とある日常の一コマ目・前編
こんにちは、大波磨乃です!
零コマ目では大変失礼しました!ちゃんと読んでくれましたよね?ね?
さて、本編がやっとスタートします。
まずは、四人の入学式からどうぞご覧ください!
ピリリリ…ピリリリ…
五時半を告げる目覚まし時計が鳴る。私は片手で布団を掴み、片手で目覚ましを止める。そして布団のもっと深くまで潜り込む。
「あ、入学式だ!」
春休みの感覚が抜けずに二度寝に入る前に気づけて良かったと心の中で安堵する。
私、井川暁は今日から中学生。見やすい場所に掛かっているあの制服は国立・先週総合研究学院中等部のもの。
私は先修学院に入学するにあたって、小学校卒業した時にこの高級住宅街に建てられている三階建ての豪邸に三人の少女と暮らすことになった。
「たっだーいまー!」
三十分ほどで朝食などの準備を終わらせたと同時に玄関のドアが開く音が鳴る。
自室のある二階から一階に降りると、一人の女の子が帰ってきた。
「あ、ただいま!暁も起きるの早いねー!」
この子は同居人の一人、南雲響。毎日二十キロランニングしている同い年の女の子。両親が芸能人で、将来は芸能界に入るという夢のために体力づくりをしているそうだ。何をするにもトラブルが必須。
「響、何時に起きたの?」
少し恐怖を覚えながら聞くと、返答はリビングから聞こえてきた。
「五時前だったはずだよー。何分で帰ってこられるか時間を計ってほしいって起こされたんだよねー…
自分で腕時計持ってるのに…ほんとバカだよねー…」
そこまで言って立ちながら寝てしまったのは中宮閑。最初に私たち四人で同居しようって声をかけた同い年の女の子。この数週間一緒に居たけど、昼間どこにいたのか一人も知らない謎の多い子。
「お疲れ様…でもこれから入学式だから。可哀想だけど起こしておいて、響」
この場は響に任せ、もう一人を起こしに行く。ただ、その子の部屋に近づくのだけでも困難なので、私と閑は絶対に近づかない。その子は三階のすべての部屋を占拠していて、声をかけなければ下に降りてこない。
「入学式があるから三階へ上がります」
昨日設定で登録しておいたセリフを間違えないように喋る。少しすると何かの起動音がしたが、見た目は何も変わらない。私は細心の注意を払って音を立てないように階段から一番遠い部屋のドアを開ける。
「…雫、起きてる?」
細く開いたドアの隙間から部屋をのぞくと、カーテンも閉め切った部屋の端で部屋唯一の光源であるパソコンに向かい合う人影、翠音雫がいた。雫は骨格標本をはじめとするモノづくりに長けていて、この三階全ての部屋は雫の作品で埋め尽くされているらしい。見たことはないけど。
「雫、入学式があるから支度してくれる?」
雫はヘッドホンをしているようで、声が届いていないようだった。もう一度声をかけようとした瞬間、突然その攻防は始まった。
「雫ー!新しい腕時計出来たー?」
窓から顔を出した響は、この家の三階に恐れることなく入ってこられる唯一の人物。
「…めんどくさ」
雫は慣れた手つき…足つきでパソコンを操作する手を止めることなく足元のスイッチを押す。すると、壁のいたるところから響の開けた窓からの光で反射する物体が出てきた。それが一斉に響きを『射撃』する。
「よっと…ほっ!あ、銃増えた?」
こちらも慣れたように飛んでくる何かを避け、質問までしている。
「何してんの!?」
「喋っちゃダメ!」
当たり前の感想を述べたところ、響に注意されてしまった。私もしゃべらなければよかったと後悔する。なぜなら、数丁の銃がこっちに標準を合わせて打ってきたのだ。打たれたと思い目をつぶったが、痛みは走らない。恐る恐る目を開けると、目の前に響が立っていた。
「ふー、危なかった!今回の睡眠薬も弱いね!もっと強くしないとせいぜい子供が十秒寝るくらいじゃない?」
銃から乱射されていたのは睡眠弾だったらしい。響は打たれたくせに寝ずにアドバイスまでしている。
「そんだけ!閑がまた寝てないか確認しに行くね!腕時計ありがとう!」
嵐のように去っていった響は腕に新しい時計話はめていた。雫が観念して部屋から出てきた。
「…あれ本当に睡眠薬?」
一応確認すると、案の定返ってきてほしくない返しが来た。
「麻痺毒の一種」
毒というところはいったん置いておいて、もう一つ確認しなければいけないことを確認する。
「…どれくらいの強さなの?」
「インド象も二秒で倒れる」
誰がこのネタを分かるのだろうか。一応説明しておくと、某赤と白のボールでモンスターを捕まえて戦わせるアニメの初代に登場したガスを使うモンスターの図鑑に書いてあるのだ。
「なんでそんなもの作ったの!?」
驚きを隠さずに雫に問うと、極力短く一定のローテンションで返答してきた。
「響がインド象が二秒で倒れるんだって!どんなのか一回食らってみたいなって」
確かに少し前の夕飯時に響が何かを読みながら言っていた。雫なりの良心だったのかなと無理やり自分に言い聞かせ、そろそろ下に降りる。リビングには響が縄で柱に括り付けられていた。閑の姿は見当たらない
「閑は?」
何度も見たその光景に驚きもせずに縄をほどく。
「学校に早めに登校する用事が出来たから先に行くって!」
本当にあの子は何をしているのだか…。知っていることといえばなぜか老若男女国籍問わずに知り合いが大勢いることだけ。二人に朝の支度をさせて、いよいよ出発!しようと思ったら、制服のブレザーがなぜかぱっつんぱっつん。
「…あれ?私太った?」
動揺していると、隣でブレザーの袖を持て余している人物発見。
「なにこれ面白ーい!服がでかくなった!」
私の着ているブレザーのポケットを確認すると、大量の飴が。響を大人しくさせてポケットを確認すると私の生徒手帳が出てきた。無言で交換する。響がサイズがピッタリになったことに驚いているすきに逃げないように拘束。すでに自室に戻ろうとしていた雫を拘束。今度こそ出発!
一人は歌いながら前をずんずん歩き、もう一人は後ろに体重をかけてできるだけ抵抗してくる。二人を縄で引きながら町中を歩くのってすごく恥ずかしい…。でも堪えないと逃げてしまうから、今は我慢するしかない。
どうでしたか?
学校につく前にすでにハチャメチャな四人ですが…
入学式本番を無事に終えることが出来るのでしょうか!?
作者には、一応予想できます。一応。
次回のトラブ…お話をお楽しみにー!