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探偵の異世界生活  作者: わふ
第三部 帝王戦役編
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百八話 脱出

 

 ジャックスは二本の槍を突き出す。


「こちらも油断は出来ぬ様だ……! 受けてみよ、双撃と謳われる所以の一撃を!」


 そして、槍に魔力を纏わせ、風を集める。


『いきなり大技ね……でも、今の貴方なら……!』


 ああ、今なら何でも出来そうな気がする。この状態なら!


「エリカ! 俺の後ろに!」

「アル!?」


 彼の攻撃に迎え撃とうと身構えた時、アルベールが割って前に出る。


「奥義――風神、双撃翔!」


 魔力と風を纏った凶悪な二本の槍で、アルベールの真正面に突っ込んでくる。


「示してみせますジャックス卿――刻印、防の陣!」


 しかし、その槍はアルベールに突き刺さる寸前で止まる――いや、アルベールが止めた。

 アルベールの前にはその名の通り見えない壁があった。それがジャックスの一撃を受け止めている。


『これは……どうやらあの刻印とやらの力ね。通常では目視出来ない魔力の壁を作って、彼の攻撃を防いでいるみたい』


 なるほど……だったら今俺がやるべき事は一つ。


「エリカ!」

「ああ!」


 ――今なら出来る。このジャックスの隙を突いて攻撃を喰らわせられる!


「――はぁぁぁぁぁ……」


 今出せる最大の火力を――刀を両手で天に掲げ、魔力を集める。


「アル、もう少し耐えて!」

「問題無い!」


 やがて魔力は光を帯びて実体化し、刀身を武装する。

 ――凄い力だ。これ程のもの、体感した事が無い。これもヴァレのおかげか……!


『ええ……こちらも一撃で沈めなさい! 久遠!』


 ああ!


「アル!」

「よし!」


 アルベールは防壁を解除し、正面から姿を消す。

 すると、障害が無くなったジャックスの攻撃が迫り来る。


「む……!」


 同時にジャックスは俺の刀の姿を見て驚愕する。

 一撃だ。一撃で!


「――無の型、天威一閃!」


 振り下ろす。その一撃を――。

 刀身にまるで見合わない大きさがある、地を這う衝撃波を放ち、ジャックスの風を、魔力を、双撃を断ち斬る。


「――見事だ、若き獅子達よ――」


 衝撃波はジャックスを吹き飛ばし、玉座側の壁へと打ち付ける。

 ジャックスはそれでも立ち上がろうとするが、かなりのダメージなのか、中々体制を立て直せない。


『今の内よ! バルコニーに!』


 分かってる!


「アルついてきて! バルコニーに出るよ!」

「あ、ああ!」


 俺達はバルコニーへ続く硝子戸を突き破り、屋外へ出る。


『そのままバルコニーから飛び降りて!』


 飛び降り!? わ、分かった!


「飛び降りるよ!」

「は、はぁ!? お、おい、ちょっと待――」


 戸惑うアルベールの手を強引に取り、夜空へと身を投げる。


「お、おいいい! 本当に大丈夫なのか!?」


 強烈な風の抵抗を受けながら、俺達の体は地へと落ちていく。


『心配無いわ! 2人共、空を舞いなさい!』


 ヴァレが俺達の体に何かの魔法を掛ける。これは……。


「うわあああああ――――ん、俺達……」


 ふ、成程、お前の狙いはこれだった訳か。


『ええ、これなら空に浮いてる城でも、楽々脱出出来るって訳』


 先程までの風の抵抗が無くなり、体がふわりと浮く。


「……もしかして、俺達今、空を……飛んでいるのか?」

「うん。みたい、だね……」

「みたいだって……お前な……」


 空を飛ぶ魔法なんて聞いた事無いぞ……。


『でも、おかげで助かったでしょ?』


 ……まあ、それもそうだな。


「……良く分からんが、これで脱出出来たな。エリカ、これからはお前に付き合う。一緒に帝国を取り戻そう……!」

「アル……」


 アルベールは力強く頷いてくる。

 ああ、仲間が居ると言うのはここまで心強いのか。


『心外ね、私も居るわよ?』


 勿論ヴァレもだ。

 これなら……この力があれば本当に成し遂げれるかもしれない。いや、成し遂げるんだ。何としても……!

 ヴァレ――。


「――アル、これからよろしく……!」

「……ああ!」

『ええ、任せなさいな』


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