラはもう一歩踏み出し……消えた。いや、消えたと言うより、高速で移動したと言った方が正しい。

 気付いた時には少女の目の前に居て、剣が振り下ろされていた。

 雷帝ステラの攻撃は少女に当たったと誰もが思っただろう。

 だがその場所には少女の姿はなかった。

 慌てて辺りを見回すと、大広場中央にその姿があった。


「何!? 確かにこの場所にいたはず……」


 雷帝ステラが戸惑っている間に、黒ローブの2人も大広場中央の方に飛び上がり、少女の後ろに立つ。

 軍人達が慌てて三人を取り囲み、大通りへの退路を断つ。


「来ないのデスカ、ステラ卿」


 少女が挑発するようにそう言った。

 雷帝ステラも大広場中央に降り立つ。


「トレス伍長、サディアス宰相の事を頼む!」

「はっ!」


 ネハルムがトレスと呼ばれた軍人にそう言って、演説台から降りる。

 それに続いて俺と怪盗A、常闇の姫も大広場に降りて、雷帝ステラの傍に行く。

 先程と同じ様に雷帝ステラが一歩踏み出すと、気付いたら少女の前に姿があり、剣を振り下ろした。

 次の瞬間、カン! と剣と剣がぶつかり合う大きな音がした。

 そこで目に映ったのは、さっきまで居なかった黒のローブに黒の仮面を着けた三人目の人物が、雷帝ステラの攻撃を黒い剣で受け止めていた。

 何だ、何処から現れた?

 雷帝ステラは慌てて後ろに飛び退いて距離を取る。


「何者だ、貴様!」

「何故撤退していない?」


 三人目の黒ローブの人物は、篭った男か女か分からない声で、雷帝ステラを無視して少女達にそう言った。


「カレン・フォン・デルヴィーニュの死亡を確認したら、撤退しろと命じたはずだ」

「スミマセン、S。少し雷帝に邪魔されマシテ」

「邪魔されているようには見えなかったが……まぁいい、こうなっては仕方がない。迎え撃つぞ」


 Sと呼ばれた人物がそう言うと、他三人は構えを取る。


「どうするのよ、アルセーヌ。戦うの?」


 常闇の姫が徐に怪盗Aに聞いた。


「ああ、もちろん。奴らの実力も気になるからな」


 怪盗Aは短剣を取り出す。それに続き、常闇の姫は魔法アイテムボックスから槍を取り出す。


「貴様らはどうする。戦うか?」

「当たり前だ。奴らを野放しにしておけない。エリカ、すまないが、君にも手伝ってもらうことになりそうだ」

「はい、最初からそのつもりです」


 俺は激しい戦いになると思い、二丁拳銃を取り出した。


「私にも戦わさせてほしい」


 そう言ってユリウスが俺達の元へと来た。


「なっ! ユリウス殿下!? それは駄目です! 貴方はこの国の……」


 必死に止めるネハルムを横目に、ユリウスは口を開き続ける。


「義姉さんの仇を取りたいんだ。だから戦闘に参加させてくれ。それに同じ学生の立場であるエリカ君が逃げないで戦うのに、私が逃げる訳にはいけないからね」


 ユリウスも魔法アイテムボックスから剣を取り出す。


「へぇ、言うわね、この子。良いじゃない、参加させてあげたら?」

「……分かりました。そこまで言われては駄目とは言えません。ですが、無茶はしないでください。特に刺し違えるような真似はしないで頂けると約束してください」


 確かに今のユリウスならやりかねないとは思うが……。


「ふっ、そんな真似はしないさ。確かに奴らは憎いけど、そんな真似をしたら義姉さんに怒られるからね」


 俺とネハルムが思っているよりも冷静だから大丈夫だろう。


「役割はどうするの? 誰が指揮を執るの?」

「そうだな……エリカ君なんてどうだろうか?」

「え?」


 ユリウスがいきなり俺の名前を出したので、堪らず声を出してしまう。


「はぁ? この小娘に?」

「彼女の指揮官としての才能は素晴らしいものだ。私はそれにかけてみるよ」


 何を言い出すんだこの皇太子は。この場で一番的確なのは、憲兵隊の大尉であるネハルムか、スリーナイトの一人、雷帝ステラだろうに。


「ほう、確かに面白そうではあるな。良かろう! 我の力、存分と発揮させてみよ!」

「はぁ、まぁあんたがそれでいいなら良いわ。別にあたし達は別に勝っても負けても関係ないし」

「待ってください、ここはネハルム大尉かステラ卿が適任なのでは?」


 俺は必死に訴えかける。

 この戦いは訓練なんかじゃない。本当の戦いだ。学校の授業とは話が違う。

 なのに何故ユリウスは俺を指名したんだ?


