とある日常の一コマ目・中編
こんにちは、大波磨乃です!
やっと学校につきそうな三人。
何事も問題なく進んでほしいですね!作者も祈ってまーす。
では、一コマ目・中編をどうぞ!
「♪ぜーんーぺんのーほっとんーどをーいーえーのなーかーですーごーしたー」
縄がギリギリ届く前の方できらきら星のリズムに合わせてよくわからない歌を歌っている響をほっておいて、後ろにいる雫がきちんとついてきているかを確認する。私の背中に人体の中で一番複雑な骨の画像を貼っておくだけで、雫が縄をつけなくてもいいほどちゃんと歩くようになったのだ。
「暁ー、まだつかないのー?なんか遠くなーい?」
今度はいつの間にか縄がギリギリ届く後ろの方で文句を垂れている響。私はさっきまでのことを思い出しながら響に問う。
「最初の方は大人しかったのに勝手に縄をほどいてどこかに行っちゃったのは誰だっけー?本当は十分で登校できるところを三十分もかけることになったのは誰のせいだっけー?」
一応一時間早く家を出ておいて本当によかったと思った。
「ハイ!うちのせいです!」
…こんなにはっきりと自首されると怒る気もなくしてしまう。響はつづけた。
「まあまあ、細かいことは気にしないで!あとどれくらいでつく?」
私は立ち止まって目の前を指さした。私が指をさしたところには高級住宅街に立つ家よりも一際大きな建物があった。
「この道を突き当たったところに先修学院の正門があるよ」
響は顔を上げ目的地を確認すると、途端に元気になり歌いだした。自分の感情に素直すぎて何とも言えない。
先修学院につき、まずはクラスを確認する。先修学院のクラスは学力順で分かれている。学力の高い方からα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)の計五つ。
「見て!うちら全員…a組?だよ!」
首席の私と次席の雫はもちろんのこと、いつ勉強しているのかわからない閑とα(アルファ)をaと読む響がαクラスなのは正直びっくりした。
「とゆーか…僕の後ろの席が響ってことだよね、これ」
いつの間にか登場した閑は、もらった名簿を見て悲しそうに呟いた。
「ホントだ!閑が二十三番でうちが二十四番だから、うちが閑の後ろだー!」
突然閑が現れたのには触れずに喜びの舞を踊る響。まあ、ほぼ毎日いつからそこに?というような登場をされたらいやでも慣れるよね。
喜びの舞を踊る響とは対照的に、ややげんなりしている閑。ちょっとかわいそうだけど、仕方ない。
『えー、そろそろ教室へ、えー、移動お願いします。えー』
スピーカーから男の人の声が聞こえた。
「えー、で終わらせる人初めて見たー」
閑が的確な突っ込みを入れる。見てないから的確じゃないか。
「じゃ、先行ってるねー!」
そう言い残すと、響は窓の方へと走っていった。響が、三階にあるαクラスにどうやって行くかはご想像にお任せします。
私たちは階段を使って、三階へと上がっていった。
「今日から一年間αクラスの担任を務めます、佐藤健司です。どうぞよろしく。では、出席確認をするから、呼ばれたら返事をしてください。一番、井川暁…」
私たちが教室につき、着席してすぐに担任の先生が現れた。眼鏡をかけた中肉中背の、これといって特徴のない男の人。
「はい」
出席確認は順調に進んでいたが、ある番号の人が返事をしなかった。
「二十四番?南雲響はいないのか?」
響!?そういえば教室がやけに静かだった。私は咄嗟に手を挙げた。
「先生、南雲さんはトイレに行くと言っていました。朝からおなかを壊していたそうです」
何とかその場は収束させたが、響の行方は分からない。入学式出れるのかな?
とゆうよりかは、人様に御迷惑をかけていないかな…?
「…まあ、それなら仕方ないな。次、二十五番…」
再び滞りなく進む確認に、また大きな壁が立ちはだかる。
「…最後、三十七番、翠音雫」
「……」
返事が聞こえない。
一番後ろの席を見た先生の目に映ったのは…
紺色のブレザーの集団の中、ひときわ目立つ真っ白な白衣を着た女子生徒だった。
「翠音雫?」
雫は、先ほどの写真を眺めていて出席確認気付いていない…
というよりかは、無視している模様。
「翠音…」
先生がもう一度声をかけようとしたとき、
『えー、新入生は、えー、入学式が始まるので、えー、移動を、えー、開始してください。えー』
先程の男の人のアナウンスが再びかかる。
それを聞いて、佐藤先生は諦めたようにため息を吐いた。
「…それじゃあ、時間だから出席番号順で廊下に並んでくれ」
さあ、入学式がようやく始まる。
中編でも入学式は始まらなかったですねー。作者もびっくりです。
次は流石に(後編なので…)入学式が始まると思います。
思っています。
序章でこんななのに、これから先はどうなってしまうのでしょう…
作者は早速胃薬を買おうと思います。
それでは、またお会いしましょう。