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プロローグ

 最終下校時刻を過ぎた学生食堂。ありふれたこの場所がただ暗くシンとしているというだけでこんなにも異世界染みた場所になってしまうのだろうか、などと考える余裕が今の俺にあるはずがない。なぜなら今俺はクラスだけでなく学園でも1,2を争うかもしれない美少女をこの冷たい床に組み敷いているのだ。長い赤毛のツインテールの後頭部には右手を差し入れ、細くキメ細やかな手には左手の指を絡ませ、そしてあろうことか俺の右足は短い丈のスカートの間から覗く白い脚の間にあるのだ。叫び声の一つでもあげてくれたら助かるのだがしかし、彼女はその端正な顔を高潮させ、大きく長いマツゲの目をただ潤ませているだけだ。背後でガラリと扉の開く音がしたかと思えば

「あ〜疲れた。キョウ君ほんと足早いのね」

と息も絶え絶え全力疾走してきましたって感じの声。この女神すら嫉妬する愛らしい声は間違いない。学園で1,2を争うであろう片割れの美月ちゃんだ。しばらく背後で”ハァハァ”と呼吸を整える音がこの静寂を破っていたのだが、すぐにピタリと止んだ。原因は痛いほど分かるよ。やっぱり、これですよね? 

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