「いや、この場だったらエリカ、君が一番適任だ。恐らく俺やステラ卿は警戒されているだろう。だからあまり敵に警戒されていない君が良いと思う。それに殿下のお墨付きだ、俺も君にかけてみるよ」


 確かにネハルムの言う通り、俺の事は知ってはいるようだが、2人に比べたら警戒はされていないだろう。

 しかし俺の実戦経験は無いと言ってもいいくらいだ。

 警戒されてるがなかろうが、実力が無ければ無意味に終わる。


「大丈夫だ、憲兵隊と陸軍の指揮は俺が執る。君はこの場の5人の指揮に徹してくれればいい。ステラ卿も大丈夫ですよね?」

「ああ、殿下のお言葉なら異論はない。見事な采配、期待しているぞ」


 くそ、そうなってはやるしかないのか。この状況では断りきれないだろう。

 俺は半場投げやりで引き受けることにした。


「分かりました、私が指揮を執ります」

「ふふ、そうこなくては。役割はどうするんだい?」

「最前線には言わずもがな、ステラ卿、それと……」


 困った、こいつの事はなんて呼べばいいんだろうか。俺は名前を聞こうと、常闇の姫を見る。


「ヒスイよ」


 考えを汲んでくれたかのように、常闇の姫、もといヒスイは名前を言ってくれた。


「それとヒスイを。その後ろに接近戦、遠距離戦共に優れているユリウス殿下、それと怪盗Aを」


 ヒスイはあの緋の戦域を負かしている。最前線に置いても問題無いだろう。

 怪盗Aは実力が未知数なので取り敢えず、どちらにも対応出来るように中盤辺りに配置する。


「後方には残った私とネハルム大尉。ネハルム大尉は憲兵達の指揮、私は皆さんの指揮と後方支援。役割は大まかに分けてこれでいきたいと思います。異論がある方は言ってください」


 誰一人として異論を唱える者は居なかった。


「ではこれで。細かい指示はその都度に出します。行きましょう」


 俺達は奴らと相見える場所まで距離を縮める。


「相談事は終わったようだな。では……」

「その前に一つ聞きたい」


 ネハルムが構えを取ったSを抑えるようにそう言った。


「お前達は何者だ?」

「ふむ、答える義理はないが……良いだろう。我らはラグナロクの使徒、帝国に仇をなす者達だ」


 ラグナロクの使徒か……前々から思っていたが、この世界でもあちら側の世界の神話と同じような名前がちらほら出てくる。

 あちらの世界と何か関係あるのか、旗またただの偶然かは分からないが。

 それより今は帝国に仇なす者と言うのが重要だ。

 こいつらはテロリストと言うことだ。


「随分あっさりと答えるのね」

「今後の為にも、名前は必要と思っただけだ」

「貴様らに今後などない! 今ここで殺してやる! 一度きりのテロリスト集団をな!!」


 雷帝ステラは再び雷を纏い、敵陣に突っ込んで行く。


「お前達! 奴らを捕らえろ、絶対に逃がすな!」


 ネハルムがそう命令を下した瞬間、兵達はS達に狙いを定める。


「B、憲兵達を押えろ。死神、Kは前に出ろ!」

「ええ」


 Bはあの時と同じように、何かを掴む動作をすると、憲兵達の動きが止まる。


「な、何だ!?」

「くそっ、動けない!」


 やはり鉄糸か、しかし鉄糸を張り巡らす間はなかったと思うが。

 俺達が話し合っている時も、相手の様子を確認していたが、そんな素振りはしていなかった。

 俺が見ていなくても、兵達の誰かが気付くはずだ。一体どうやって……。


「落ち着け、鉄糸で縛られているだけだ! すぐに抜け出せ!」

「人の心配をしている暇はないデス」


 背後からあの少女の声が聞こえて振り向いた瞬間、ネハルムの首目掛けて、大鎌の刃が迫っていた。


「っ!?」


 ネハルムはそれを間一髪の所で警棒を取り出して、攻撃を受け流す。

 この世界ではスティックと言った方が正しいかもしれない。

 俺は慌てて距離を取る。


「これを止められるトハ、流石デス」


 少女は悪魔のような笑みを浮かべている。

 いつ背後に移動した? さっきまで、雷帝ステラの前に居たはずだ。

 その時俺は背後に気配を感じ、咄嗟にそこに銃口を向ける。


「私の気配に気付くとは、中々やりますね」


 そこには黒ローブの女声の方が立っていた。


「っ!」


 俺は引き金を引き弾を放つ。

 それを彼女は軽々と躱し、距離を取った。

 こいつもどうやってここまで……あの4人の隙を突いて来たというのか?


「エリカ君!」


 ユリウスがそれを見て、後ろに下がって来てくれた。


「すまない! 気付いたら居なくなっていて……」

「大丈夫です、それより彼女を!」

「ああ!」


 俺とユリウスは構えを取り、彼女を迎え撃つ準備をする。

 ……待てよ、ここに二人居るという事は、まさか!?

 俺は前線の方を見ると、Bは糸から逃れた兵達と戦っており、何とSが他三人と一人で戦っていた。

 雷帝ステラの攻撃を剣で受け止め、その瞬間にヒスイと怪盗Aが攻撃を仕掛けるが、それを難なく躱していた。

 堪らず化け物かと言いたくなる。

 それにこの状況は不味い。後方が押さえられ、兵達もB一人に苦戦を強いられている。

 どうする、どうやってこの場を切り抜ける……。


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