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探偵の異世界生活  作者: わふ
第三部 帝王戦役編
120/127

百十九話 リブリーラ城攻略戦 二

最近忙しく、更新が滞ってしまい申し訳ございません。

なるべく早く投稿します。

 

 それは十人弱の帝国兵達だった。


「まだ城内に敵が……押し通るしかありませんね」


 身構える俺達に対し、その中の上官であろう男が動きを見せる。


「ふむ……貴様らに降伏すると言う選択肢は無いみたいだな……ならば――」


 男が部下に視線で合図を送ると、人影に隠れていたそれを目の前に引き摺り出す。



「え――ウィルバート……?」


 それは――その人物は、手足を縛られたウィルバートだった。

 そして、上官らしき男はウィルバートのこめかみに、ライフルの銃口を突きつける。


「この者の命が欲しくば、投降しろ」


 彼が言い放った言葉は、ウィルバートが人質だと意味するそれだった。


「人質と言う訳ですか……厄介ですね」

「くそっ……汚い真似を……!」

「敵に通す礼儀など持ち合わせていない。早く武器を捨て、ひれ伏せ」


 カミラとアルベールの言葉を切り捨て、銃口でウィルバートの頭を小突く。

 ウィルバートはそれにすら反応を示す事も無く、自分が膝を着いている地面を見つめるだけだった。

 しかし、俺達がどうする事も出来なくて静止している時――。


「――どうしてだよ」


 そんな彼がいきなりにして声を発した。

 ただ静かに、この緊迫した状況に刃物を入れる様に。


「どうして……こんな事するんだ――父さん!」


 ウィルバートの発言は驚くべきものだった。

 父さん――確かに彼はこの場の誰かをそう呼んだ。

 誰なのか。それはギロリと睨む視線が答えを出していた。


「……まさか……!」


 彼の視線の先には、こめかみに銃口を突き付けている、上官の男が冷静な眼で睨み返していた。


「貴方が、帝国第三陸軍大佐、テレンス・フォーミュラ……!」


 俺が発した言葉には肯定も、否定もしなかった。

 だが、ウィルバートの怒りに満ちた表情が物語っていた。

 実の父のこの行いが許せないのだろう。


「実の子に銃口を向けるとは、帝国も落ちたものだ」

「貴様とて差程変わらんだろう。炎剣(ファイアーソード)だったか、貴様も反乱軍の一人。もっとも、今はそちらに寝返った様だが」


 ――いいや、ラルフよりこいつらの方がタチが悪いかもしれない。


「本当にそうですか? 私にはクーデターを起こし、シンクレア家当主を牢に入れて、この地域を支配した貴方達……いえ、帝国軍の方が余っ程許せないと思いますけど」


 まだ憶測に過ぎないが、自分の考えをテレンスにぶつける。


「ウィルバートを助けに行った時、牢には意外な人物、レジー・シンクレアが囚われていました。彼を牢に入れたのは、帝国第三陸軍、貴方達ですよね?」

「……ふん……」


 テレンスは黙ったままだった。だが、代わりにウィルバートが答え始めた。


「……そうだ。シンクレア公は元々反乱軍に加勢するのは反対だったんだ。それを見兼ねた父さん達は、彼を牢に入れ、その真実を隠して裏からウェスティント州を操る事にしたんだ。あたかも、彼が兵に指示を出している(てい)で……当然僕はそれを止めようとした。でも……」

「反逆罪で、彼と一緒に牢へ入れられた……そうだよね?」

「ああ。全部、エリカの言う通りだ」


 レジーが牢に囚われていた時点で、当然疑問があった。何故、囚われているんだと。

 その疑問に説明がつくのが、ウィルバートの答えだ。

 ここに来るまで、もしかしたらそうじゃないかと薄々考えていた。


「ウィルバート君の話が本当なら、反乱軍に加わっているのは、()()()()()()()()……どう言う思惑があって、こんな事を?」

「どうもこうも無い。これが帝国が歩むべき道――ただそれだけの事だ」


 ……こんなのが帝国の歩むべき道だと……?


「……ふざけないで。これが本当に正しい道なの? 殿下を犠牲にして、国を乗っ取って……戦火をばらまいて!」

「何を言われようとも、我々の考えは変わらない。帝国が歩む道も――未来もだ」


 やっと、ウェスティント州での本当の敵が見えてきた。

 作戦を開始する前、俺達はずっと領主であるレジー・シンクレアが敵だと思っていた。

 だが違う。本当の敵は第三陸軍、こいつらだ。


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